鉄鍋ぎょうざとお酒のお店 杏っ子 店主徒然日記

梅雨の合間 鴨川散策
子連れの鴨が のんびり泳いでます

お正月の 2冊です

2007-01-03 03:28:44 | 杏っ子
あけましておめでとうございます。
本年も どうぞよろしく お願い致します。

年末年始を 金沢で過ごして来ました。
例年になく 暖かい穏やかな お正月を、過ごすことができました。 妹夫婦と母を伴って 毎年恒例 近所の小阪神社へ初詣です。ここは 私が小学生の6年間 毎週水曜日 こちらの宮司さんに絵を習っていた思い出深い神社です。一水会に属して風景画を得意とした先生でしたが 数年前に亡くなられたということです。
昨年は 途中で立ち止まることなく 本殿までの石段を登った母でしたが
このお正月は 二度ほど止まって 息を整えていました。
桜の頃に呼ぶつもりでいますが 足場のよいところを探さねばと思いました。

画像の二冊の文庫本は 帰省前の京都駅で買ったものです。
鷺沢萠は デビュー当時からの愛読者でしたが 三年前の春、36歳の若さで自ら命を断ちました。「ビューティフル・ネーム」は彼女の遺作となった小説
です。デビューして数年後 人気作家となって注目された時期に 自ら在日であることを 「カミングアウト」して以降の 彼女の作品は 在日であることを 強く意識したものになってゆきました。この作品もテーマは同じです。
18歳で文学界新人賞を受賞した「川べりの道」や「葉桜の日」は デビュー当時の宮本輝を彷彿とさせる 叙情的で美しい短編で 今でも時々読み返しています。

もう一冊は 糸山秋子氏の「海の仙人」。
タイトルが気に入って買いました。私にとっては 氏の初めての作品です。
敦賀の気比海岸で隠遁生活をおくる青年と彼を取り巻く二人の女性 そしてファンタジーという名の役立たずの神様のお話。
私は 物語の中で 主人公の恋人、もしくは大切な人が亡くなるという設定のものは読まないのですが この小説は偶然タイトルだけで選んでしまい 40代を過ぎたばかりで乳がんで亡くなる恋人を、介護する主人公に 迂闊にもしっかり感情移入してしまい エライ体力を消耗してしまいました。
170ページに満たない中篇ですが この人スゴイです・・・
並みの作家の描写力ではありません・・・読みながら「このぉ!」と感嘆する場面が、いくつも出てきて 久しぶりに堪能致しました。
愛読書が一冊増えました。
お正月のお年玉を頂いた気分です。