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●《日本全土を米軍の鉄砲玉として…》…【解決策ない辺野古の軟弱地盤 できもせぬ基地建設で翻弄する一方、日本全土の基地化が進行】

2022年01月05日 00時00分50秒 | Weblog

[↑ 辺野古破壊反対広告 (2021年06月06日、朝日新聞)]


(2021年12月07日[火])
長周新聞の記事【解決策ない辺野古の軟弱地盤 できもせぬ基地建設で翻弄する一方、日本全土の基地化が進行】(https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/22215)。

 《沖縄県名護市の辺野古新基地建設予定地について、防衛省は地盤改良工事のための設計変更を沖縄県に提出したが、沖縄県の玉城デニー知事は11月25日、不承認とした。今後、国側は法廷闘争に持ち込む構えを見せているが、沖縄県が不承認とした背景には「新たな米軍基地は沖縄に必要ない」という県民世論だけでなく、建設予定地に横たわる物理的な問題がある。埋め立てに着工できていない大浦湾側の予定海域は「マヨネーズ状」ともいわれる軟弱地盤が大半を占めており、技術的問題も含めて不確実性が高く、見通しの立たない膨大な時間と公費を投入した新基地建設は無意味な工事になる可能性が高い。一方、何十年も人々の視線を辺野古に釘付けにするなかで、それを上回る規模で南西諸島ミサイル基地配備自衛隊や民間施設の米軍使用など日本全土の前線基地化がノンストップで進んでおり、そのなかでの辺野古基地建設の位置づけについても改めて検証する必要がある》。

 この長周新聞の記事は素晴らしい。長いですが、是非、御一読ください。これこそ、調査報道です。

   『●N値がゼロ、工期と費用は「∞」…今日もドブガネし、
       ジャブジャブと大量の土砂を美ら海にぶちまけている
   『●あとの祭り…自公お維政治屋は《民を飢えさせない、安全な食べ物の
      供給、そして絶対に戦争をしないことが政治家の役目》を担い得ない
   『●沖縄タイムス《大浦湾…2015年4月…「土木的問題が多い地層が
     厚く堆積している」…「長期の沈下が考えられる」と施工上の懸念も》
    「ここでも、アベ様や元・最低の官房長官らのお得意の《隠蔽》。
     マヨネーズ軟弱地盤を知っていたくせに破壊に着工。護岸が崩壊する
     との指摘まである。そして今、さらなるデタラメ・ヒトデナシを
     やろうとしている…《人柱》だ」
    「新基地は完成を見ることはない。おまけに、普天間飛行場の全面返還など
     成されない。まさに、辺野古は単なる破壊「損」だ」

 N値はゼロ、工期と費用は「∞」…今日もひたすらドブガネし、ジャブジャブと大量の土砂を美ら海にぶちまけている。いまも日々続いているデタラメな《工期も費用も言えない》辺野古破壊。いくらドブガネしても新基地は出来ない、普天間も返還されない。辺野古は単なる破壊「損」にすぎないし、原状回復も不可能。加えて、デタラメ・ヒトデナシをやろうとしている…《人柱》だ。
 さらには《日本全土の基地化が進行》。

   『●米中戦争の「防波堤」: 
     与那国駐屯地による「活性化」? 「島民との融和」か分断か?
   『●石垣島陸上自衛隊ミサイル部隊配備: 
       《菩提樹》を切り倒すのか? ささやかな願いさえも打ち砕くのか?
   『●与那国島や石垣島、《沖縄は名護市辺野古だけでなく、
          宮古島もまた国防のために政府に翻弄されている》
   『●立法府の自公お維議員による土地規制法案 ――― 《何のための国会か》
        《内閣委員のお一人お一人が問われている》(馬奈木厳太郎弁護士)

   『●土地規制法案の先取り ―― 宮城秋乃さんの家宅捜索という見せしめ
       …《見せしめの過剰捜査…人権侵害行為》が頻発すること、必至
   『●《弾薬庫は置かない》…平気で嘘つくよなぁ。ことごとく約束は
     反故にされ、市民はバカにされていて、やはり受け入れてはいけなかった

