シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

真間の手児奈と花まつり

2018-04-08 21:07:02 | 神社・仏閣

「ままのてごな」をご存知だろうか?

古くから伝わる話で、
実話とも民話とも言われている話だ。

「まま」は地名で、現在の千葉県市川市真間。
「てごな」は女性の名前で、手児奈と書く。

昔、この真間の地に手児奈という若い女性がいた。
家は貧しかったが、とても美しい女性と評判だった。
噂を聞きつけた男どもが、全国から手児奈に会いに来る。
そして求愛する。

しかし手児奈は悩む。
誰か一人を取ったら、他の男性に申し訳ない。
それなら自分がいなければ良い。
そうすれば誰も不幸にならない。

そうして手児奈は、井戸に身を投げる。
当時はこの辺りまで海だったため、
海に入水していったという話もある。

人びとは悲しみ、手児奈の霊を祀った寺を建てる。
それが今の、真間にある手児奈霊堂である。


このような話は、今の時代には合わないかもしれない。
しかし、人を愛し愛された末の、
究極の悲しい選択である。
こんなピュアな女性は、私としてはとても琴線に触れる。


今日、春の休日にこの寺を訪れた。
境内は、地元の公園のような役目も果たしているのか、
親子連れの小さな子供達が、大勢遊んでいた。

不幸で悲しい話の寺ではあるが、
今は安産、子育ての寺として親しまれている。


この手児奈霊堂のすぐ裏に、
日蓮宗真間山弘法寺がある。
ここも、手児奈を祀った事に由来しているが、
1300年近い歴史のある寺である。

山の頂上にあるかのような、高い石段を上がる。
境内はとても広い。
今日はちょうど花まつり。
お釈迦様の像に、甘茶をかける慣わしがある。
一度見てみたいと思っていたが、
今日は偶然日蓮宗のこの寺を訪れて、
初めて花に飾られたお釈迦様を拝見した。

甘茶をかける。
静かに佇むお釈迦様の小さな像を見る。
うちは曹洞宗なので宗派は違うが、
ふと亡くなった父を思い出した。


春の寺には柔らかな空気が流れている。

コメント
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