弁護士早瀬のネットで知財・法律あれこれ 

理系で特許事務所出身という経歴を持つ名古屋の弁護士があれこれ綴る雑記帳です。

ゴミ貯蔵機器事件の紹介

2015-06-02 14:49:54 | 特許

毎日暑いですね。

 

最近、このブログが参加しているランキングが、2位という好成績です。

ネコ大好きのjoli!joli!さんが、「ねこあつめ」の著作権に関する弁護士ドットコムニュース(こちら)がきっかけで、記事にリンク貼ってくれたことがからかなー(^^)

皆さま、ありがとうございます! 

 

さて、先週のことですが、月1回の頻度で開催されている知的財産勉強会(名古屋)において、報告をしました。

知的財産事件を扱ってたり、勉強してたりしている弁護士や弁理士、合せて10人ほどが集まってやっている勉強会です。

報告したのは6個の判決でした。

 

報告者としてせっかく勉強したので、今日の記事では、そのうちの一つ、「ごみ貯蔵機器」事件判決について触れようと思います。

2年以上前の平成25年2月に出された判決なので、最新ではないですが、重要判決(知財高判平25.2.1)です。

 

 

事案はこう。

イギリスのサンジェニックという会社が、日本で、「ゴミ貯蔵機器」と「ゴミ貯蔵カセット」に関する特許権を持っています。

使用済みの紙おむつを捨てるゴミ箱と、そのゴミ箱専用のカセット(ビニール袋の容器)です。

 

単に捨てておくだけだと、ゴミ箱を開けるたび、ウンチの臭いがキツイ。

そこで、この特許は、捨てた後に、ビニール袋の口の部分をねじって閉じるようにしました。

 

その特許製品が、「におい・クルルンポイ」という商品名でコンビ社から販売されてます。

 詳しくは → こちら(コンビ社の製品ページ)

製品紹介で、「特許」であることが表示されていますね。

結構お高いんですね…

 

同じベビー用品メーカーのアップリカ社の製品が、この特許を侵害すると訴えたのが本件です。

 

この判決が重要なのは、特許権侵害かどうかという部分ではなくて、特許権者の損害額に関する部分。

 

 

本来、損害額は特許権者が立証しなければなりません。

でも、特許権侵害によってどれだけ損害を被ったかをきちっと証明するのは、現実的にはなかなか難しい。

 

そこで、特許法102条2項に、相手が侵害品を売ったことで得た利益を原告の損害額と推定しましょうという規定があります。

知的財産の訴訟では、よく使う条文です。

なぜって、相手の販売情報をもとに損害額が推定されるので、自分の情報を出さなくていいから。

ライセンス料よりも金額が大きくなるのが通常ですしね。

 

その規定について、知的財産高等裁判所の特別部(大合議)が一つの見解を示しました。

つまり、上記の推定規定(特許法102条2項)を適用する上で、権利者自身が特許権を実施している必要はなく、

  「侵害者による特許権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在する場合」

であればOKというもの。

 

その結果、特許権者のサンジェニック社は、1億5000万くらいの損害賠償を認める判決が得られてます。

反対の見解を示して、2000万くらいしか損害賠償を認めなかった第一審と比べると、ガーンと賠償額が跳ね上がりました。

 

今後は、上記の判断基準に当てはまるかどうかが、事案ごとに判断されていくことになります。

 

あんまり深入りしてもなんなので、この辺で。

 

 

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