あいらのひみつ箱

2006年の年明けとともにジュリーに堕ちました。日の浅いファンが 勝手な思いを書き連ねるゆるいブログです。

嘆き

2010-02-24 01:48:15 | TGシングルレビュー

A:嘆き
作詞:安井かずみ/作曲:村井邦彦/編曲:東海林修
B:はだしで
作詞:安井かずみ/作曲:村井邦彦/編曲:村井邦彦
(1969年7月5日発売)


【嘆き】
発売日は7月だというのに、暗くねっとりした曲です。
前作の「美しき愛の掟」から始まったこの「悲恋熱唱路線」ですが、ロックテイスト高めな「美しき~」に比べ、コチラはベタな歌謡曲路線。伴奏はオケがメインで、タイガースの楽曲とはいえ、バンドの見せ場は少なく、コーラスも無し。ほとんどじゅりのソロって感じですよね。
歌詞は、「美しき~」が、なかにし礼氏のぶっ飛んだ言語チョイスゆえか、エキセントリックなイメージだったったのに対し、これまたコチラはホントにベタベタな歌謡曲で、しかし、その濃ゆ~い感じがなかなか良いのですわ。

この曲で特筆すべきは、やはり、アテクシの大大大好きな東海林修先生のアレンジだという点でございます!(断言)
シングルコレクションのライナーノーツに、タイガースではこの曲が初めての顔合わせであることが書かれていますが、じゅりソロの初期において、東海林センセイのゴージャス且つソウルフルなアレンジは欠かせません・・・・よねっ?
だって、「許されない愛」「危険なふたり」「追憶」・・・初期の大ヒット曲の編曲には、必ず東海林センセイお名前が出てくるのですわ。

さて、この「嘆き」、上述のように歌謡曲っぽい詞、曲ながら、アレンジは楽器を絞って・・・・・・具体的には弦(バイオリン、チェロ、ハープ)と金管をメインに、バンドのほうはベースのみに重点を絞り、いかにもお涙頂戴的な歌謡曲を、その旨み(野性味?)はそのままに、洗練されたサウンドに昇華しています。すばらしい~。
ベースギターとチェロが混然となって醸しだす低音部の響きは、フルオケの弦バス軍団に匹敵する重みがあります。
チェロは他にも、間奏で高弦とユニゾンを弾いたり、まさに大活躍していますね。
以前「危険なふたり」のレビュー記事にて、「チェロにかぶせてベースが裏拍からメロディーを引き継ぐという地味ながら見事な連携プレイ」について言及したことがありますが、こういった手法は東海林先生のオハコなのかもしれません。カッコイイです~

ということで、曲の頭から印象に残る点をいくつか挙げていきますと、
♪愛を残したまま 僕を一人にした♪
はハープがアルペジオを奏で、2拍目裏から入るチェロの♪ダ・カ・ダーン♪と降りる音がなんとも痺れます。
尚、コレと対になって、
♪朝は 二度と帰らない♪
のところでは♪ダ・カ・ダーン♪とまったく同じ拍で、今度は音がせり上がってきます。
う~ん。ドラマティック!
そしてホルンがパーン パパーンと入ってきて、ハイ、展開部!みたいな様式美ですかね。こういうの大好きです。
じゅりの熱唱度が上がってきたところでバイオリンもホルンもアゲアゲに。
鍵盤(?)ギター(?)の音だけが「ペッ」と硬めに止めた音で、なんか異質・・・
♪朝は 二度と帰らない♪
を頂点として、ハープが導いた先でテンションが解き放たれ、はじけます。
東宝だか東映だかの映画で波がザッパーン!!のイメージですわ~。
♪涙のあと♪
のところは「な・・みだのあと~」と、じゅりがちょっとフライング気味なのも、必死な感じでイタイケでいじらしくて、可愛いっ。
間奏は弦がユニゾンでメロディを弾きますが、これ、ヴァイオリンはいいけど、チェロはエグイと思いますね。指が。

一旦曲が終わったかと思いきや、悲劇の余韻のように沸き起こるCoda部分は、大河ドラマのエンディングみたいです。
そして最終最後の和音は長調になってます。



【はだしで】
カップリングは違うテイストの曲を、という「タイガース・シングルの法則」に則り、こちらはルーズな感じでたる~んとした曲調です。
A面で蔑ろにされた憂さを晴らさんばかりに、ドラムスとギターが活躍してます。
バンドとしては、こちらのほうが持ち味が生かせると思われますけど、コーラスがイマイチといいますか、あまり重視されてないのか、気のない「あ~ あ~」みたいなのだけで微妙です。

曲全体の印象としては、盛り上がってふっと弛緩する、みたいな箇所がなくて、ひたすら緩い、けだるい感じで、でも、明るいまんま終わります。
じゅりの歌声は、リキミが全然無いので軽く聴こえますけど、よくよく聴くと結構しっかり発声してますよね。
そこらへんが、かったるそうなのに爽やかさを感じるゆえんでしょうか。
アレンジ面では、アコギのオブリガートが曲全体にちりばめられて、とってもオシャレな印象になってると思います。
ベースもボンボンボンだけじゃなくて、メロディアスなのでやりがいがありそうです。
尚、これで曲終わりかな?と思いきやCodaという展開はA面と共通。何か意図があってのことなのでしょうか。

しかし、正直言いまして未だアテクシの中で消化し切れていない虎ソングの筆頭がこの曲でございまして・・・・・今後も更なる聴き込みが必要なようでございます。
ということで、こちらは短くまとめました。