明野西JFC監督日記

少年サッカーチーム「明野西JFC」の監督所感、活動予定/結果
(明野西JFCを愛し、応援する人々へ)

書評「至上最強のバルセロナ 世界最高の育成メソッド」

2010年04月19日 21時20分45秒 | Weblog
 書名 「至上最強のバルセロナ 世界最高の育成メソッド」(小学館101新書)
 著者 ジョアン・サルバンス
 発行所 小学館
 定価 720円+税 

 著者は、元FCバルセロナのカンテラ(ユース)監督、エスパニョールでの指導を経て、現在、東海大菅生高校などでコーチとして活動中。
 雑誌「サッカー・クリニック」にも時々記事を見かける注目の指導者です。
 200-2009年シリーズ、FCバルセロナは3冠(欧州チャンピオンズリーグ、スペインリーグ、スペイン国王杯)を達成しましたが、特筆すべきは、そのボールポゼッションの高さとその3/2がカンテラと呼ばれる下部組織出身の選手で構成されていたこと。
 そのFCバルセロナのカンテラ(ユース)監督の経験から、日本で必要なこと(足りないもの)は何かを述べた本です。
 総合的なトレーニング(実戦的)を積め、(週末の)リーグ文化のある環境にあるスペインと、リーグ文化がなく、テクニックばかりに偏り過ぎたトレーニングを続け、ボールを用いない走り込みなどの課し、量偏重のトレーニングで疲弊しているケースが目立つ日本の子どもたちの差を述べています。
 これは、他の人達も指摘しているところ(「スキルは高いが、サッカーは下手な日本人」)。
 下記に目次を示しますが、2章、3章のみは、サブタイトルも紹介します。

 序章 バルサのサッカーは日本でもできる
 第1章 カンテラこそが、バルサの強さの源
 第2章 バルサに近づくために
  明暗を分けるのは「サッカーを読む」トレーニング
  個人でサッカーを読む
  グループでサッカーを読む
  プレーに方向をつける
  フルピッチでの応用
  ゴールチャンスを読む
  タッチ数の制限は、状況判断を阻害する
  ゴールキーパーは攻撃の起点
  ユース年代にオフがないのは日本だけ
  トレーニングは量ではなく質
  勝者のメンタリティーは、猛練習では身につかない
  実戦に即した「グローバル・トレーニング」
  心身のベストコンディションの作り方
  個性と役割に即した指導を
  ポジションは固定しない
 第3章 優れた指導をするために
  誰よりも厳しい自己批判を
  叱り飛ばすことは誰にもできる
  対話で選手の意識を変える
  修正は納得させてから
  「気持ち」で負けたは安易な分析
  百聞は一見にしかず
  頭の悪い生徒はいない
  育成段階の無理は禁物
  逆境は成長のチャンス
 第4章 世界を追いかけるために


 私の反省としても、指導者は、負けた時は選手のレベルの低さを嘆き、「気持ち」で負けたなどの安易な分析をする傾向にありますが、彼によると、「誰よりも厳しい自己批判を指導者がしないといけない」、「気持ちで負けたは安易な分析だ。選手が負けたいはずがない。」と。
 負けた時には複数の原因があり、指導者は、そこを多角的に分析できないといけないとのこと(反省を込めて納得です)。
 まあいろいろ納得感のある内容ですし、小学館新書ですので、安価です(紀伊国屋で購入しましたが、サッカーの書籍のところにはありませんので注意を)。
 是非一読を。