あんこさんモノローグ

CafeTenのあんこさんのひとりごとです。

べんけい 再び

2013-12-11 12:43:00 | こんなコト ありますけん
小田原 プラモデル屋 べんけいさん
9月にもらい火でお店が焼けた

「 べんけい焼けちゃったね 」  「 子供の頃からずっと通ってたんだよ 」 
うちのお客さん 何人もに言われた    

小田原の男の子でべんけいを知らなきゃ 「 モグリ 」 
と言われるほど 昔から親しまれた模型屋さん

ファンが 喉から手が出るほどの貴重なお宝や
片手に乗るほどの小ささのレア物 50万円も焼けた ( 店主談 )

何十年来のファンがいて 県外から電車に乗って来たり 親子二代で買い物に来ていたり・・
その人たちはどれほどのショックだっただろう

火事の翌日から 大事を聞きつけたお客さん達が 店の片づけを手伝ってた
残暑厳しい9月末 煤で真っ黒になって 汗びっしょりになって・・
ボランティアの彼らに 笑顔で話すおじさんが痛々しかった
その中に私の従弟 M君もいた

M君も 子供の頃からべんけいに通ってた
うちが緑町に引っ越してきてからは
土曜はうちでランチを食べ 帰りにべんけいに買い物に寄って・・

ある土曜 私がべんけいに回覧板を持って行き 
 「 何買ったの? 」ってM君に話してたら おじさんが  「 ・・ ?? 」
 「 イトコなんですよ 」 の言葉にとっても驚いて 
 「 へえ! そうだったの! 」 って嬉しそうに・・
幸運にも焼け残ったプラモデルは その従弟の家で一時預かった               


三軒続きの真ん中の居酒屋 営業中に出た火



出火元の二階に燃え移った火は 両隣の二階にまわった

     
 
焼け落ちた炎が右隣のスナックと 左側のべんけいの一階にぼとぼとと落ちた
その炎を見ながら 「 うちもダメかな ・・ 」 とつぶやいたおじさんに
かける言葉を探せなかった

目の前で炎と煙に包まれた自分の城を どんな気持ちで見ていたのか

回覧板や自治会費を集めに行くと 「 頭 気をつけて 」 と言ってくれた 半分だけ開いてるシャッター
その建物は先月取り壊され 平地になった

    

そして・・・・・・

今月頭 ランチ後に買い物に出て 店からちょこっと歩いたトコで・・
あ・・ れ・・ ? これ・・  
べんけいおじさんのバイク  ・・ ??
火事で焼けちゃう前は いつも店先に停まってた 
でかくてかっこよくてぴかぴかのバイク 

すると 建物の中からおじさんが・・
 「 こんにちは 」 の私に 
 「 ああ こんにちは 」    いつものおじさんの笑顔だ
 「 こんどね ここで店をやることになったよ 」

そこは 前あった場所からほんの25歩の 空き店舗
以前の半分もない広さのこの店から 新生べんけいを始めるという

    

おととい通りがかったら もう零戦が並んでた



 「 あと10日くらいかな? 」   この張り紙が・・
『 12月中旬新装開店  』

   
「 ホント! 良かった      」 心からそう思ったんだ

常連客はどれほど喜ぶだろう
そして私は おじさんのその顔を見ただけで嬉しくて
ちょっぴり泣きそうになった