医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

みだりがましきレニーの美

2006年02月01日 19時09分53秒 | Weblog
 今の現役のミュージシャンで最もカッコイイと思うのがレニー=クラヴィッツです。 

 彼のセンスに共感します。 

 かの清志郎も「レニー君はなかなか分かっている」と言ってたっけ。

 彼は黒いジョン=レノンとも言われますが、ようは器用なんですね。

 コンサートに行けば分かりますが、一人でリードギターからリズムギター、ベースにピアノにドラムまで・・・見事にこなします。 

 70年代ロックを知る、僕たちが心地よく感じるつぼを心得ている。ジミヘン調だったり、ツェッペリン風、レノン風、ジェフベック風と実に多様多彩。

 伴奏もなく単音のリズムだけの進行に、自分でメロディを歌い上げたりとミュージシャンとしての資質も十分。

 しかも声も下品でとてもいいし、ファッションも卑猥でとてもいい。 

 ちょっと体型が太めなのが気になりますが。
 
 最初に「自由への疾走」(この和訳はあり?)をFMで聴いたとき、車中でのけぞりました。 

 あまりのカッコよさに。あわてて帰り道CDを買いに行きました。

 こんな心のときめきは何年ぶりかなあ、と感じつつ。

 ロックアーティストは芸術家でありアジテイターですから、作詞作曲を自分でやるのは当然ですよね。

 他人に作ってもらったのでは、世の中に何を訴えたいのか?伝わりませんから。

 彼の場合は楽器をすべてこなし、ボーカルも山下達郎ばりに何重唱も自分で入れてしまうし、編曲もプロデュースまでこなします。

 プリンスと一緒で、一人でアルバムを作る能力を持っております。

 ミュージシャンとしての才能をすべて兼ね備えております。
 
 乗りのいい曲は、まあある程度の才能があれば簡単でしょうけれども、美しい曲って難しいですよね。僕がミュージシャンを評価するひとつの指標なのですが・・・

 ストーンズもビートルズも、ボウイもクラプトンもブライアンフェリーもU2もエコーアンドザバニーメンも清志郎も、あのツェッペリンでさえもみんな美しい曲が美しい。

 そしてレニーの「believe」もまた美しい(ただしジョン=レノン)。

 圧巻はギターソロ。ギタリストを目指す、「すべての若き野郎ども」(ボウイの名曲)よ、おじさんが教えてあげるぜ、これがギターが泣いているってやつだ 

 早弾きに走るな、大切なのは君の心のメロディだ 

 コンサートで「believe」をアンプラーグでアコースティックギター1本でやりましたが、これがまた泣かせました。「ほらこうやって歌うんだ。らんららら~ら~ら」って。

 風邪で声が出なくて困っていましたが、メインメロディを外してちょっと低音のコーラス部分で歌っちゃうのなんてわけなくこなしていました。

 よくアルバムを買うと、この曲はいいけどこの曲はね・・・ってあるでしょ? 

 レニーの場合はすべて計算しつくされ、いわゆるハズレの曲や無駄な曲が一曲もありません。

 1枚目の「Let love rule」から「Mama said」そして3作目「自由への疾走」まではただの一曲も無駄のない、完璧な仕上がりです。

 タダモノじゃあありません。