豆ちゃんの大原野だより

 映画、音楽、本、お気に入りの場所、食べ物等々……。感動したこと、体験したことを大好きな大原野の風景と共に発信

かけはし~ハンセン病回復者との出会いから

2011年08月27日 | 

 

発行されたのは2009年の5月。

その後すぐに読んだのだが、これまで、何度も紹介しようとしつつ、なかなかできなかった。

紹介文を書くために内容を確認しようとするとあらためて読みふけってしまい、

そして号泣してしまう。

それも甘い涙ではなく、結構つらい涙。

『かけはし ハンセン病回復者との出会いから』 小川秀幸 著  近代文芸社 発行 1500円(税別)

この本は、社会情勢の見方の参考にするため時々覗いているジャーナリストの大谷昭宏さんのHPで紹介されていて、興味を持った。

その紹介文はこちら ↓

http://www.otani-office.com/scrap/0905.html

著者は三重テレビのニュースデスクで、三重県庁で30年にわたってハンセン病担当官を務めた高村忠雄さんという方の体験を通して、日本のハンセン病隔離政策の非情さを浮き彫りにしている。

ハンセン病と診断された人の家に出向いて、療養所に行くことを勧めたり、入所に同行したりするのが担当官の仕事。

こういう仕事の担当者は、かつて赤狩りをやった特高警察やナチスの親衛隊のような、血も涙もない、人間として何かが欠落したような人ばかりだろうと勝手に決め付けていたが、全く違った。

生木を裂くように家族から引き離される患者本人と家族のつらさは、それこそ筆舌に尽くせないのだが、その様子に心を痛めながら任務を遂行しなくてはならない担当官のつらさもまた、想像を絶する。

発病し、村でうわさになってしまったので、療養所に行く決心をした30代の女性を療養所に連れていく日の朝の回想は、本当に辛い。

女性には8歳の息子がおり、その子に黙って、朝の4時頃そっと家を出てきたのだが、途中で気付いた子どもが「お母ちゃん、お母ちゃん」と泣き叫びながら走って追いかけてきたのだ。

「お母ちゃんは用事に行くだけ、すんだらすぐ帰る」と言い聞かせても、納得せず泣きわめいて母親にしがみつく息子。息子は追いかけてきた父親が強引に連れて行き、母親はその場に泣き崩れる。

「何でこんなことをしなきゃいけないんだろうか。果たしてこのことが、小さな子どもさんの将来にどういう影響を及ぼすんだろうか。もう療養所へ連れて行くのをやめてこのまま家に帰ろうかと思ったことも度々ありました」(本文より)

一度でも辛すぎるこのようなことが、度々あったのだという。

最初は辛くて辞めたいと思った高村さんだが、患者とつきあい、頼りにされるうちに、一生つきあっていくことを決心する。

患者からの頼まれごとの中には、個人的な財産処分に関わるものの他、「病気への啓蒙」もあった。

遺伝病ではなく、感染力もそれほど強くないこと、効果的な治療薬もあることなどだ。

また、担当官たちは、治療薬の効果が出始めた頃、全国の担当者会議で厚生省に、在宅治療を提案している。

しかし、らい予防法を盾に一蹴された。

治療薬があってそれで治るのに、一つの差別法があったために不幸のどん底に落とされる人は、増え続けたのだ。

一市民のささやかな幸せを根こそぎ奪い去る人権侵害を推奨するのが差別法だ。

その恐ろしさと酷さが痛いほどわかると同時に、「法で決められているから」と思考停止にならず、差別や偏見が強い中でも人間としてすべきことを見据えて努力しつづけた高村さんたち担当官の生き方に頭が下がる。

読み進めるのがつらいが、文体はやわらかくて読みやすい。

ぜひ多くの人に読んでほしい。

 

 

 

 

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恐竜誕生

2011年08月26日 | 子ども

生まれましたステゴザウルス。
……。
もうちょっと上手く着色できんかったんかいなーと思う。
目なんか、片方の黒目が上向いてるし。
息子は、恐竜の体が膨れていく証だと思って喜んでいる。
「違うやろー!作った人がヘタクソやっただけやん!」という突っ込みは、もちろんしていない。
何でもいい方にとらえられるもんだなと、むしろ感心した。
まあ、この目、愛嬌があって見てる者の笑いを引き出す効果はある。


このステゴちゃんを見て、以前読んだバービー人形の服の縫製の内職をしていた日本のおばちゃんたちのエピソードを思い出した。
経費削減のため、服の裾のホツレ止めの作業はしなくてもいいとの指示が会社からおりた時、おばちゃんたちは、「その分の工賃は要らないから、ホツレ止めをさせて欲しい」と申し入れたそうな。
物作りへのこだわりと、買った人(女の子)をガッカリさせたくないという気持ちがそうさせたのかな。
あっぱれ!見習わなくては。

うちのステゴちゃんの目も、もしかして、笑えるようにわざとああしてくれたのかな?
そう思うことにしよっと。

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恐竜の卵

2011年08月23日 | 子ども

先週の土曜日、息子は私の姉に連れってもらって名古屋市科学館へ。

そこで買ってもらったのが、これ。恐竜の卵。

水に浸けておくと、一日後に中からおもちゃの恐竜が出てくるらしい。

昨夕つけておいたら、今朝、卵が少し割れて、中から恐竜の一部が見えかけている

さて、どんなものが出てくるやら…。

なかなか楽しみだ。

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誕生日

2011年08月20日 | 日記

今日は私の誕生日。

年々、時間が過ぎていくのが早くなるように感じるが、この1年は特にアッと言う間だった。

なのに3月の大地震が遠い昔のことのようにも思える。

その一方で、そう昔のことと思えない高校時代がもう20数年も前のことだったりする。

先日も久しぶりにお盆に生まれ故郷に帰った。

「そういえば、しばらく帰っていなかったなぁ」と何年ぶりになるかを数えたら、22年ぶり!

