新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

勝間和代氏の意見:混合診療推奨に関してはどう思われますか?

2012-01-09 12:00:24 | 医療

こんにちは。

今、走ってきました。7~8kmくらいだと思いますが、よい運動になりました。筋トレを行って、今風呂に湯を入れています。その合間に、Blog+英語(実はSpeed learningやっています)+EMS(腹筋鍛える奴)を・・・

で、さらにネットを開くとこんな記事が・・・・。

皆さんはどう思われますでしょうか?

 昨年末に発表された2012年度の診療・介護報酬の同時改定の改定率は、診療報酬全体で0.004%、介護で1.2%という、わずかな引き上げにとどまった。報酬が伸び悩む状況について、「医師不足を解消するためにも、医師に対しては十分な報酬を出すべきです。介護従事者についても同様です」と主張するのは、経済評論家の勝間和代氏だ。その一方で、勝間氏は、現状の日本の医療提供体制を「悪平等」と断じ、EBM【編注】の普及や、混合診療の拡大などの“処方せん”で、その解消を目指すべきと訴える。経済評論家の視点で考えた医療や介護、そして社会保障のあるべき姿とは―。(多●正芳、●は木へんに朶)

【編注】根拠に基づいた医療。治療や投薬が医学的にも経済的にも有効かどうかを評価し、有効と証明された医療。

■「消費税アップの前に納税番号制導入を」

―昨年、税と社会保障の一体改革の成案が示され、社会保障制度を維持するため、「10年代半ばまでに段階的に消費税率(国・地方)を10%まで引き上げ、当面の社会保障改革にかかる安定財源を確保する」ことが提言されました。
 確かに、将来的には、消費税引き上げも必要になってくるでしょう。ただ、その前に、現状の課税漏れがどのくらいあるかをはっきりさせる必要があります。納税番号制の導入も急がなければならないでしょう。言い換えるなら、税制上の“穴”を埋めてからでないと、新たな負担を導入しても、あまり意味はないということです。また、デフレが続いている状況で税率だけ上げても、景気が悪化してかえって税収が減るだけです。1997年の消費税増税による景気悪化で、税収全体は約5兆円も減ったという教訓を忘れています。
 もう一つ、消費税率を上げる前に、本格的に取り組むべきことがあります。「シルバー資本主義」がもたらす、さまざまな不公平を解消することです。

■高齢者への優遇が生み出す弊害とは?

―シルバー資本主義とは、何を意味するのでしょうか。
 高齢者に対する過度な優遇と、それに伴う社会資本の高齢者への偏在を指します。一例を挙げるなら、14歳以下の子どもに対する公的財源の直接支給と、65歳以上に対する公的財源の直接支給の割合は1対11です。他の先進諸国では、この比率は1対1程度です。さらに、デフレーションの局面にありながら、年金支給を物価スライドさせなかった結果、7兆円ほどの過払いが生じてもいます。

―高齢者の貧困も問題になっていますが。
 もちろん、年齢に関係なくセーフティーネットは不可欠です。しかし、現役世代並みか、それより多くの収入を得ている高齢者も少なくありません。そんな人たちにまで、年金を支払ったり、医療費の自己負担を1割に抑えたりする必要があるでしょうか。
 何よりも問題なのは、高齢者への過度な優遇が、若い世代が得るべき社会資本を奪っている点です。その結果、生じているのが、子どもを産まない若年層の増加です。実際、子どもを産める世帯の年収は、ここ10年で50万円ほど減っているのです。教育費全体における公的資金の支出の割合も3.4%にすぎません。5%台が当たり前のOECD(経済協力開発機構)諸国の中では、かなり低いですね。その結果、日本では、国立大学の学費ですら、年間50万-60万円程度とかなり割高となっています。ちなみに、OECD諸国では、国立大学の学費は年間10万-20万円程度です。