 デモクラシータイムスのこの映像もご覧ください。
 【辺野古埋立変更申請、知事は不承認 自衛隊を桜が止めた【新沖縄通信】20211129】(https://www.youtube.com/watch?v=UPr4-8BIJ7k&t=599s)。《デモクラシータイムス》《沖縄タイムスとお届けする11月の沖縄。今月は三上智恵さんを迎えて、いまの沖縄のなまなましい問題を取り上げます。国の辺野古マヨネーズ地盤の埋立設計変更申請に根拠はないと誰でも思うはずなんですが、ごり押しが続きます。実は自衛隊の基地化を考えているのかも…。県内全域が自衛隊の基地化してきた沖縄の現状もお伝えします。地元の声を詳しく知りたい方は、こちらからどうぞ
◆島々シンポジウム 第6回
2021年12月18日(土)15時~
琉球新報ギャラリーでの公開+Zoomビデオウェビナー
(入場無料、Zoomウェビナーは先着1000人の事前登録制です)
https://us06web.zoom.us/webinar/regis
収録は2021年11月29日》


【辺野古埋立変更申請、知事は不承認 自衛隊を桜が止めた【新沖縄通信】20211129】
https://www.youtube.com/watch?v=UPr4-8BIJ7k&t=599s

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https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/22215

解決策ない辺野古の軟弱地盤 できもせぬ基地建設で翻弄する一方、日本全土の基地化が進行
2021年12月6日

 沖縄県名護市の辺野古新基地建設予定地について、防衛省は地盤改良工事のための設計変更を沖縄県に提出したが、沖縄県の玉城デニー知事は11月25日、不承認とした。今後、国側は法廷闘争に持ち込む構えを見せているが、沖縄県が不承認とした背景には「新たな米軍基地は沖縄に必要ない」という県民世論だけでなく、建設予定地に横たわる物理的な問題がある。埋め立てに着工できていない大浦湾側の予定海域は「マヨネーズ状」ともいわれる軟弱地盤が大半を占めており、技術的問題も含めて不確実性が高く、見通しの立たない膨大な時間と公費を投入した新基地建設は無意味な工事になる可能性が高い。一方、何十年も人々の視線を辺野古に釘付けにするなかで、それを上回る規模で南西諸島ミサイル基地配備自衛隊や民間施設の米軍使用など日本全土の前線基地化がノンストップで進んでおり、そのなかでの辺野古基地建設の位置づけについても改めて検証する必要がある。


沖縄県民や日本全国を愚弄し続けた辺野古問題24年

 大浦湾の軟弱地盤については、国は埋め立て着工の数年前から把握していたにもかかわらず、その存在を認めることなく、2018年12月に辺野古沿岸部の海域から土砂投入に踏み切った。県民の情報公開請求で明らかになった防衛省の土質調査報告書(2016年3月作成)では、ボーリング調査によって、この海域の大部分に軟弱地盤があり、その厚さは水深30㍍から最大90㍍までの深さにまで広がっていることが明らかになっている【地図参照】。

 この事実を根拠にして2018年8月、沖縄県は故・翁長前知事の遺志に従い、仲井眞県政時代に出した埋め立て承認を撤回したが、対抗する防衛省は本来は国民の権利を守るためにある行政不服審査法にもとづいて国交省に効力停止を申し立て、国交省が沖縄県の権限を停止。裁判所もそれを「適法」として追認するという問答無用の措置に踏み切った。

 そのさい政府は、軟弱地盤について「一般的で施工実績が豊富な工法で、護岸や埋め立て等の工事を所要の安定性を確保しておこなうことが可能」として土砂投入へと見切り発車したが、その後の2019年1月に「地盤改良工事が必要」(安倍元首相)と認めた。地盤改良をおこなうためには設計変更が必要になり、沖縄県の承認が必要になるため、その前に土砂投入を先行させて既成事実化を図った形だ

 防衛省の調査結果によると、大浦湾の海底地盤には水深90㍍に及ぶ深い谷があり、そこに比較的新しい時代に堆積した砂と粘土の軟弱地盤が形成されている。とくに建設が予定されているV字型滑走路の先端部分に位置する東側護岸では、海面下30~70㍍までの深さで、地盤の強度をあらわすN値」がゼロの地点が多く確認された。

