シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

ノアノハコブネから29年

2014-05-25 14:44:33 | 懐しい話
今日は、第75回オークス。
3歳牝馬の最高レースである。

オークスというと思い出す馬が、
今から29年前、
阪神日本一になった年・1985年の優勝馬、
『ノアノハコブネ』である。

まだ若かった私。
この頃は、大レースの時は東京競馬場に観に行った。
しかし、この年のオークスほど予想が出来なかった年はない。

とにかく本命不在。
一番人気のミスタテガミでさえ、単勝400円以上ついた。
何だか全くわからず、ともかく観に行き、
サクラクレアだったか、そんな馬を買った記憶がある。


曇り空。雨が降りそうな天気だった。
満員のスタンドに私はいた。

レース直前、オノデンモモコが落鉄。
数分遅れのスタートだった。
当時は28頭というフルゲート。
とにかく、「バタバタと」走っていた。

そして最後の直線に入ったとき、
強い風が吹いたのをはっきり覚えている。
その風に押されるように、
外から突っ込んできた馬がゴールを駆け抜けた。

それがノアノハコブネ、21番人気だった。

スタンドからは、どよめきというより、
あぜんとして声も出なかった。
ようやく隣にいたおっさんが、
「音無(騎手)・・ハコブネ・・何だよこれ・・」
とうめいた。

『間違っても買えない馬』と言われた。
予想から外す以前の馬だったのだ。
翌日の新聞には、『信ずる者は救われた』とあった。



馬の名前とともに、この日の記憶は残る。
彼女は関西馬。
当時強かった関東馬を負かせて欲しい、
関西馬の救世主になって欲しいという、
オーナーの願いから付けられた馬名だった。


しかし、この年の暮れに骨折した彼女は、
そのまま他界した。
オークスは、人間で言えば「女子高生の徒競走」。
関西を救った乙女は、若くして旅立ったのだ。

でもオークスが来るたびに、
記録と、その名を思い出させてくれる馬だ。
あの瞬間、強く吹いた風はまさしく救世主の風だった。


今年のオークス、一番人気はハープスター。
美しい名前だ。
29年前の救世主と同じく、
先頭でゴールを駆け抜けて欲しい。
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