シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

ひばりは青空で生まれたから

2008-09-27 17:07:28 | 音楽を聴く

学園祭のシーズンである。

いや、この話はもっと前・・、 小学生時代の、「学芸会」だ。

 

6年生。小学校最後の学芸会。 体育館で、2日間に渡って開かれた。

6年生は全員で、合唱をすることになっていた。

曲は、「ひばりは青空で生まれたから」。

♪ ひばりは 青空で生まれたから いつも仲良しの 太陽の歌を歌っているの・・

歌詞もうろ覚えになってきたが、 明るい曲調の、いかにも小学生が歌う感じの歌だった。

皆、この歌が好きで、 学芸会前の歌の練習は一生懸命歌っていた。

 

しかし、学芸会当日・・。 朝から厚い雲に覆われていた。

そして、学芸会が始まる頃、外は雨が降り始めた。

同時に、熱気に包まれていた体育館の中は 急激に冷え込んできた。

プログラムは、私達6年生の合唱の番となった。

しかし、ただでさえ緊張するステージで寒さも手伝い、皆身体が震えていた。

そして、歌の始まりと同時くらいに、 外はバケツをひっくり返したような雨になった。

古い体育館だ。 屋根を打つ激しい雨音で、私達の歌声は半分はかき消された。

次のプログラムに入る時、 その雨音はピタッとやんだ。

青空の歌が、皮肉にも大雨の時間に重なった。

聴いていた親達も、私達の歌が聴きづらかったという。

 

その後の音楽の時間、 音楽の先生は私達に言った。

『あなた達の時が、一番意地悪されちゃったね。 でも、よく歌えましたよ。

  この曲、卒業してもずっと忘れないでね』

 

その後、この曲を歌う機会も聴いた記憶もない。

しかし、あの時たしかにこの歌を歌った事実と、 寒かった体育館の思い出は

いつまでも、私の中にとどまっている・・。

 

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乙女の祈り

2008-09-14 13:10:12 | 音楽を聴く

久しく聴いていなかった、古いCDを出してみた。

ピアノの小品集だが、 この一曲目に、『乙女の祈り』が入っている。

 

『乙女の祈り』。 ピアノ曲といえば、誰でも聴いた事があるであろう名曲。

しかし、この作品に関する資料はあまりない。

作曲は、バダジェフスカ。

1834年・ワルシャワ生まれ。 ショパンと同郷だ。

しかし、この年24歳のショパンは既に、 故郷を離れパリに移り住んでいる。

 

バダジェフスカは、ごく普通の少女で、 有名な音楽家でも演奏家でもない、

まったくのアマチュア音楽愛好家だった。

18歳の時、 当時流行していたサロン・コンサートなどで演奏するため、

作曲して弾いたのが評判になったようだ。

4年後には、ワルシャワで楽譜が出版され、

さらにその3年後の1859年、 パリの音楽雑誌の付録として、 この楽譜が紹介された。

そこから、この曲は世界中に知られる事となる。

 

しかし、 バダジェフスカは、とても病弱だった。

『乙女の祈り』が、世界に広まった頃、 彼女は27歳という若さで病没した。

バダジェフスカは、 他にも何曲かサロン風の曲を作ったが、

有名になったのは、『乙女の祈り』だけだ。

ただ、この続編として、 『叶えられた乙女』という曲も作曲している。

しかしこれは、 周囲の好奇に乗せられて作った色合いが強く、

ほとんど日の目を見ずに終わっている。

 

そして、 27歳で死去したというのも、実は定かではない。

24歳で亡くなったという説もある。

そちらが正しいとすれば、 1858年9月29日が命日だ。

もうすぐ、没後150年の日を迎える。

 

詳しい事がわからない名曲。 だが、若くして亡くなったからこそ、

この曲は輝いており、 いつまでも『乙女』なのかもしれない。 

 

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