 「N値」とは、63・5㌔のハンマーを75㌢の高さから落下させ、直径51㍉のサンプラー(試掘用の杭)が30㌢貫入するまでに要した落下回数をいう。杭が30㌢下まで到達するのにハンマーを1回打ち下ろした場合は「N値1」、2回なら「N値2」として地盤の強度をあらわし、数字が大きいほど地盤が固いことを意味する。通常、大型構造物の基礎としては「N値50」以上が必要とされているが、防衛省は2013年の埋立承認申請時に、この地点を「N値11」と想定していた。

 実際の調査で連発した「N値ゼロ」とは、ハンマーを使わずとも杭を設置しただけで30㌢以上も下にズブズブと沈んでいったことを意味する。護岸に設置するケーソン(鋼鉄製の箱)は総数38函におよび、大型ケーソンの重量は7000㌧以上にもなる。ケーソンの土台となる基礎捨石も最大200㌔㌘の巨大石材であるため、いずれもN値ゼロの地盤に置くだけでたちまち40㍍下まで沈み込んでしまうことになる。そのため「マヨネーズ状地盤」「豆腐並み」と呼ばれ、「とても構造物を設置できるような地盤ではない」と専門家たちは指摘してきた。

 これらを受けて防衛省が作成した設計変更では、水深30㍍の海底地盤に存在する軟弱地盤の厚さを約40㍍と想定し、水深70㍍までの軟弱地盤(面積66㌶)に3年半かけて砂杭など7万1000本(砂量は東京ドーム5杯分)を打ち込むサンドコンパクションパイル(SCP)工法で地盤を固めるとした。そのため、これまで沖縄県北地域に限定していた土砂の調達先を県内全域に広げ沖縄戦激戦地であった糸満や八重瀬などの県南部からも戦没者の遺骨が未収集のまま眠っている土砂を大量に集める計画になっている。

 ところがその数カ月後に、新たな調査で軟弱地盤の厚さが60㍍であることが判明つまり水深90㍍の深さにまで軟弱地盤が存在していることになるが、防衛省は「調査の精度に信憑性がない」「(70㍍以下は)非常に固い粘土層」などとして、70㍍以下の地盤改良は不要であるとの見解を示している。

 だが、その判断の根底には、日本の作業船の施工深度は最大70㍍までしか届かず、90㍍までになると機械が届かないという現実がある【断面図参照】。水深70㍍であっても難工事であるうえに、水深90㍍の地盤改良は世界に前例がない

 土木工学を専門とする鎌尾彰司日本大理工学部准教授は、今年9月の沖縄県主催シンポジウムで、「わが国が保有する海上での地盤改良船では、数億円を掛けて改装しても海面下70㍍までしか地盤改良をすることができない。すなわち、施工機械が届かない20㍍の部分は未改良のままにするしかない軟弱地盤を未改良のままにして埋立工事をおこなうと、地盤が圧縮して密度が大きくなる(強度が高くなる)までに長い時間を要することになる。さらに改良できない部分は粘土質であるため、埋立工事中の沈下量が大きくなることはもちろんのこと、埋立工事が終了しても長期にわたり未改良の粘土地盤に継続して大きな沈下が発生することになる」と指摘した。

 改良工事は長期間におよび、軟弱地盤の上に設置された滑走路は恒常的に沈下するため、くり返し補修工事が必要になり、沈下によって護岸が倒れる「滑り破壊」によって埋め立てた土砂が海に流れ出る恐れもあると警鐘を鳴らしている。

 しかも政府は、最も深くまで軟弱地盤が堆積している東側護岸の「B27」地点については、別地点のサンプル調査から推測するだけで、地盤強度の調査をおこなっていない。そのため国の設計変更書には、地盤改良工事における砂杭の大きさや打ち込む本数などの具体的な記述がない

 総工費も当初の3500億円の2・7倍となる9300億円としているが、沖縄県は7カ所分の護岸工事だけで政府の資金計画書で示した額の12倍(928億円)となっていることから、埋め立て費用は当初の10倍の2兆5500億円に膨らむと試算している。

