新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

混合診療に関しては本当によく考えよう

2014-06-15 21:39:29 | 医療

こんばんは

 

今日は午前中は病棟にはいかずに医局から電子カルテで患者さんの状況をチェックしておりました。まぁ、よいかな~と思って帰ってきたら、午後1時ころ病棟に呼び出され・・・(汗

 

やってきて開口一番看護師さんに言われたのは

「先生、毎日来てますよね」

と。

 

う~ん、来週末は病棟にはいかないぞ・・・と心に誓ったところです。

 

さて、本日は非常に重要な話が神奈川新聞から出ていました

 

混合診療拡大問題 「なし崩し的解禁」懸念 国民皆保険制度が崩壊に

http://www.kanaloco.jp/article/73061/cms_id/86365

保険診療と保険外の自由診療を併用する「混合診療」の拡大をめぐり、安倍晋三首相は患者の意向を尊重して未承認薬などの使用を認める「患者申出療養(仮称)」の新設を打ち出した。13日に提出された政府の規制改革会議の答申に盛り込まれた。新たな医療技術の導入によって新薬や医療機器の開発を促進し、日本経済の成長につなげるという。従来、患者や医師の団体は「国民皆保険制度の崩壊をもたらす」「医療の格差拡大につながる」などとして混合診療の拡大に反対してきた。健康に関わる医療を成長戦略に位置づけることの是非も含め、患者や医療現場の声を聞いた。

 

 混合診療拡大へ向けた新制度の必要性について、安倍首相は「困難な病気と闘っている患者」の存在を挙げた。ところが、全国の難病や長期慢性疾患の患者団体82(約30万人)で構成する日本難病・疾病団体協議会事務局長の水谷幸司さんは「安心して受診できる保険診療の拡充こそが患者の願いだ」と指摘し、「混合診療のなし崩し的な解禁は、憲法に基づき健康権を保障した国民皆保険制度の原理原則に関わる」と強い懸念を示す。

 

 患者申出療養の原型になったのは、政府の規制改革会議が打ち出した混合診療の拡大案「選択療養」だ。患者と医師が合意して未承認薬などの使用を申請し、審査に通れば保険診療との併用を認めるもので、現行制度よりも審査を迅速化。同会議は「患者の選択肢が大幅に広がる」とメリットを強調していた。

 

 「本来、患者にとって必要なのは、混合診療原則禁止を堅持した上で、患者が支払う負担金が高額になったときに一部が払い戻される高額療養費制度の限度額引き下げと給付率の引き上げだ。現行制度を改善し、難病患者らの負担の軽減することが先決ではないか」と水谷さん。

 

 患者の意向尊重は自己責任と裏腹でもある。「(新たな仕組みは)安全な医療を確保するという公的責任の観点が抜け落ちているのではないか。現実には専門家としての医師と患者は、医療知識に対して大きな開きがあり対等ではない。根治療法のない患者はわらをもつかむ思いが先立ってしまいがちだ」と指摘し、公的保険制度に基づく医療だからこそ誰もが安心して受診できると強調する。

 

 ■思 惑

 混合診療拡大の裏には、保険給付の縮小による患者負担の拡大、国の医療費負担削減の思惑も見え隠れする

 

 水谷さんは言う。「医学の進歩による高度な治療技術の開発は難病患者にとって大きな希望となる。ただし、先端的な医療が高額だからといって自由診療のまま保険を適用しなければ、経済的理由によって新たな医療技術の恩恵を受けられない患者が出てくる。結果、症状が重症化し、医療費増大につながるし、医療格差の拡大にもなる

 

 患者申出療養の実施に当たっては、先例のない治療については全国15の臨床研究中核病院が国に申請し、安全性、有効性を迅速(原則6週間、現行は平均6、7カ月)に審査。2例目からはさらに審査を短縮し、危険性の低い治療については患者に身近な地域の病院や診療所でも受診できるようにする

 

 この点について水谷さんは「もちろん最先端の治療の実用化は歓迎すべきだ。しかし、安全で有効な治療として担保されているかどうかが重要。海外で承認された薬が国内未承認という『ドラッグラグ』の短縮は必要だが、わずか6週間の審査で安全性、有効性の確認は可能なのか疑問に思う」との考えを示す。

 

 そして、こう続ける。「リスクが低く身近な医療機関でも受診できる医療であれば、なぜ保険適用しないのか。むしろ新たな制度では保険適用を前提としない自由診療を国が公認することになり、有効性や安全性が未確認の自由診療が横行することにならないか」。水谷さんは、混合診療の解禁は全額自己負担となる自由診療部分を拡大し、健康権を揺るがすと警鐘を鳴らす。その上で、混合診療の原則禁止の下、例外的に認められている保険外併用療養の縮小、保険適用の迅速化を訴える。

