分限者が贅を尽くし誂えた、白壁なまこ塀のある家並みが続いている。
そのうちの一軒で、2階を拝見することができた。
昔ながらの急な階段を上ると、日が差す大きめの窓から外を望むことができた。
隣の家の黒瓦の敷き詰められた大屋根を見ていると、下から白い猫が瓦の上をあがってきた。
ミャーオ・ミャーオとネコ語で声をかけてみた。
著名な動物写真家の岩合光昭氏のように、ネコ語にたけているわけではないが
「ちょっと、こっちを向いちゃってん」とネコ語で言ったつもり
通じたのか、じろっとこちらを振り返った。
その眼光は鋭く、ボス猫の貫禄はすでに備わっている。
ファインダー越しに声をかけていたので、慌てることなく連写モード
「フン、写真か!! 近頃ネコブームらしいが孤独なオレニャァー関係ねえよ」と言ったような
しばらく佇んでガン飛ばし、そのまま闇の中へと消えていった。