自分の心の中で思い描いている理想の音と、実際に自分が好きな音というのは
必ずしも一致しない。今まで出会ってきたギターから、この事実を何度も
教えられた。セミアコには長いことまったくいいイメージを持っていなかったが、
実際に弾いてみたら実はセミアコの音が自分にとって実に魅力的な音なんだ
ということがわかったことがある。また、ベースの音ではジャズベースの音が
最高だと思っていたのに、実際に弾いてみたジャズベースの音はどうにも気に
いらず、実はバイオリンベースの音こそ自分の好きな音だということがわかったり。
そして最近、また今までの自分の思い込みを打ち砕く経験をした。自分にとって
テレキャスターというギターは、一生縁のないギターだと思っていた。これまで
聞いてきたCDに限って言うと、テレキャスターの音といえばチャキチャキ、
キンキン、という高音ばかりが目立つ非常に耳障りな音か、カントリーミュージックで
聞くことができるような、良い言い方をすればルーツ音楽に似合う音、悪く言えば
どんくさい音にしか聞こえなかった。
自分にとって理想的な音といえばストラトで、特にシングルコイルのサウンドが
大好きな私としては、ずっと最高のストラトサウンドをいつも追い求めていた。
だから、長年ギターを弾いてきた人生の記念に、いつか自分への記念碑として高価な
ギターを購入するとすれば、当然ストラトを購入する、と思っていた。仮に気が
変わってストラトを購入しなくなったとしても、レスポールあたりを購入することに
なるだろう、と思っていた。ところが、ところが、だ。
先日立ち寄った楽器屋さんに、ホワイトアッシュ製のテレキャスターが置いてあった。
これまでまったくもって興味のなかったテレキャスターだが、ホワイトアッシュ製
というところが気になる。実は、いつか自分でストラトをオーダーメイドすることが
あったら、そのボディーを何にするかで悩んでいたのだ。一般的にはアルダーか
ライトアッシュになるのだが、正直どちらもありきたりな音だ。アルダーはよほど
いい具合の材でないと、可もなく不可もなし、というありがちなアルダーらしい音に
なる。ライトアッシュも似たような性格で、とてもいい材なら乾いた透き通る音に
なるのだが、そうでないとただ軽くてぼやけた音にしかならない。
これに対してホワイトアッシュは、非常に固く高音の鋭い音になる。一般的には
ストラトに使用するとガリガリの音になりやすいので、敬遠される傾向がある。
実際に私も弾いたことがあるが、ほとんど弦だけが振動しているような、とても
金属的な音だった。そのため、ホワイトアッシュにはあまりいい印象がなく、もしも
ホワイトアッシュを使うならアルダーやライトアッシュにラミネートする形で
多少音に輪郭を持たせるようにしよう、くらいのことを考えていた。
そんなこんなで、舞台は楽器屋さんに戻る。ちょうど目の前にホワイトアッシュの
ギターがあり、どんな音がするんだか、いい機会なのでもう一度確かめてみようと
思い、試奏させてもらうことにした。店員さんがそのギターをアンプにつないで
チューニングをはじめた。すごくギャリギャリの音が出てくるだろう、と覚悟して
横で待っていたが、アンプから出てくる音は、以前に自分が弾いたホワイトアッシュの
ストラトとは違う、太くてガッツのある音だった。
チューニングが終わって弾いてみると・・・・、いい。実にいい。これが本当に
ホワイトアッシュのテレキャスターの音なのか?と信じられない思いだった。
コードを弾いても、単音を弾いても、音がつぶれない。各音に分離感があり、
しかも音が痩せていない。強く弾けば強く響き、弱く弾けば弱く響く。まるで
西郷どんのようなギターだ。何より驚いたのは、倍音成分の多いテレキャスターの
ピックアップだ。これまでは、その倍音成分が耳障りでいやで毛嫌いしていたのだが、
このギターはそんなことはなかった。倍音成分はいい具合に音をドライブさせて
いて、耳障りどころかむしろ心地よかった。
なぜ、あのホワイトアッシュのテレキャスターはいい音なのか?いろいろと考えて
みたことだが、ホワイトアッシュのストラトとの違いは、ピックアップの違いも
さることながら、ネックの太さが違ったと思う。ストラトのネックは '70s の
ストラトなので細くて薄かったのに対して、テレキャスターのネックは太くて厚みが
十分にある。また、テレキャスターのボディーはストラトのボディーとは違い、
コンター加工がされていない。つまり、単純に木の量が違う。それによって、
ホワイトアッシュの高音成分だけが強調されることがなくなり、ああいう音になったの
ではないか。木が多ければそれだけナチュラルな低音が補足されることになり、
それによって高音が耳障りではなくなる。ちょうど、ラジカセで聞くと騒々しい
バイオリンの音が、重たい高級スピーカーで聞くと、実に伸びやかできらびやかな
音になるのと似たようなことだと思う。高音というのは、十分な低音が伴っていて
はじめていい音になるのだ。
今まで実際に弾いたテレキャスターは、アルダーかライトアッシュのものだった。
いわゆるテレキャスターの音がするギターで、ペラペラな音だったりジャキジャキの
音だった。その音が好きなんだ、という人も当然いると思うので否定はしないが、
テレキャスターというのは、実際のところ十分な重量のあるがっしりしたボディーと