 基地建設の工期も当初の8年から12年に延長され、移設を条件とした普天間基地の返還は2030年代半ば以降となり、事実上先の見通せない状況だ。今後も「全体の経費については答えられない」(防衛省)というほど膨大な血税を投入しながら、完了するメドのない工事が延々と続くことになる。


地下には2つの活断層も 地盤調査せず

 さらに辺野古沿岸部から沖合にかけては、辺野古断層と楚久断層という2つの断層が走っており、いずれも活断層と分類されている【地図参照】。

 政府は活断層の存在を否定しているが、軟弱地盤が堆積する大浦湾海底の落ち込みは、これら2つの活断層の交差によって形成されたとみられており、この海域を調査した東北大学講師・遅沢壮一氏(地学)は「大浦湾の海底谷地形成は辺野古断層である。同断層は2万年前以降にくり返し活動した、極めて危険な活断層である」(知事撤回理由書)と指摘している。

 原発建設の場合を見ても、原子力規制委員会は、将来活動する可能性の高い断層を約一2万~13万年前かそれより新しい時期に動いたものと認定しており、2万年前以降に動いたとされる辺野古断層は今後も活発に動く可能性がある比較的新しい活断層とみなされている

 活断層に挟まれた軟弱地盤の上に、弾薬や化学物質などを扱う軍事施設や滑走路を建設すること自体、無謀極まりないもので、直下地震や津波が発生すれば、その被害は想像を絶するものとなる。地質学の専門家は「新基地を建設することは非常に危険である。活断層の存在を否定するならば、国は早急に調査結果を公表すべき」(加藤祐三琉球大学名誉教授)と批判を強めている。

 玉城知事は11月25日、軟弱地盤の改良工事に必要な国の設計変更について、「地盤の安定性等にかかる設計に関して最も重要な地点において必要な調査が実施されておらず、災害防止に十分配慮した検討が実施されていない」「『埋め立ての必要性』について合理性があるとは認められない」として不承認とした

 大浦湾はジュゴンなど絶滅危惧種262種を含む、5334種もの生物が生息する全国有数の地域であり、環境保全についての国の調査や対策がまるでなされていないことも挙げ、「公有水面埋立法に適合しない」と断定。「そもそも今般の変更申請が必要となったのは、本来、沖縄防衛局が事業実施前に必要最低限の地盤調査を実施すべきであったのにもかかわらず、これを実施せず、不確実な要素を抱えたまま見切り発車したことにすべて起因する」と政府側の責任を追及した。

 設計変更の不承認によって大浦湾の該当海域では埋め立て工事ができなくなるが、国はふたたび知事権限の執行停止や法廷闘争に持ち込み、地方自治を蹂躙してはばからない姿勢を見せている。


南西諸島で進む基地化  普天間は改修して恒久化

 1997年に日米政府のあいだで辺野古新基地建設計画が浮上してから24年。はじめは「普天間基地の危険性除去」だった問題が、いつの間にか「辺野古移設」にすり替わり、数十年にわたって沖縄県内では、新基地建設を許さない島ぐるみの世論と政府との激突状況が続いてきた。あいつぐ国政選挙では辺野古新基地を推進する与党が大敗し、県知事選では「辺野古新基地反対」を掲げるオール沖縄陣営が勝利し、辺野古の是非を問う県民投票でも反対票が多数を占めた

 そして、オール沖縄を率いた翁長前知事の死去後も、その遺志を継いで新基地反対を唱えた玉城現知事が過去最多得票で当選するなど、20万県民の命を奪った沖縄戦を経験し、以来70年以上にわたって米軍支配に晒されてきた沖縄県民の揺らぐことのない頑強な意志が幾度となく示されてきた

 だが、それを無視して建設工事が強行される辺野古新基地は、軟弱地盤で沈下や陥没の危険性が高く、完成時期も見通せないうえに基地として使い物になるか否かも定かではない。例え整備されたとしても「普天間の代替機能は果たせないと米側が主張することで返還の約束など簡単に反古になる関係だ。肝心の普天間基地は「閉鎖」どころか、さらに長期使用を可能にするため施設の改修工事が進められている

