医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

職人の美感1

2007年07月06日 17時17分57秒 | Weblog
 自分で言うのも、しかもハナからなんですが、僕のような一般人の思い出話ほど退屈なものはありません。

 一般に外科医は職人ですから、徒弟制度・・・親方や兄貴分が弟子に厳しいのは当たり前です。

 僕たち医師は最初の二年間は修行のため、他の科の他の施設も研修に回ることがあります。

 僕は元来おうちゃく者で、自分に甘いので、それを見事に見抜いた別の兄貴分の先生から、お前は修行に外に出て、その上各科とも一番厳しい施設で修行せよ、とのミッションが下りました。

 僕は自らを律するためもあり、麻酔科や消化器外科、整形外科など、関連施設で最も厳しいというところばかりを望んで回り、しかも志願して研修期間を延長していただきました。

 時には理不尽なことで叱られるのも修行のうち、修行中は軍隊と一緒、宿直業務などは自ら進んで体験するものだと覚悟を決めておりました。

 しかし回ってみると、忙しさのあまり病院に寝泊りするのも、通勤時間が短縮されるし、案外部活の合宿のようで楽しく・・・

 同期がみな避けたがる選りすぐりの野戦病院に、自分で志願してきた酔狂なヤツ、と諸先輩の耳に入り、意外に手厚くしていただいたり・・・

 人生とは分からないものです。

 それにしても宿直業務は拷問にも等しく、ちょっとうつらうつらすると電話が鳴り、さあアドレナリン全開、やっとこさまたうつらうつらすると、再び無情の呼び出し音・・・の繰り返しで、さらに医師の場合、当時は翌日の業務は普通にありますので・・・。

 しかも昨今、医学にだけは100%を求められる風潮ですから(もちろん100%を目指さねばなりませんが)、今思えば特に新米の苦労は絶えませんでした。

 そのため、今でも少々の暑いだの、眠いだの、疲れただの、だるいだの、腹減ったなど、たいていの悪条件は我慢できるし、炎天下立ち続けろと命じられても、かなり我慢強いほうだろうとちょっぴり自信があります。

 体調管理はプロの務めと学び、患者さんの場合には拝見させていただきますけれども、医者が言うのもなんですが、自分の風邪は気合で治す。

 僕は大学受験で大変な高校生のときも含め、ず~っと運動部に属しており、いわゆるガチガチの体育会系・・・

 それがすべていいとも思いませんが、やはり人間、若いうちにある程度鍛えられたほうがよい、とは思っております。

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