やっぱり名作と言われるものは映画館の大きなスクリーンで観なきゃ!
と、昨日から京都シネマでロードショウとなったかつての名作、『ベニスに死す』を観に行った。
巨匠と言われる監督、ルキノ・ヴィスコンティの作品を一度じっくり腰をすえて観賞したかったし、
ヴェネツィアの街もじっくり見てみたいし。
で、観ました。
・・・・・・うーむ。
主人公は初老の作曲家。
いろいろな辛い出来事にうちのめされて体調を崩し、ベニスに静養にきている。
この主人公、哀れとは思うけど、陰気すぎて、嫌悪感すら感じる。
初老の男性が美少年にほれ込むというのも、理解できないし…。
しかし、美少年タジオは、本当に非の打ちどころのない美少年だった。
主人公が暗くじめじめしているので、タジオが映るとホッとする。
観ている間はよくわからなかったが、帰ってルキノ・ヴィスコンティを検索し、
彼がバイセクシャルとわかって、ようやくガッテン、ガッテン。
じゃなきゃ、撮れないよねー。
そして、最後の方で、「あれ? 何かに似ている」と感じた。
『ブラック・スワン』だ。
ストーリーは全然違うけど、主人公がずっと自分の殻を破れずにきたところとか、
だんだん危ない人になっていく様子とか、最後に恍惚の中で亡くなるところとか。
ただ、『ブラック・スワン』の主人公があっぱれ男前な死に方だったのに比べ、
こちらの主人公の方は情けなくて女々しい。
感動と言えるものは全くなかった。
好きでもない。
けど、情けなさぶりが徹底しているこの主人公のおかげで、たぶんずーっと記憶に残ると思うわ、この映画。
それが巨匠の技なのか?