オフのときはあまり考えさせられる映画は見たくない…と思いつつ、どうしても見たくて見たのが、これ。
ユダヤ系ドイツ人で、強制収容所に収容されたが脱出し、アメリカに亡命した実存の哲学者ハンナ・アーレントが主人公。
彼女はナチス親衛隊でユダヤ人担当課のアドルフ・アイヒマンの裁判を傍聴。
悪魔かモンスターかと思っていたアイヒマンが、凡人すぎるほどの凡人の小役人だったこと、
その凡人さと途方もない大きな悪行との関連性、
600万ともいわれている仲間の犠牲には、同じ仲間の加担もあったこと、
などを『イェルサレムのアイヒマン―悪の陳腐さについての報告』にまとめ発表。
この内容がナチ擁護だとして大きな批判を浴びる。
かつての友人や仲間もどんどん離れて行く中で、「自分は彼を擁護しているのではなく、理解を試みるだけ。この裁判について書く者には理解する責任がある」と訴える。
が・・・。なかなか理解されない。同年代以上の男性に、特に。
若い人には彼女の言っていることのまっとうさが受け入れられているのに…。
彼女は訴える。
「思考ができなくなると、平凡な人間が残虐行為に走る。過去に例がないほど大規模な悪事を。
考えることで人間が強くなる。危機的状況にあっても、考え抜くことで破滅に至らぬよう」
思考しなければ。