 先行きの見えない辺野古問題に人々の視線を何十年も釘付けにする一方で、沖縄県内外を問わず、米軍と自衛隊が一体となった基地や港湾の共同運用が進み、さらに与那国石垣宮古などの南西諸島では新たな自衛隊ミサイル基地があいついで建設されてきた。沖縄本島でも、勝連半島で自衛隊のミサイル部隊新設や、米軍の後方支援施設の建設計画が明らかになっている。

 米軍は対中国包囲網として、日本列島から沖縄、フィリピン西部、南沙諸島にかけて「第一列島線」とし、日本からグアム・サイパン・テニアンにかけてを「第二列島線」とする構想を打ち出している。本州、九州、馬毛島奄美大島、沖縄本島、宮古島、石垣島、与那国島にわたって出撃基地やミサイル包囲網をつくり、日本を不沈空母に見立てて中国に圧力を掛け、同時に米本土を防衛するというものだ。軍事費圧縮が迫られている米軍は、日本に軍事費や人員を肩代わりさせ、自衛隊を二軍として自国のアジア戦略に主体的にかかわらせる方針へとシフトしているからだ。この構想に基づけば、有事のさいには沖縄や南西諸島だけでなく、九州や本州も含める日本全土が戦場になり、攻撃対象になる可能性が出てくる。それは基地負担を沖縄が負うか、本土が負うかといった問題ではなく、日本全土を米軍の鉄砲玉として差し出すか否かの問題といえる。


大増強進む岩国や九州の基地  辺野古釘付けの間に

 「普天間基地の負担軽減」や「辺野古移設の是非」が騒がれ、辺野古問題だけに目を奪われるなかで、本土でもそれを上回る規模で米軍基地強化や自衛隊基地の共同使用が進められてきた

 米海軍基地がある長崎県佐世保では、自衛隊水陸機動団が配備され、それにともなって佐賀空港へのオスプレイ配備計画が浮上した。「普天間の負担軽減」を名目にして新田原基地(宮崎県)とともに米軍との共同使用施設へと変わりつつある空自築城基地(福岡県)では、滑走路を普天間基地と同規模(2700㍍)にまで延長するための拡張工事が始まっている。また米軍使用が常態化している福岡空港にも新たな米軍専用施設が建設された。

 新田原基地でもステルス戦闘機F35Bを配備するための新たな駐機場や燃料タンクが建設される。3000㍍級の滑走路を持つ大分空港や、熊本空港でも米軍オスプレイ等の緊急着陸が増えるなど、民間空港の米軍使用が格段に増えたのも近年の特徴だ。

 15年間かけて沖合に1・5倍拡張された米軍岩国基地(山口県)では、埋め立て総工費は2500億円だが、そのために切り崩した愛宕山開発費(米軍住宅建設)を含めると防衛省発注事業は4000億円以上にのぼる。辺野古の埋め立て費用を上回る公費を注ぎ込んで海側にも山側にも米軍基地が拡張され、厚木からの空母艦載機部隊の移駐によって米軍関係者約1万200人、軍用機約120機を擁する極東最大の基地となり、原子力空母、大型強襲揚陸艦、ヘリ空母などを本格展開する出撃拠点へと変貌している。

 また首都圏でも、在日米軍司令部を置く「横田幕府」こと米軍横田基地では、オスプレイ配備を五機から10機に増やすための新駐機場、グアムから飛来する無人偵察機RQ4グローバル・ホークの駐機施設、さらに今後4年間で大型輸送機九機を追加配備できる新駐機場の建設など、大規模な増強工事がおこなわれている。

 さらに政府は、硫黄島でおこなわれてきた米空母艦載機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)の飛行場として馬毛島(鹿児島県)を買収。奄美大島には陸自ミサイル部隊を配備し、宮古島、石垣島にもミサイル部隊、台湾や尖閣諸島の目と鼻の先にある与那国島には陸自沿岸警備隊を配備した。

 近年、沖縄周辺でおこなわれる自衛隊の統合演習には常に米軍が参加し、民間港や民有地を使用した実戦訓練となっている。12月に米海兵隊と陸上自衛隊が実施する共同訓練は、米軍の「遠征前方基地作戦(EABO)」にもとづき、米海兵隊が遠隔地から最新鋭高機動ロケット砲システム(HIMARS=ハイマース)と陸自の地対艦誘導弾(SMM)を使って中国のミサイル網に対抗するもので、八戸演習場(青森県)や矢臼別演習場(北海道)などを含んでおこなわれる。