そんなになるか?とちょっと驚いた。

なのに、盆踊り会場で久ーしぶりに会った親戚のお姉さんや、友だちのお母さんに「何も変わっていない」と言われ、嬉しいような、悲しいような…。

年々誕生日はそう嬉しいものではなくなっていくが、今年は地震などがあって命のはかなさを感じることが多かったので、この年齢を迎えられたことに感謝している。

これからも、この「アッと言う間の1年」を繰り返して老いて行くのかも知れないけど、それができるのは恵まれているということだと、あらためて…、いや、初めて思う。

ちょっと年寄りくさいことをしみじみと考えているバースデイの朝でした。

これから出張です。本当はしみじみしてる暇はない。

サッサと準備しなくっちゃー。

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熊本

2011年08月09日 | 日記

仕事で熊本に行っていた。

高2の修学旅行依頼、2回目。

熊本市のみの滞在で、熊本城のすぐ近くに泊まったので、早朝、お城の周りを散歩した。

すごいね、熊本城。

中には時間がなくて入れなかったけど、周囲の石垣を見ているだけで圧倒された。

築城に19年かかったそうだけど、重機もコンピュータもない時代、

こんな石垣が組めることに驚くのに、さらに建物まで。

石と木という天然素材に、派手さのないモノクロの色遣い。

武骨でストイックな感じがまたなんとも味わい深い。

大阪城は規模と豪華さで皆の度肝を抜いたそうだけど、

武士の精神が込められたような熊本城には、

多くの武士がしびれたのではないだろうか。

池波正太郎が、「秀吉と清正は、当時の日本の第一級の土木建築士」と言っているけど、

今でも超一級なのではないかと思ひます。

向こうでお会いした熊本の人が、

「熊本は、熊本城と水前寺公園と阿蘇くらいしか見るところがなくてねー」と、言っておられたが、

熊本城だけでも、遠くから来て見る価値かなり有!ですよ~。

加藤清正がすごい武将とはいろいろな本で読んでいたけど、熊本城を見て一気にファンになってしまった。

城の隣にある清正神社に、「清正公を主人公にした大河ドラマを!」という署名用紙があり、

署名して帰ってきました。

主人公は城でもいいよ。

物作り大国・日本らしく、この城を作る時の様子をしっかり描いたドラマを作ってほしいな。

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はじめてのおつかい

2011年08月03日 | 子ども

一昨日、夕飯にスープを作ろうとすると、牛乳が足りなかった。

作るのを諦めようかと思ったが、…待てよ。

この日の昼間に読んだ新聞記事で、キッザニア東京や、キッザニア甲子園などのテーマパークを展開しているキッズシティジャパンの社長がこう語っていた。

「子どもは力があるのに、大人が経験させようとしないだけ」

息子も5歳。私も母親に言われて初めておつかいに行ったのが5歳だった。

よっしゃ、息子におつかいに行ってもらおう!

テレビを見ているので嫌がるかと思ったら、意外にあっさり息子は快諾。

500円玉を渡し、ポケットのないズボンをはいていたので、ポケットのあるズボンに履き替えさせ、

いってらっしゃ~い。

が、心配でたまらない。

お店は、自宅から400メートルくらい離れたところにあるコンビニ。

一つ信号を渡らねばならない。

大丈夫とは思うものの、前に青になって横断歩道を渡っていたとき突っ込んできた車がいたしなぁ・・・。

心配なので後をつけることにした。

息子が家を出て5分くらい経っていたので、もう見当たらず、コンビニが見えるところまできたがもう中に入っているようだった。

遠くから見ていると、ナイロン袋を重そうに下げた息子が出てきたので隠れる。

私が隠れているところを通りすぎたとき、息子は私と同年代くらいの女性と話をしながら歩いていった。

どうもその女性が付き添ってくれているらしい。

セミが気になる息子が時々足を止めて木の上を見上げているときは、その女性も立ち止まってくれている。

心配だった横断歩道も、一緒に話をしながら渡って歩いて行った。

安全なところまで来たのを見届けて、先回りして家に帰り、少し経つと「ただいまー」と息子。

「はい、牛乳。おつりはこれ」

おつりとレシートは、コンビニの店員さんが別のナイロン袋に入れて持たせてくれていた。

「ありがとうー。助かった―」と褒めると、息子は、おやすい御用よ!とでも言いたそうな顔。

また、すました顔でテレビを見始めた。

初めてのおつかい、まずは成功。

付き添ってくれた女性、コンビニの店員さんに感謝、感謝。

 

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