ネックを組み合わせないと、いい音はしないのだと思う(私にとっては)。
必ずしも一致しない。今まで出会ってきたギターから、この事実を何度も
教えられた。セミアコには長いことまったくいいイメージを持っていなかったが、
実際に弾いてみたら実はセミアコの音が自分にとって実に魅力的な音なんだ
ということがわかったことがある。また、ベースの音ではジャズベースの音が
最高だと思っていたのに、実際に弾いてみたジャズベースの音はどうにも気に
いらず、実はバイオリンベースの音こそ自分の好きな音だということがわかったり。
そして最近、また今までの自分の思い込みを打ち砕く経験をした。自分にとって
テレキャスターというギターは、一生縁のないギターだと思っていた。これまで
聞いてきたCDに限って言うと、テレキャスターの音といえばチャキチャキ、
キンキン、という高音ばかりが目立つ非常に耳障りな音か、カントリーミュージックで
聞くことができるような、良い言い方をすればルーツ音楽に似合う音、悪く言えば
どんくさい音にしか聞こえなかった。
自分にとって理想的な音といえばストラトで、特にシングルコイルのサウンドが
大好きな私としては、ずっと最高のストラトサウンドをいつも追い求めていた。
だから、長年ギターを弾いてきた人生の記念に、いつか自分への記念碑として高価な
ギターを購入するとすれば、当然ストラトを購入する、と思っていた。仮に気が
変わってストラトを購入しなくなったとしても、レスポールあたりを購入することに
なるだろう、と思っていた。ところが、ところが、だ。
先日立ち寄った楽器屋さんに、ホワイトアッシュ製のテレキャスターが置いてあった。
これまでまったくもって興味のなかったテレキャスターだが、ホワイトアッシュ製
というところが気になる。実は、いつか自分でストラトをオーダーメイドすることが
あったら、そのボディーを何にするかで悩んでいたのだ。一般的にはアルダーか
ライトアッシュになるのだが、正直どちらもありきたりな音だ。アルダーはよほど
いい具合の材でないと、可もなく不可もなし、というありがちなアルダーらしい音に
なる。ライトアッシュも似たような性格で、とてもいい材なら乾いた透き通る音に
なるのだが、そうでないとただ軽くてぼやけた音にしかならない。
これに対してホワイトアッシュは、非常に固く高音の鋭い音になる。一般的には
ストラトに使用するとガリガリの音になりやすいので、敬遠される傾向がある。
実際に私も弾いたことがあるが、ほとんど弦だけが振動しているような、とても
金属的な音だった。そのため、ホワイトアッシュにはあまりいい印象がなく、もしも
ホワイトアッシュを使うならアルダーやライトアッシュにラミネートする形で
多少音に輪郭を持たせるようにしよう、くらいのことを考えていた。
そんなこんなで、舞台は楽器屋さんに戻る。ちょうど目の前にホワイトアッシュの
ギターがあり、どんな音がするんだか、いい機会なのでもう一度確かめてみようと
思い、試奏させてもらうことにした。店員さんがそのギターをアンプにつないで
チューニングをはじめた。すごくギャリギャリの音が出てくるだろう、と覚悟して
横で待っていたが、アンプから出てくる音は、以前に自分が弾いたホワイトアッシュの
ストラトとは違う、太くてガッツのある音だった。
チューニングが終わって弾いてみると・・・・、いい。実にいい。これが本当に
ホワイトアッシュのテレキャスターの音なのか?と信じられない思いだった。
コードを弾いても、単音を弾いても、音がつぶれない。各音に分離感があり、
しかも音が痩せていない。強く弾けば強く響き、弱く弾けば弱く響く。まるで
西郷どんのようなギターだ。何より驚いたのは、倍音成分の多いテレキャスターの
ピックアップだ。これまでは、その倍音成分が耳障りでいやで毛嫌いしていたのだが、
このギターはそんなことはなかった。倍音成分はいい具合に音をドライブさせて
いて、耳障りどころかむしろ心地よかった。
なぜ、あのホワイトアッシュのテレキャスターはいい音なのか?いろいろと考えて
みたことだが、ホワイトアッシュのストラトとの違いは、ピックアップの違いも
さることながら、ネックの太さが違ったと思う。ストラトのネックは '70s の
ストラトなので細くて薄かったのに対して、テレキャスターのネックは太くて厚みが
十分にある。また、テレキャスターのボディーはストラトのボディーとは違い、
コンター加工がされていない。つまり、単純に木の量が違う。それによって、
ホワイトアッシュの高音成分だけが強調されることがなくなり、ああいう音になったの
ではないか。木が多ければそれだけナチュラルな低音が補足されることになり、
それによって高音が耳障りではなくなる。ちょうど、ラジカセで聞くと騒々しい
バイオリンの音が、重たい高級スピーカーで聞くと、実に伸びやかできらびやかな
音になるのと似たようなことだと思う。高音というのは、十分な低音が伴っていて
はじめていい音になるのだ。
今まで実際に弾いたテレキャスターは、アルダーかライトアッシュのものだった。
いわゆるテレキャスターの音がするギターで、ペラペラな音だったりジャキジャキの
音だった。その音が好きなんだ、という人も当然いると思うので否定はしないが、
テレキャスターというのは、実際のところ十分な重量のあるがっしりしたボディーと
ネックを組み合わせないと、いい音はしないのだと思う(私にとっては)。