こんばんは
今日は医療安全講習ということで、医療系弁護士の方が講演をしてくださっていました。少し遅れたらメイン会場は入れなかったので、サブ会場のほうで映像を見ておりました。
実際の訴訟の話をしてくださっていましたが、医師の目から見て「それは医療系が確認をするべきだった」と思ったものもありましたし、「それは実際は厳しいなぁ」と思ったものもありました。
さて、話は変わりますが、コメント非公開希望ということで質問をいただきました。ちなみにコメント非公開希望の質問にはこういう形(新しい記事)で返事をさせていただきます。
ご質問内容は「なぜ必要な検査なのに、保険でカバーされていないのか」ということでした。これは要約したものです。
実際、医療を行う上でいろいろ困ることがいっぱいあります。本当に様々な検査・薬が保険では適応になっていません。
例えば簡単なところでは、痛みどめの「胃潰瘍予防」に関してです。プロスタグランジン製剤のミソプロストールという薬が「唯一」の予防の保険適応がある薬ですが、実際の診療では少なくとも「H2ブロッカー(高容量)」か「プロトンポンプインヒビター」を使うことが推奨されています。
今日、たまたまレセプトチェック係にあたっていたので、血液内科の外来診療の保険病名の確認などを行っていましたが、実際の病名ではなくとも「保険を効かせるため」に別の病名を書かざるを得ません。
何故か。
1、保険適応のあるものだけを使っていて、患者さんの不利益を与えないため
2、ガイドラインやエビデンスの高いものが保険では認可されていないので、それを理由に使用していなかった場合に「必要な処置を怠った」といわれてしまうから
3、仮に保険病名をつけずに必要な医療を行うと患者さんの負担が大きいため(もし、混合診療禁止…などといわれたら、保険診療なんて意味をなさなくなりますよね)
他にもいろいろありまして、僕が今日付け加えた病名は「慢性骨髄性白血病」があります。ハイドロキシウレア(ハイドレア)は骨髄増殖性疾患などで血球コントロールのために使われる(世界的にも推奨)薬ですが、保険病名でとおっているのは「慢性骨髄性白血病」だけです。
そういう話です。
保険病名をつけて診療をしているのを詐欺みたいなものといっているマスコミさんを見たことがあります。そういうマスコミさんは言っていただければ保険病名で通っているもの以外使わずに診療してみてもいいです。恐らく、かなり早く亡くなります。本来使うべき「副作用を予防する薬」などが使用できなくなったりするので。
検査に関してもいろいろあります。すぐ思いついたものとして真性多血症があります。この疾患の95%以上にJAK2遺伝子の変異があります。その為、診断基準の大項目に「JAK2 遺伝子変異」があります。ところがこの検査は保険診療内ではないため、基本的にはもう一つの基準である「ヘモグロビン値+エリスロポエチン低値+骨髄所見」を満たすほかはないわけです。
骨髄腫などもそうですね。保険は通っているけど、月に1つと限定されているからFISHは普通に考えるとそろえたいデータをそろえるのに半年以上かかる。この遺伝子変異があったら予後不良とかこの薬は効かない…とわかるのは半年後・・・では患者さんの不利益になる。
なぜ、必要な検査が保険を通っていないのか。一つは情報の更新が遅いからだと思います。もう一つはすべてを通していると、保険が破たんするということでしょうか?ただ、こうは書いたもののハイドロキシウレアとかは十年以上放置ですし、他のものもそうですよね。行政の怠慢なのか・・・僕には何とかいてよいのかわかりません。
だって、行政の方も新しい基準やデータが出るたびに保険病名を更新するというのは非現実的です。
だから、保険の審査をする医師たちも「これは常識の範囲内で、言いだしたらきりがない」と思うものは多分見逃してくださっているはずです。
そうはいうものの・・・・現場の医師はいろいろなことを考えて保険病名をつけたり、いろいろやっております。それがまた余計な負担になるわけですが。僕も今日2時間くらいレセプトの仕事していましたし。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。
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それでは、また。
おかわりありませんか?
今朝女性が電車にはさまり乗客が皆で電車を押して救助援助をしているニュースが流れていました。
見てて自然と涙が流れました。助けあわなければいけませんね。
今日は先生にお礼を…とおもい書き込みました。
先日いただいたアドバイスの漢方薬がよく効いたみたいで、フラフラでもう先が長くないのかな…と思った時もありました。
相変らず体重が増えにくくガリガリですが、目に力が出て声にも張りが出てきました。食欲も出てきてありがとうございました。
ただベルケイド3ク―ル位から副作用の下痢が出始めオムツが離せません。頓服を服用しますが、最近は休薬期間でも下痢気味です。一難さってまた一難。
本当に得体のしれぬ病に恐怖を感じます。
暑い最中大変多忙を極めてらっしゃると思いますが、お体ご自愛ください。
本当に助けていただきました。ありがとうございましたm(__)m
こんばんは、コメントありがとうございます。
電車の話はよい話でしたね。日本人ならではと、諸外国でも言われていたとか。
十全大補湯の方を使用されているのだと思いますが、お母さんの体に合っていたようでよかったと思います。
骨髄異形成症候群に対しての有効性はまだわからないかもしれませんが、声に張りが出てきて、食欲も改善したということであればよかったと思います。
ベルケイドの副作用でお困りとのことですが、主治医の先生と相談しながらうまく乗り切っていただければと存じます。
また、コメントいただければと存じます