 米軍基地問題を「辺野古問題」ないし「普天間問題」へと矮小化して、その是非だけを焦点とすることで、それ以外の地域や本土でそれを上回る基地機能強化がノンストップで進められてきたのがこの数十年の現実であり、この問題についてはオール沖縄が抱える玉城知事も立場をあいまいにしたまま事実上黙認してきた。現在、来年1月に辺野古を抱える名護市長選、秋には県知事選が控えるなかで、「辺野古を選挙の争点にするか否か」「基地問題か経済か」といった図式で政局がとり沙汰され、基地問題では「普天間の負担軽減」だけが叫ばれ、その枠内で革新系も含めて「県内移設か、県外移設か」といった沖縄vs本土の構図が煽られてきた

 だが現実を冷静に見るならば、辺野古問題で目先をフェイクしながらその外側で南西諸島を含む日本全土を対中国の鉄砲玉にするという大規模な戦争策動が動いており、沖縄で起きている現実と本土で進行してきた軍事基地化の教訓を互いに共有し、これと対峙する沖縄全島と全国を結んだ力の結集が求められている
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●防衛省と「技術検討会」による《ずさん》な《「結論ありき」の出来レース》…《軟弱地盤調査せず…何のための「検討会」か》?

2020年05月17日 00時00分20秒 | Weblog

[※ 辺野古は破壊「損」 【米軍飛行場の移設先として工事が進む沖縄県名護市の海岸】(東京新聞 2020年4月3日)↑]



沖縄タイムスの【社説 [軟弱地盤調査せず] 何のための「検討会」か】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/555484)。
西江昭吾記者による、沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]ルビコン川はまだ渡っていない】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/555477)。
中沢誠記者による、東京新聞の記事【辺野古地盤 粘土90%超 防衛省想定70% 「固い」根拠揺らぐ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202004/CK2020040302000153.html)。

 《検討会は修正を了承し防衛省は工程や経費に変更はないと説明した。多数の誤りを修正した防衛省、工法をチェックしてしかるべき検討会が見逃しあっさり修正を認める。防衛省も、検討会も、ずさんというほかなく、「結論ありきの出来レースであると言わざるを得ない》。
 《▼こちらは、まるで「とうにルビコン川は渡った」と言うかのような返答ぶり。県の「万国津梁会議」が、米海兵隊を県外・国外へ分散するよう求めた提言書について、菅義偉官房長官は「県の検討の一つ一つにコメントすることは差し控えたい」と素っ気ない…▼辺野古埋め立てを巡り、防衛省は有識者の意見を聞きながら工事を進めている。一方は重きを置き、一方はそっぽを向く。二重基準と言わずして何と言おう。(西江昭吾)》。
 《巨大な護岸が建設されるB27地点を巡っては、防衛省の主張に反して地盤が「軟弱」とする三つのデータの存在が本紙報道などで明らかになった。しかし防衛省は「信頼性が低い」として設計に反映していない。一部の専門家は「地盤が軟弱なら護岸が崩壊する恐れがある」と、B27地点の再調査を求めているが、防衛省は応じていない。(中沢誠)》。

   『●直ぐに辺野古破壊の中止を! 《最悪の場合、埋め立てた盛り土が
          崩れ、護岸が崩壊する恐れ…安全な施工は保証できない》

 一体どこが《専門家》なのか? 何が、「技術検討会」? 不要不急な工事…いや、無駄な工事。美ら海破壊にドブガネ。工期と工費は∞。いつまでたっても新基地は完成しない。百万歩譲って、完成しても普天間は返還されない。辺野古は単なる破壊「損」

 結論ありき、「辺野古が唯一」…どこまでも無能な独裁政権。
 デタラメ防衛省…一方、着々と辺野古破壊が進む。正に破壊「損」。大浦湾で護岸が崩壊したら、辺野古も含めて元の自然に戻せるのか? 責任もって、原状回復して見せてくれんでしょうね?

