ロータリーからみる「幣舞公園」
”出世坂”の上には ガラス張りの生涯学習センター「まなぼっと幣舞」が見える。
「幣舞橋」で もう一つ忘れてはならないのが
釧路出身の女流小説家・原田康子のディビュー作と
なった「挽歌」の舞台になったことから 出版すると
たちまち70万部が売れて空前の「挽歌」ブームが起り
全校的にも有名になった。
「挽歌」は 1955(昭和30)年6月~翌年の7月まで
ガリ版刷りワラ半紙の同人雑誌「北海文学」に10回
連載され 約800枚の長編小説
あらすじは 太平洋戦争を体験し敗戦による失意を
引きずりながら 戦後を生きようとする建築家桂木と
偶然の縁で桂木と知り合い 彼と彼の家庭に好奇の
心を注いで ”侵入者” となっていく主人公 ”兵藤怜子”
との不倫の愛が 不毛と憂愁をたたえて広がる
「釧路湿原」を背景に描かれる。
その一節が記念碑として 正面の幣舞公園内にある。
高台から見降すと
下町には明かりがともっていた。
しかし町の明かりの果ては、
広い真暗な湿原地に呑みこまれているようだった。
─原田康子『挽歌』より─
1957(昭和32)年には 監督:五所平之助 主演:久我美子
森雅之 高峰三枝子らにより映画化され 森英恵デザインの
主人公のファッションが流行し 社会現象にもなった。
その後も 1976(昭和51)年 秋吉久美子主演で再び
映画化されている。