運動会の練習のようである。
コロナで、そしてまた熱中症問題で、
小学校も運動会らしい運動会が出来なかったと聞く。
でもやはり、運動会の歓声はいい。
前の記事で、子供は好きではないと書いた私だが、
学校で何かをしている子供達って好きなのだ。
私は、体育はそれほど得意ではなかったが、
運動会は大好きだった。 足が速かったから・・である。
その後、高校では陸上部に入ったように、 走ることが好きだった。
なので、必然的に運動会では「華」だった。
小学校6年の運動会。
プログラム最後の、6年生のクラス対抗リレー。
私はその第一走者に選ばれた。
責任重大だ。とにかくスタートが全てだ。
ピストルの音が鳴る。スタートを切る。
その瞬間、校庭いっぱいに軽快な曲が流れた。
運動会の定番で、よく聴く曲なのだが、その時は曲名がわからなかった。
第一走者にしては、妙に冷静だった。
そのメロディにあと押しされるように、
私は、次のランナーにトップでバトンを渡すことができた。
しかし、クラスは結局最下位だった。
思えば、あの6年生の時のクラスは、
頭は良かったけど運動が苦手、という友達が多かった。
でも、私の人生で一番楽しかったクラスだ。
成人になった時、クラス会を開いたら
ほぼ全員が出席したほどの仲良しクラスだった。
あの時、私をあと押ししてくれた曲は、
その後『ウイリアム・テル序曲』だと知る。
そしてこの軽快なメロディの直前には、
静かで美しい導入部があることも知る。
運動会なんて、もう何年も見に行っていない。
でも、小学校から歓声が聞こえると、
そしてウイリアム・テルを聞くと、
私は半世紀も前の少年に戻る。