弁護士早瀬のネットで知財・法律あれこれ 

理系で特許事務所出身という経歴を持つ名古屋の弁護士があれこれ綴る雑記帳です。

著作権侵害の刑事事件

2014-08-07 18:50:47 | 著作権

今日も著作権関連です。

昨日のことですが、こんなニュースが話題になりました。

「スクエニを家宅捜索 他社キャラ、漫画で無断使用」(産経ニュース)

スクエアエニックス社が発行するマンガ雑誌に連載中のマンガ(ハイスコアガール)で、ゲーム会社のSNKプレイモア社が著作権を有するゲームキャラが複製されていたとのこと。

登場人物がゲームをする場面で、ゲームのキャラが描かれていたようです。

 

著作権を故意に侵害する行為は、著作権侵害罪にあたります(著作権法119条1項)。

従業員がその業務に関して著作権を侵害する行為を行えば、会社も処罰の対象となります(著作権法124条1項)。

 

警察が動くきっかけは、著作権者であるSNKプレイモア社の告訴でした。

ここで、ちょっとマメ知識を。

告訴は犯罪の被害者が犯人の訴追(起訴して処罰すること)を求める手続です。

似たようなものに告発がありますが、これは被害者でない第三者がする場合です。

この他、被害届を出すというのもありますが、これは、訴追を求める告訴・告発とは違い、被害にあったことを単に警察へ申告するだけです。

もちろん、被害届を出したことで警察が動くことは当然あります。

 

この告訴ですが、一般的には、警察は受理を嫌がることも多いです。

民事(要はお金のトラブル)で、払ってくれるなら告訴を取下げてやるというように、交渉上の自己の立場を有利にするという意図が見透かされる場合は特にです。

警察が告訴を受理するといろいろと手続が必要になるのですが、交渉材料に使われて、その結果、簡単に告訴が取下げられてしまうと、それまでの手続が無駄になっちゃいますからね。

 

今回、警察は告訴を受理したわけですが、ニュース記事から判断するに、

・著作権侵害罪は親告罪であること(つまり、告訴があって初めて刑事事件になる)

・ゲームキャラが複製されていることが一見して明らかなこと(警察官が見てもすぐにダメだと理解できたのでしょう)

・事前に話し合いを試みたのに、スクエアエニックス社から誠意ある回答がなく、話し合いでの解決が困難だったこと

・ここのままでは複製し続けられてしまうこと

という要素があって、警察もこれは受理すべきだなと考えたんではないかと思います。

 

スクエアエニックス社は、書籍の自主回収をするようですね。

 

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