医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

西洋建築美と歴史-9

2006年04月25日 00時00分02秒 | Weblog
 20世紀からはカテゴリー④の「近代」と呼ばれます。

 「アール・ヌーヴォー」は「1900年式」とも言われます。

 「Art Nouveau」 はフランス語で「新しい芸術」。 ドイツ語では「ユーゲントシュティール」(=young style?)。

 ウィーンの「クリムト」の金(きん)を用いた絢爛で平面的な絵画をはじめとして、ジャポニズムの流行によって、浮世絵に見られるような華やかな色使いや、華美で装飾に満ち溢れた、享楽的で官能的な芸術のうねりが起きます。
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/h-inb1/h-arv/h-kmt/IPA-inb100.htm

 工芸品などは植物をモチーフとしたしなやかな自由曲線で構成されます。

 以前書いたガラス美術での「エミール・ガレ」がいます。

 また、プラハの「聖ヴィート大聖堂」のステンドグラスを作り、ポスターで有名な「アルフォンス・ミュシャ」も代表です。
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/h-inb1/h-arv/h-mch/IPA-inb110.htm
http://www.h7.dion.ne.jp/~mizore/mucha/works.html

 彫刻や建築の装飾でも浮世絵の影響を受け、平面的で装飾的になります。 「浮世絵」はとってもすごいのです。

 建築ではなんと言ってもスペインの「アントニ・ガウディ」。 ガウディはゴシックを継承しつつ、古典主義やルネサンスを否定してバロックに通ずるところもあると思います。 写真はその「ガウディ」のアパート、「カサ・バトリョ」です、確か。 20年近く前に撮った写真です。 屋根が映っていないのが残念ですが、屋根は深海のうねりを表し、窓はかわいい亀?、壁は海のようにきらきら光ります。 ガウディはいつか別にやりましょう その他の「アール・ヌーヴォー」式建築物は下記を。
http://www.homemate.co.jp/useful/life_hobby/house/erp_yousiki/art_nouveau/index.asp

 時の日本の総理大臣として、1900年は伊藤博文氏。

 一方、「アール・デコ 」(1920~1930)は1925年のパリ万博の略称がアール・デコ博だったので(Arts Decoratifs=装飾芸術?)、そこから命名されます。 「1925年式」とも呼ばれます。「1900年式」と「1925年式」ですから、憶えやすいですよね。

 「アール・デコ」では、「アール・ヌーヴォー」への反発のように、なんといっても定規で引いたような「直線」、コンパスで画いたような円、波模様やイナズマ模様といった、いずれも幾何学的模様が特徴です。 ここでも反発と揺れ戻しがあります。

 建築ではNYの摩天楼が有名です。 エンパイアステートビル、ロックフェラーセンタービル、クライスラービル・・・。
http://www1.vecceed.ne.jp/~y-satoh/newyork/empire/empire.html
http://www1.vecceed.ne.jp/~y-satoh/newyork/rockefeller/rockefeller.html
http://www1.vecceed.ne.jp/~y-satoh/newyork/chrysler/chrysler.html
http://www.h5.dion.ne.jp/~t-arc17/photo%20trip/NY-midtown%20north/photo-trip_%20ny_midtown-north03.htm

 次回に写真を載せますが、同性愛者に理解ある(?)街、または著名人の高級別荘地「マイアミ」では、ヴェルサーチ邸をはじめ「アールデコ」の宝庫です。 アールデコの角ばって対称系のビルや装飾が、パステルカラーの明るく柔らかい色彩をまとい、大きなおひさまにきれいに照らされていて印象的でした。 

 アメ車もそうですが家具などでも、アメリカものは大きくて角ばっていて、色はパステルかメタリック・・・ヨーロッパものはフェラーリもそうですが、スマートで美しい局面流面系、色は原色・・・というイメージがあります。

 日本で言えば、大正14年。

 そういえば、「NTTドコモ代々木ビル」が僕的には「なんちゃってアールデコ」。 てっぺんの尖塔は実はクレーンであり、建物の構造上降ろせなくなったって本当でしょうか? あのビルは商業ビルではなく、中はサーバなどでぎっしりといううわさですが・・・。
http://www.eonet.ne.jp/~building-pc/photograph/sinzyuku-6.htm

 そして「モダン建築」へ。モダン建築は機能重視。

 機能に関係のない“装飾のための装飾”というものはまったくなし。 素材イメージは「鉄とガラス」・・・だそうです。

 また特定の地域や時代を連想させるような要素も一切ありませんとも。

 しかも日本における「モダニズム」は本物ではなく、それこそ「なんちゃってモダニズム」であり、本家本元のそれはそれで見ごたえのある洗練された「モダニズム」ではありません。 現代日本の街並があまりに殺風景でなんの面白みも美しさも感じさせてくれないのは、僕の勘違いかもしれませんが、このせいだと僕は思っております。

 ねずみ色の単なる箱が無秩序に無責任にばらまかれた「負の遺産」ですらあると考えております。 後で考察を加えます。

 そして「ポスト・モダニズム」へ。 1970年以降、「禁欲の四角い箱」と言われた、とってもツマラナイ「モダン主義」から、ギリシャ・ローマ時代の建築様式の復活があり、やっと個性的な建物が増えてきてホッとしております。 ようやく横浜みなとみらいやお台場あたりでは街の個性が感じられるようになりました。

 一方美術では、「フォーヴィスム(野獣派)」により「色の開放」が進みます。 また「キュビズム」では「形の開放」が行われ、「ブラック」や「ピカソ」が輩出されます。

 またダダイズム(破壊主義)、抽象絵画、シュルレアリスム(キリコ、ダリ)、ポップアート(アンディ・ウォホール、ロートレック)などを生みました。

 ちなみに映画「バスキア」では、同性愛者(?)のアンディ・ウォホール役を生前交流のあったデビッド・ボウイが演じておりました。

 現代音楽(クラシック)はじぇんじぇん理解できませんので、ご容赦ください。