   『●《沖縄が切り捨てられた日であり、名護市出身の女性が米軍属の男に
     殺害された日でもある。いまも沖縄にとって「屈辱の日」は続いている》
   『●PFOSを含む泡消火剤《14万リットル流出 ドラム缶719本分》!!
        沖縄市民に強硬な防衛相は番犬様には何にも吠え付けないとはねぇ…

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/555484

社説 [軟弱地盤調査せず] 何のための「検討会」か
2020年4月3日 07:51

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、土木工学の専門家らによる第6回「技術検討会」(委員長・清宮理早稲田大名誉教授、8人)が防衛省で開かれた。この中で防衛省はこれまで示した資料に20カ所の誤りがあり、修正したことを明らかにした。護岸の安定性に関する数値の間違いや、計算結果が正しく反映されていない図表などである

 検討会は修正を了承し防衛省は工程や経費に変更はないと説明した。多数の誤りを修正した防衛省、工法をチェックしてしかるべき検討会が見逃しあっさり修正を認める

 防衛省も、検討会も、ずさんというほかなく、「結論ありきの出来レースであると言わざるを得ない。

 検討会は水面下から最大深度90メートルに存在する大浦湾の「B27」地点の軟弱地盤も再検討を要しないと結論付けた。これもまた防衛省の見解を追認したものである。

 なぜ必要ないのか。検討会は科学的、技術的観点から結論に至るまでの説明責任を果たす必要がある。ボーリング調査を実施し地盤強度を調べることを県が求めているのである。検討会はチェック機能を果たすべきではないか。

 第5回検討会で、ある委員は「これ以上お金と時間をかけて調査しても新しく得られる情報はすごく少ない」と発言している。本当だろうか。

 「B27」地点では、軟弱地盤を示す受注業者の実測データが発覚しているからだ。ボーリング調査を実施して実態を明らかにすべきである。

■    ■

 防衛省は70メートルより下は「非常に硬い粘土層」と説明する。同地点から約150メートル~750メートル離れた3地点の試験から類推した結果である。

 「B27」は巨大護岸が設置される地点の真下に当たる。

 新潟大の立石雅昭名誉教授(地質学)を代表とする「沖縄辺野古調査団」は受注業者の実測データを基に護岸の安定性を調べた。国土交通省が定める港湾施設の基準を満たさず、巨大護岸が崩壊する恐れがあると指摘した。

 工事中も、完成した後も巨大護岸が崩壊する危険性があるのだ。河野太郎防衛相は「受注者が船上で簡易に行ったもの。土の強度を測るための試験ではない」と信頼度は低いと強調する。

 だが「非常に硬い粘土層」もあくまで類推である。新基地建設を強引に進めるため、不都合なデータを排除し、類推した都合のいいデータを採用したのではないのか、との疑念が拭えない。


■    ■

 防衛省は検討会を「客観的に有識者からの提言、助言を得る」と位置付けた。だが本来のあるべき姿とは程遠い。

 

 かつて防衛省幹部は検討会が「建設ありき」との批判があることについてこう言い放ったことがある。「移設工事は決まっていて、意見をいただくのに、建設ありきではいけないのか」と。事実上の追認機関であるとの本音を露骨に語った言葉である。

 検討会は最終回とみられる。防衛省は「環境監視等委員会」を開き、今月中にも県に設計変更を申請する考えだ。追認機関の結論が新基地のお墨付きとはならない
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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/555477

[大弦小弦]ルビコン川はまだ渡っていない
2020年4月3日 07:54

 歴史に名を残す川は、場所さえ定かではないらしい。一説によると、イタリア半島北部に位置し、全長30キロに満たず、川幅は広い所で約5メートル。想像よりはるかに小さい

▼後戻りできない重大な決断をすることの例えで引用される「ルビコン川を渡る」。古代ローマ時代、軍隊を率いるカエサルが信念を曲げず、命令に背いて川を越えた故事にちなむ

▼こちらは、まるで「とうにルビコン川は渡った」と言うかのような返答ぶり。県の「万国津梁会議」が、米海兵隊を県外・国外へ分散するよう求めた提言書について、菅義偉官房長官は「県の検討の一つ一つにコメントすることは差し控えたい」と素っ気ない

