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カーについて思いついたこと

2009年08月11日 | JDカー
ところで、カーのことを書いたら、思いついたことがありました。
カーはフェル博士もの、HM卿ものといったルーティンワークのほかにノンシリーズものの長編をいくつか書いています。このノンシリーズものが書かれた理由があるとしたら。
「毒のたわむれ」「弓弦城殺人事件」はバンコランからフェル博士・HM卿への、シリーズ探偵の乗り換えの合間に実験的に書かれた、というのは定説になっているようです。
「火刑法廷」はノンシリーズものでありながら、傑作の誉れ高い作品です。読めばノンシリーズになった理由が分かりますが、理由はそれだけではないのでは? 発表された時は怪奇小説がブームになったそうで、セイヤーズは怪奇小説のアンソロジーも編んでいます。カーも怪奇小説ブームをあてこんで、M・R・ジェイムズマナーの長編を書いてみたのではないでしょうか。これが評判良かったらウィアード・テールズあたりに売り込もうとしたのでは。



「皇帝の嗅ぎ煙草いれ」は、マーガレット・ミラーあたりが書くような、女性が主人公のニューロティックサスペンス。



「九つの答」は、東西冷戦を背景にしたシークレット・エージェントもの風冒険小説(たとえばボンドもの)に挑戦してみた、とか。
内容はエージェントものとは程遠いですけどね。
カーは、営業的に書いてみたけど評判良かったらまた書いてみようか、ぐらいに思っていたのかも。
だからといって評価が貶められるものではないことはもちろん。
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