医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

美しきガイア 31

2008年09月22日 16時20分32秒 | Weblog
 「脳のからくり」によれば、ヒトの欲望はクオリアに向かうそうで、自分が経験したクオリアは他人に話したがり、逆に自分がまだ体験していない未知のクオリアに憧れ、それを強く欲望するそうです。

 ヒトが新しいものを好む傾向をネオフィリアというのだそうですが、クオリア体験におけるネオフィリアこそ人間の最大の特徴だと。

 だからヒトは旅行したがり、新しい食事を食べたがるのだそうです。




 脳において次に問題となるのが、「結びつけ(バインディング)問題」なんですって。

 脳がどうやって、複雑な認知の問題を統一的に解いているのか?

 前野氏によれば、「意識」が能動的で、「無意識」がそれに従うと考えると結びつけ問題は解けないんだそうです。

 つまり、自分の有「意識」に基づく、自由意志で決定している事象は、実は、さまざまな情報を「無意識」が処理した上で、かなり直感的に決断したに過ぎず、あたかも自分の意思が判断したと勘違いしているだけだというのです・・・。

 それは言ってみれば、「意識」によるトップダウンではなく、実は「無意識」によるボトムアップだと。

 ってことは、無意識がバインディングしている、ってことかな?

 自分の体験を『エピソード』として記憶するため(だけ)に、「意識」が存在する、というのです。

 脳でエピソード記憶ができれば、複雑な状況変化に伴い時間発展する、原因と結果の連鎖を脳内に順モデルとして記述できるため、環境適応上有利になり、知的な生き方ができるようになる、ということです。

 また、過去のエピソード記憶を用いて、さまざまな因果関係をシミュレーションできるために、高次元で複雑な生活を送れるのだ、というのです。




 僕たちの脳は、無数の「無意識」のボトムアップの結果、一見高位に思える僕たちの「意識」が、後づけでさも決定したかのような錯覚をしているのだと・・・。