シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

日本一の妻でした

2015-11-22 16:24:54 | きょうは何の日?
今日は、いい夫婦の日。

私と妻も、今年結婚25周年。
銀婚式だった。

だった、というのは、
6月の結婚記念日の時に
特に何もしなかったからだが、
まあ、空気のような存在でも
それはそれで良いと思っている。


夫婦の理想とか、
感謝の気持ちとは何か。
答えの表しにくいものだと思うが、
ある言葉が、今も心に残る。


もう10年前くらいだったが、
近所の商店のおばさんが亡くなった。
私も子供の頃から買い物に行くと、
ハキハキと応対してくれる、
元気者のおばさんだった。

しかし、歳をとるにつれて、
近所付き合いも減ってきた。
認知症になられたとの事で、
人前に出る事がなくなった。
そして、間もなく亡くなられた。


葬儀には、商店会の人を中心に、
多くの参列者が見送りに来た。

出棺の前の、喪主の挨拶で、
夫が言葉を述べた。
このおじさんも、人の良い商店主だった。

認知症の妻を支えて、
さぞ苦労した事だろう。
もしかしたら、ある意味ホッとした、
そんな思いでは・・?と思った。
しかし、おじさんは述べた。

『女房は、最後は皆様の前に出る事も出来ず、
本当に皆様には失礼いたしました。
私の顔もわかっていませんでした。
でも、私にとって、
女房は日本一の妻でした!』

そう言って号泣された。


夫婦を考えた時、
このおじさんの言葉を思い出す。
『日本一の妻だった・・』
私は、妻に先立たれたら、
大勢の人の前でそう言えるかと。

ホッとしたかもなんてバチが当たる。
おじさんとおばさんは、
日本一の夫婦だったのだ。


おじさんも数年後、
奥様の元へ旅立たれた。
日本一の妻と、
どんな会話をなさっているだろう・・。