ただのコメディだと思って、気楽に観に行った。
1967年5月、フランスのアルザス地方にある家政学校のお話。
この時代はフランスも、良妻賢母が女の幸せという考え方が主流だったようで、
この学校も、人生の中心は夫であり、妻はわき役に徹して夫を支え、家庭を守り抜くための家事、育児、家計の知恵をせっせと授けていた。
しかし、生徒たちはそれを古臭く感じ始めている。
そんなある日、学校の経営者である夫が急に亡くなり、その妻で校長の主人公が傾いた学校経営に乗り出すことに。
そこから主人公とその周りの女性たちが、女性の権利や自由に目覚めていく…というお話。
ありがちな内容かも知れないが、50年くらい前はフランスもこんなにガチガチな男女観に縛られていたんだと、驚いた。
主人公は、ズボンをはくことすらおっかなびっくりなのだ。
今は、女性と男性で役割を決めつけることがだんだんタブー視されてきて、本当にいいことだと思う。セクハラもパワハラも減っているし。
思い返すと、自分も小学校高学年あたりから10代終わりにかけて、スカートをはけだの、裁縫ができなくて不器用だの、男を言い負かすと女のくせに生意気だの…、要するに女らしくしろと言われ、窮屈な思いをした。
でもそれらは社会に出てからの男性上司によるセクハラ発言に比べれば、マシだったかも知れない。
上司の失礼な発言は、無視したり、当たり障りない程度に不快を表したりしたが、今思うと、もっと大げさに傷ついた演技をすれば、彼らも早く自分の行為を反省できたかもしれないなと悔やまれる。
組織に属して一つの価値観の中が幅をきかせている中にいると、なかなかそれに異を唱えるのは難しい…
というか殻の中にいることすら気づかない。
その場から脱して少し時間が経つか、おかしさに気づかせてくれる出来事がないと…。
それが1968年のパリの5月革命だった、ということをこの映画で初めて知った。
この出来事から53年。
ようやく、日本もジェンダー解消に向けて本腰を入れようとしている。
嬉しい!
と同時に遅くて腹が立つ。
でも、自分も遅くさせてきた原因なのだろうな。
そう思うと悲しい。