花びらに傷がなく私を撮ってよと、囁いてくるバラの声を聴きながら
レンズを向けているとパラパラと雨が落ちてくる。ジプロックとタオルでカメラとレンズを覆っている。
春の温かい雨だからパラパラ降る程度だと、構わずに撮っていると急に雨脚が強くなる。
慌ててパーゴラに駆け込み雨宿りをする。
雨脚が弱くなったと思って外に出ると、また雨脚が強くなる。
雨雲といたちごっこをしていてもはじまらないのだが、いささかやけになって撮っていると雨雲も飽きたのか雨が止んだ。
その間バラの花は、春雨にうたれ艶やかさを増していた。