医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

アンクエスと色の美11

2008年01月14日 11時29分33秒 | Weblog
 赤いシアニジン型アントシアニンが青色になるのは、アントシアニンと金属が錯体を作るためだからだそうです。

 赤いバラと同じ色素を持つヤグルマギクは、たった4個の金属イオンと(ほとんど無色の)フラボンのおかげで、こんなにきれいな青色を出すのだそうです。

 錯体を作るとなぜ赤が青くなるんだ、なんて難しい質問はしないでください。

 ただこのことは日本人が発見したそうです。



 っていうと、ここで思い出すのが「青いバラ」です。

 英語でBlue Roseと言うことばは、「不可能」なものや「実在しない」ものを意味するぐらい、青いバラを作るのは難しいことでした。

 つまりバラには青を作るデルフィニジンの遺伝子(フラボノイド3',5'水酸化酵素遺伝子)がないらしく、青いバラは園芸家の長年の夢と同時に、難攻不落だったわけです。

 花の神フローラが、ニンフの生まれ変わりである美しいバラの花弁に色を与えるとき、死を暗示する不吉な色だからと青色だけは与えなかったから、とギリシャ神話は伝えます。

 青は死を連想するのか・・・?

 ご遺体のお顔が青白いからでしょうか?

 確かにヨーロッパでは、青は寂しく不吉だから、あるいは蛮族(的の威嚇のために肌に塗った)の色として、昔はあまり好まれなかったようです。

 しかし聖母マリア信仰が発達してからは、青はマリア様の高貴な色とされたのは以前にお書きした通り、王室でも好まれるようになりました。

 僕は青というと、海、空、地球・・・瑠璃色、ラピスラズリ=この世の中でもっとも美しい色のひとつと連想します。

 そして、今回これを言いたかったのですが、2004年に日本のサントリーが、デルフィニジン型アントシアニンを作る遺伝子を、パンジーから組み込んだ「青いバラ」を作り、話題になりましたでしょ?

http://www.suntory.co.jp/news/2004/8826.html