 

 ■反 発

 県内で保険診療を行う医科、歯科の開業医約6千人が加入する県保険医協会は、混合診療拡大へ向けた規制改革会議の検討過程の節目節目で政策部長名の談話を発表し、疑問を投げ掛けてきた。「国内で実績のない治療が臨床研究中核病院をフィルターにして、市中病院や診療所に広がっていく。未確立な医療が医療現場にまん延していく危険性が高い」。同協会事務局次長の高橋太さんも、野放図な混合診療の拡大に危機感を抱く。

 

 現行の保険外併用療養では、安全性・有効性が確立し薬事承認された医薬品・医療機器を使用する「先進医療A」(56種類、5月1日現在)と、治験未実施の未承認薬・機器を使用する「先進医療B」(38種類、同)が認められている。いずれも将来の保険適用を評価する目的(評価療養)だが、高橋さんは「新しい仕組みは保険導入を度外視している」とみる。

 

 同協会の調べでは、保険導入を見据えた現行制度の下でも、保険適用になった医療技術は先進医療Aですら69のうち8技術(2014年1月現在)で、先進医療Bは制度創設以来わずか1件にとどまる。「新しい仕組みの導入は、評価療養の意義さえ崩しかねない」と、高橋さんは「保険外」が恒久化する可能性を指摘。審査の迅速化についても「先進医療Bでさえ審査に6カ月、そのうち抗がん剤の迅速評価は2カ月の審査を要する。それ以上にスピード審査するというのは、安全性に相当な疑義が付く」と、水谷さんと同様の懸念を示す。

 

 政府は来年の通常国会に関連法案を提出し、2016年度にも実施を目指している。水谷さんは「そもそも患者に関わる問題なのに、患者団体にはヒアリングが一切なかった。今後、事態の推移を見ながら、対応を検討したい」と話す。高橋さんは「ストレートに混合診療の全面解禁とはいかないと思うが、患者申出療養が医療現場に与えるインパクトは大きい。医療倫理や高額医療の跋扈(ばっこ)など、医療界のモラルの問題が起きる恐れがある」と指摘している。

 

 ◆混合診療

 公的医療保険が使える診療と保険で認められていない自由診療を組み合わせること。国は原則禁止しており、保険診療部分も含め全額が自己負担となる。2006年には、例外的に一部の先進医療に限って混合診療を認める「保険外併用療養費制度」を創設。同制度では先進医療などは全額自己負担だが、保険が利く診療については、原則1~3割の負担で済む。

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僕も基本的にここに書いている意見に賛成です。

 

混合診療解禁に関して反対する意見は過去にも書いてきました。

消費税増税と初診料増加:追加で混合診療の話

混合診療解禁へ?:TPP向けかしら・・(月に100万近くを払い続けられるのか?)

TPP参加後も医師が医師として生きれる社会であってほしい

歯学部と医学部では違う:オーダーメイド医療の時代に思う

TPPと医療について考える

TPPは医療に影響を与えないのではないか?

TPPはどれだけ医療に影響を及ぼすか?

勝間和代氏の意見:混合診療推奨に関してはどう思われますか?

まだまだ、いろいろ書いている気がするのですが・・・

 

基本的にTPPに加盟しても、混合診療が解禁されなければ日本の医療は保てそうな気がします。

それは日本の医師数がアメリカなどと比較して少なすぎるので、同じことはできないだろうと思うからです。

 

混合診療が解禁されたときに「医療で儲けよう」と思うと、いろいろできるようになってしまうと思います。病院が儲けるためには自由診療部分に集中する方が良いですし、他にもいろいろ手は打てますからね。

 

日本の医療は恐らく金儲けには走りにくいシステムです。手術費なども割安ですし、薬剤費も…究極のところは献血で提供されている「輸血」に関しては儲けが0になるようになっているため、輸血認定医などがいないと輸血するほど金がなくなる(輸血に必要な機材は消費しますので)。

 

そこに自由診療の範囲が加わると、それを用いて儲けようと思ったらいろいろできるようになると思います。

 

思わず僕だったらこうすると書き始めていましたが、本当に実現するといやなので書きません(今、消しましたw)。

 

混合診療に関しては本当によく考えたほうが良いと思います。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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それでは、また

コメント (2)
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