―四方のたより― 手づくりの仮称「座・九条」
還暦を迎えたのももうずいぶんまえ、我が人生もすでに第4コーナーを廻って、そろそろラストストレッチに差しかかる頃なのだろう。
なればこそ、梁塵秘抄の彼の歌―
「遊びをせんとや生まれけむ、戯れせんとや生れけむ
遊ぶ子どもの声きけば 我が身さえこそ動がるれ」
ではないが、もうひとしきり狂うてみせう、と思い立ち、仮称「座・九条」なる拠点づくり、フリースペースの空間をものし、やれるだけのことはやってみよう、という運びとなった。
なにしろ、我が台所事情を考えれば、かなりの部分が手づくり、よき理解者を得、面白がってこれに参画してくれる知友の存在が、実現の必要条件となる。
それが、やっと起動しはじめた。
ありがたいことだ。
1- Free Space「座・九条」イメージ図
2- 最寄り駅は、阪神なんば線九条駅②番出入口、此処からは文字どおり目と鼻の先。
3- 阪神なんば線九条駅②番出入口を上がれば、正面にTimes。その後ろに見える谷間の建物だ。
4- 地下鉄中央線「九条駅」からも近く、徒歩5分ばかりの距離だ。
5- 高架の駅を降りて、九条新道の商店街を西へ。
6- そのすぐ南の筋は、千日前ならぬ、「千日通り」という名。
7- 九条シネ・ヌーヴォーの前を通れば、そのすぐ先、三叉路の向こう正面だ。
8- 此処、シネ・ヌーヴォーの近く、稽古場兼用の近くフリースペース、拠点づくり―
9- 着々とはいかぬが、ボチボチと進行中…。
倉庫跡のその内部ー20坪余りの空間。
高く積まれているのは、舞台用の二重、計80枚ばかり、これが1階及2階部分の床材となる。
10- ご覧のとおり、鉄骨部分と空調設備だけは、業者の手に委ねて、出来上がっている。
―山頭火の一句― 其中日記-昭和9年-266
2月15日
雪、雪はうつくしいかな、雪の小鳥も雪の枯草も。
わらやふるゆきつもる ― これは井師の作で、私の書斎を飾る短冊に書かれた句であるが、今日の其中庵はそのままの風景情趣であつた。
ふりつもる雪を観るにつけても、おもひだすのは一昨年の春、九州を歩いてゐるとき、宿銭がなくて雪中行乞をしたみじめさであつた-如法の行乞でないから-、そのとき、私の口をついて出た句 ― 雪の法衣の重うなりゆくを ― その句を忘れることができない。
裏山のうつくしさはどうだ、私はしんしんとふりしきる雪にしんみりと立つてゐる山の雪景色に見惚れた。
-略-
句作道は即ち成仏道だ、句を味ふこと、句を作ることは、私にあつては、人生を味ふこと、生活を深めることだ。
主観と客観が渾然一如となる、或は、融け込む人と融かし込む人、言ひ換へれば、自己を自然のふところになげいれる人と、自然を自己にうちこむ人と二通りある、しかし、どちらも自然即自己、自己即自然の境地にあることに相違はないのである。-略-
※この日、ずいぶんと句の整理をしたらしく、表題句の外、33句を記す
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