■医療・介護の無駄と、世代間の負担の不公平解消を

―シルバー資本主義は、医療や介護には、どのような影響をもたらしていますか。
 公的な医療保険制度や介護保険制度の維持を難しくしている点が、最大の影響でしょう。

―医療保険や介護保険を維持するために、今できる“処方せん”としては、何が考えられるでしょうか。
 簡単に言えば、無駄を省くことです。
 日本では、どこまでを地域診療で担当し、どこからをより高度な医療機関で診るのか、その線引きがいまひとつ明らかではありません。そのため、過剰な医療提供が横行しています。その典型例と言えるのが、薬の重複投与でしょう。
 また、終末期に入り、回復が期待できなくなった患者を無理に延命させるためだけに、大量の薬剤と人員を投入するやり方も、再検討が必要なテーマと思えます。一方でホスピスの整備や、病気の予防への資金投入は、もっと必要ではないでしょうか。介護については、生活援助をどこまで公的保険の範囲でカバーするかなどの課題があります。
 もう一つ必要なことは、世代間の負担の不公平を解消することです。繰り返しますが、高齢とはいえ高所得者の医療費自己負担を1割にとどめる必要があるのでしょうか。また、介護の自己負担についても、検討の余地があります。さらに言えば、医療と介護が、別々の保険でサービス提供されている点も解決すべき課題と思います。

■将来は医療保険・介護保険の一体化を

医療・介護の両方の公的保険を一体化すべきということでしょうか。
 将来的には、そうすべきです。今回の同時改定でも議題となった医療と介護の連携も、両方の保険が一本化すれば、おのずと実現できます。2つの保険の境界にある分野で生じる無駄も省くことができるでしょう。もちろん、簡単にできることではありませんが、両者が一本化することを目指し、動きだすべきです。

―ところで昨年末、政府は、診療報酬の改定率は本体で1.379%、介護報酬の改定率は1.2%アップとしました。現役世代が減り続け、税収の増加が期待できない状況を思えば、今後も医療従事者や介護従事者の報酬は、それほど上がらない可能性もあります。この点、どうお考えでしょうか。
 
医師不足を解消するためにも、医師に対しては十分な報酬を出すべきです。今後、より多くの人手が必要とされる介護従事者についても、同様です。ただ、その前提として、報酬も含めた日本の医療の「悪平等」を解消する必要があります。―悪平等とは刺激的な言葉ですが…。
 今の日本の医療の現状を思うと、そう断じざるを得ません。例えば、現在の診療報酬では、新米の医者も、すご腕の名医も、同列に評価しています。これでは、医師として長く働き、スキルアップを図りたいという気持ちは起きにくいのではないでしょうか。さらには、他の治療に比べて予防に対するインセンティブは弱くなっています。
 まずは、スキルによって報酬を変える体系を導入すべきです。そのためにはEBMをもっと取り入れて、各医師の治療に関する情報を開示させる(意味が分からん?、本当はこういう治療もあるよ・・・日本では保険適応外だけど・・・ということ?、それとも医師の治療成績など個人情報開示ということ?:個人的突込みです)べきです。さらには、混合診療をある程度、認めることで、柔軟性を認めることも必要です。

■セーフティーネットの医療と市場性の医療

混合診療の導入は、国民皆保険の崩壊につながると強く反対する意見も少なくありません
 混合診療の導入が、なぜ国民皆保険の崩壊に直結するのでしょうか。そんなふうに懸念する理由が全く分かりません。混合診療を導入した歯科の公的保険は崩壊したでしょうか。
 とにかく、医療でもセーフティーネットとして機能する部分と、市場性に任せる部分とを分けた方がいい。その両方の観点から医療の在り方を考えるべきなのです。ところが、日本は、医療のすべてをセーフティーネットで扱おうとするから、おかしなことになるのです。いわゆる医療ツーリズムを考える上でも、この点は大きな弊害となっています。
 ちなみに、現状のまま医療ツーリズムを推進しても、成功するかどうか、疑問が残ります。確かに、日本の医療レベルは、決して他国に劣るものではないでしょう。しかし、他国の富裕層を呼び込めるほどの技術とサービスを提供できているとは、ちょっと思えません。

