医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

ちょらちょらな美作5

2008年10月22日 11時30分03秒 | Weblog
 町田氏は世の中のエラい文学者が誰もなし得なかったパンク文学を描き、登場人物は限りなくぐだぐだに堕落して、毎度奈落の底に沈んで行きますが・・・

 彼らはそれなりに思考回路が正常に近く、現実的で臆病で見栄っ張り、そこいら辺にいそうといえばいそうな人たちです。

 「宿屋めぐり」の珍太などは、あまりに自己中心的で保身的な独自の理論を展開しますが、僕なんかの周りにもそっくりな人がいるので、みなさまの周囲にも確実に実在しますでしょ?

 しかし現実的が故に、すぐ楽や誘惑に流されて、快楽にはまり込んで、ついにはどうにもならなくなっちまって、やぶれかぶれで自暴自棄となり、さらにドツボにハマって破滅してしまうのです。

 また平凡であるが故の、非凡かつ堕落した邪(よこし)まな考えに取り憑(つ)かれて、ジタバタした挙句、ますます落ちて行ってしまう・・・

 ある意味まったく救いようのないクールなまでのダメさ加減。

 その舞台の基礎すら現実と幻想が境界なく入り混じる、ウソで塗り固めた摩訶不思議な独特の世界観。

 とてつもなく残酷な一神教の主から遣わされる堕天使が日本神話のスクナビコナ、な~んて具合にハチャメチャにボーダーレスで繰り広げられる、虚無にまみれた世界での倫理の追求・・・。

 名前だって時代劇にして、石抜坂抜ヌヌヌノ王子だ、やれ石ヌだ、卵家ポロワだの、ぽぽぽだの、あぱぱだの・・・

 なんていうのか、ある意味かたくなまでに、こだわらなさにこだわり、押し通す。





 本家のフランスのドゥ・マゴ賞は、風変わりで、新味のあるものに与えられるそうなので、Bunkamuraドゥ・マゴ文学賞もそれに倣うのでしょう。

 それは分かる。

 谷崎潤一郎賞は中堅の作家の作品に、その作家の代表作ともいえる作品で受賞させることが多い文学賞らしい・・・ただまぁ「告白」は名作だ。

 萩原朔太郎賞は新潮社の協力で前橋市が贈る、現代詩の分野において最も優れた作品で、あわせて日本文化発展に寄与するとともに、市民文化の向上に資することを目的・・・って「土間の四十八滝」で市民文化が向上するか疑問だ。

 川端康成文学賞は、前年度の最も完成度の高い短編小説、ということですが、アパートのおばばが管理人ぶって・・・みたいな異様にしょぼい話題の「権現の踊り子」がねぇ・・・完成度ですか・・・。

 芥川賞はご承知のように、賛否ありますが、純文学の新人に与えられる文学賞で、大衆文学の賞として設けられている直木賞よりなんとなく格上な雰囲気があり、かなりまともな賞でしょ?

 いいのかな??

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