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BLな

2020年04月07日 | 雑日
ときどき、以前に買った本のことをすっかり忘れて、
なにかのついでで積読してある山からそれを発見すると、
ちょっと前の自分の購読衝動に首をかしげるときがあります。

これもそんな本の一冊。
「美少年尽くし」(佐伯順子 平凡社ライブラリー)
表紙が高畠華宵のなんとも妖しい少年絵。
丸尾末広は、この人の直系ですね。
それはともかく、付箋がいっぱい付けてあるので、
それなりに得るものがあったはずなのに、すっかり忘れている。
「読書というのは、再読三読してはじめて読書である」って誰か言ってなかったっけ。
西鶴の「男色大鑑」を俎上にあげた章では、登場人物の名前紹介だけで盛り上がる。
伊丹右京、母川采女(ももかわうねめ)という名だけで、
すでに著者の鼻息が荒くなっていることが伝わってきます。
口調(文体)は同人誌風ながら、真摯にジェンダー問題を読み手の常識からえぐりだす。
で、最後はやはり三島由紀夫。
解説の高橋睦郎の文中、
「昭和天皇にはエロスのかけらもない。三田明が天皇だったら、
この場で天皇制のために死んでみせる」
と言った三島の冗談が、冗談に読めないのはなんでかな?

「古典BL小説集」(平凡社ライブラリー)は、古典と謳いながら、
一番終わりにマリオン・ジマー・ブラッドリーの短編SFを載せているので買いました。
ブラッドリーのといいつつ、じつはジョン・ジェィ・ウェルズとの合作のようです。
しかし、そのウェルズさんは、名前からすれば男性ですが、
その正体は女性編集者で同人SF作家だそう。
なんでBL小説集にブラッドリーの短編が、と思うのですが、
その設定は、人類が滅亡したあとに宇宙から戻ってきた探検隊の一行(もちろん♂)の話。
その♂ばかりの最後の人類へ、超科学を持つ異星人が提案をします。
「おまえらの一人を女にしてやるぞ」
で、一番若い男が人身御供になり、女なって隊員の子どもを生む、というおハナシ。
強制的にトランスジェンダーされた人がその肉体の性に心のほうも従ってしまう、
ということになっているので、
先天的ならともかく、後天的なトランスははたして有り得るのか、疑問にも思った次第。
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