医療で“稼ぐ”ためにも、まず、セーフティーネットとしての医療と、市場性に任せる医療を明確に分ける必要があるということですね。
 そうですね。ただ、ビジネスとしての医療の進歩を促すことだけが目的ではありません。このまま、悪平等の医療提供体制を続ければ、医療資源の不足がさらに深刻化するのは目に見えています。そうした状況を避けるためにも、セーフティーネットとしての医療は何なのか、改めて考える必要があると思うのです。

―混合診療の導入・拡大は、一人ひとりの患者や医師には、どんな影響を及ぼすでしょうか。
 患者にとっては、医療に対する関心を高める契機となるはずです。同時に治療のバラエティーが広がるというメリットがあります。ちょっとでも保険外のサービスを提供したら、すべてが自由診療となってしまう現状の懲罰的な制度では、保険適用がない最先端治療を受けるのは極めて難しい。見方を変えれば、日本で最先端の治療を受けられるのは、自由診療に耐え得る財力を持った人だけ、ということになります。
 医療従事者にとっても、自分たちの努力が業績に直結するというモチベーションを得られます。そうしたモチベーションは、日本の医療そのもののイノベーションにも結び付くはずです。
 混合診療の導入を真剣に検討すること。そして、規制を緩和し、EBMに基づく医療を実現すること。日本の医療の悪平等を解消するため、早急に実現を検討すべきことだと思います

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僕は個人的には混合診療の導入はあまり賛成していません。ある個人の方を助けることができるかもしれない…という面だけを見ると賛成したくなります。また、勝間さんがおっしゃっているような面はあると思います。しかし、助かる方法があるかもしれない(やってみないとわからないですが)のに、お金がないからできないというのはつらい(医者も患者も)ものです。

 

僕が去年の夏、大学からいなくなって数日後に亡くなった患者さんがいます。その患者さんは同種骨髄移植を行う計画をしておりましたが、標準治療が全く効きませんでした。治療法はほかにないかと言われるともともと計画していたわけですが「同種骨髄移植」が最も有望な手段。ほかの治療法は難しい…という状況。

 

治療手段として保険外…であれば可能性はありました。1日3~4万、月に100万以上という金額になりますが・・・。さらに、今年新薬として発売されるものもあったので、そちらは製薬会社のMRさんといろいろ相談しました。もちろん患者さんにも家族にも話はしています。こういう治療薬が保険適応ではないけど、あります。ただし、治療費が自己負担(保険内も含め)になってしまう・・・・と

やはり金額が大きくなりすぎるため、保険の範囲内でできる最大限の方法で移植までの時間を稼ぐ方針になり、僕が大学から去った後に移植の直前に急変して亡くなったと聞いています。

 

医者として患者さんの前にいる限り、できるだけのことをしたいと思っています。もちろん、人によっては「仕方がない」と思われるかもしれません。

 

高額な治療薬を用いている人にも言えるのですが「金の切れ目が命の切れ目」となることは、目の前に「患者さん」がおり、患者さんと一緒に闘っている医師としては「お金があれば・・・・」とは言いたくないような気がします。また、金がもうかる都市部に病院が集中するリスクもあるかもしれません

 

しかし、これは僕の個人的な考えです。最大多数の人の助けになるというのは医師としてのもう一つの面であると思っているので、混合診療の導入がより多くの患者さんのためになるというのであれば、個人のわだかまりというのは捨てるべきなのかもしれません

 

少し思うのは「患者さん」という人間を見ている医師と、「患者」という言葉を扱っている人間の違いなのだろうと思っています・・。

皆様はどう思われますか?

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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それでは、また。

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