▼政府の立場は「辺野古が唯一」なので、意に沿わない提言に違いない。菅氏は「もう判断が終わった話」と周囲に語っていると聞く。だからといって、馬耳東風のごとく受け流すのは、いかがなものか

▼散発的な個々人の発言に対してなら、まだ分かる。提言は、曲がりなりにも知事が有識者に諮問し、丹念に練り上げたもの。コメントを控えるどころか、むしろ重く受け止め、米側に議論を呼び掛けるのが国の役目だ

▼辺野古埋め立てを巡り、防衛省は有識者の意見を聞きながら工事を進めている。一方は重きを置き、一方はそっぽを向く。二重基準と言わずして何と言おう。(西江昭吾
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202004/CK2020040302000153.html

辺野古地盤 粘土90%超 防衛省想定70% 「固い」根拠揺らぐ
2020年4月3日 朝刊



【防衛相が「非常に固い」と見なす特徴と食い違う地層データ】
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202004/images/PK2020040302100056_size0.jpg

 沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設予定地の海底地盤から「軟弱」を示すデータが見つかった沖合のB27地点で、七十メートルより深い地層に含まれる粘土などの細かい土の粒(細粒分)の割合が、最高で99%に達することが分かった。この「細粒分含有率」が高いほど、地盤は弱くなる傾向がある。防衛省は近くの強度データからB27地点の海底地盤を「非常に固い粘土層」と結論づけ、その特徴として「細粒分は70%程度」を挙げたが、食い違いがみられる。

 軟弱な海底地盤が広がる埋め立て予定地の中で、B27地点の粘土層は最も深い九十メートルまで達している。防衛省が業者に委託した地質調査結果によると、B27地点の細粒分含有率は海面下六十九~八十五メートルまでは99~93%となっていた。

 防衛省は予定地の海底地盤の特徴を、七十メートルを境に粘土層が二つに分かれると分析し、より深い層は細粒分が「70%程度」で「非常に固い」と判断。「深度七十メートル超は固い」との前提に立ち、「七十メートルまで地盤改良すれば基地の施工は可能」としている。

 粘土は砂と比べて土の粒が細かいため、細粒分含有率が大きいほど粘土に近くなり、軟弱地盤になりやすいとされる。B27地点の細粒分含有率は、この前提が成り立たない可能性を示している。

 もともと防衛省がB27地点の深度七十メートル超の地層を「非常に固い」と判断したのは、百五十~七百五十メートル離れたS20地点など三地点の強度データからの類推だった。三地点とB27地点は「同じ地層だから」というのが理由だが、細粒分含有率の傾向は大きく異なっている。

 防衛省整備計画局は「細粒分含有率が90%以上であっても『70%程度』のばらつきとして見ている。土の粒の大きさより、密度を重く見て総合的に判断した」と説明する。

 巨大な護岸が建設されるB27地点を巡っては、防衛省の主張に反して地盤が「軟弱」とする三つのデータの存在が本紙報道などで明らかになった。しかし防衛省は「信頼性が低い」として設計に反映していない。

 一部の専門家は「地盤が軟弱なら護岸が崩壊する恐れがある」と、B27地点の再調査を求めているが、防衛省は応じていない。 (中沢誠


◆軟弱と見るのが自然

<地盤工学に詳しい鎌尾彰司・日本大准教授の話> 細粒分含有率の差が30ポイントもあり、防衛省の言うようにB27地点と周辺三地点の地層が同一と考えるには無理がある。細粒分含有率は土の固さにも影響する指標で、B27地点の高い含有率からすれば、むしろ七十メートル以深も「軟弱」な地層が続くと考えるほうが自然だ。七十メートルまで地盤改良すればいいという結論に導くため、地層のデータも都合よく解釈している印象を受ける。



【「非常に固い」層の特徴として細粒分含有率は「70%程度」と書かれた防衛省の地盤改良の検討報告書】
 (https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202004/images/PK2020040302100057_size0.jpg



【米軍飛行場の移設先として工事が進む沖縄県名護市の海岸=今年2月】
 (https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202004/images/PK2020040302100058_size0.jpg
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