不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●三宅勝久さん《報道・言論の自由を標榜しながらじつのところ会見参加者を選別している…巧みな情報操作》

2019年03月25日 00時00分49秒 | Weblog

『追及力 権力の暴走を食い止める』(望月衣塑子×森ゆうこ著)…《今、ジャーナリズムと野党の…》↑]



レイバーネットの記事【メディア攻撃をここで堰き止めよう!〜「知る権利を守る官邸前行動」熱く広がる】(http://www.labornetjp.org/news/2019/0314mic)。
三宅勝久さんのスギナミジャーナルの記事【東京新聞記者の官房長官記者会見「質問制限」問題を考える】(http://miyakekatuhisa.sakura.ne.jp/wp2/archives/3676)。

 《「記者の質問を妨害するな!」「知る権利を守ろう!」3月14日夜、約600人以上の人々が集まり菅長官や安倍首相のいる官邸に向かって声を上げた。「FIGHT FOR TRUTHー私たちの知る権利を守る3.14首相官邸前行動」…》。
 《しかし、そこで前提として理解しておかねばならないのが「記者クラブと官房長官記者会見の関係である。残念ながらこの「記者クラブ」が持つ問題の本質に切り込んだ言論というのは比較的少ないようにみえる》。

 全編の動画はコチラにあります。

- -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- -
https://www.youtube.com/watch?v=FCVhK2fK7XE

【全編動画】「FIGHT FOR TRUTH 私たちの知る権利を守る3.14首相官邸前行動 #0314知る権利」2019.3.14 @首相官邸前

shusei ch1
2019/03/14 に公開

2019/03/14 18:45から首相官邸前に於いて「日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)」の主催により行われた『FIGHT FOR TRUTH 私たちの知る権利を守る3.14首相官邸前行動』の様子です。

【主な登壇者(順不同)】
南彰氏(MIC議長/新聞労連委員長)
福島みずほ氏(社民党/参議院議員)
杉尾秀哉氏(立憲民主党/参議院議員)
奥野総一郎氏(国民民主党/衆議院議員)
田村智子氏 (日本共産党/参議院議員)
森ゆうこ氏(自由党/参議院議員)
●梓澤氏(弁護士/学者中心の共同声明の呼びかけ人)
●林美子氏(メディアで働く女性ネットワーク代表世話人)
瀬川牧子氏(抗議声明を出した「国境なき記者団」の日本事務局)
●吉永磨美氏(毎日新聞)
●石川昌義氏(中国新聞 ※抗議声明を出した中国地連を代表して)
●宇佐見昭彦氏(東京新聞)
望月衣塑子氏(東京新聞)
●酒井かをり氏(MIC副議長/出版労連委員長)
●他
■司会:岩崎氏(MIC事務局長)
- -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - -- - 


   『●下野時の発言がブーメラン…「最低の官房長官」スガ殿は、
               「国民への背信行為」を自分自身で行っている
    「南彰記者による記事【自著での主張も記憶にない? 菅官房長官「知らない」】…。
     リテラの記事【菅官房長官が壊れ始めた! 会見で
     「ここは質問に答える場所じゃない」、自分の著書のことを「知らない」…】…
     《これに対して、菅官房長官「知りません」と一蹴。すると、朝日記者が
     こんな種明かしをしたのだった。
        「これは、官房長官の著作に書かれているのですが
     そう、朝日記者が会見で読み上げた政治家の著作とは、菅氏自身が
     下野時の2012年に著した『政治家の覚悟』(文藝春秋)という本の一節
     だったのだ。菅官房長官はかつて、政府にとってすべての記録を
     残すべきであり、その基本的資料である議事録がないなどというのは
     「国民への背信行為と断じていたのだ》」

   『●《官邸の意に沿わない記者を排除…
     明らかに記者の質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を狭める…》
    「阿部岳記者は、《民主主義社会における報道はプロパガンダとは違う
     権力から独立し、監視するのが役割
     評価するのは権力ではなく、読者や視聴者だけだ》と言います。
     最低の官房長官は、市民の《評価》を妨害しようとしています。
     「事実誤認」「度重なる問題行為」かどうかは《読者や視聴者》が
     判断することで、最低の官房長官がやるべき事じゃない」
    《新聞労連南彰委員長)…首相官邸が昨年末の菅義偉官房長官の
     記者会見での本紙記者の質問を「事実誤認」「度重なる問題行為」とし、
     「問題意識の共有」を内閣記者会に申し入れたことについて
     「官邸の意に沿わない記者を排除するような申し入れは、
     明らかに記者の質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を
     狭めるもので、決して容認できない」とする抗議声明》

   『●《事実誤認》というフェイクで記者を会見から締め出す前に… 
                 アベ様や最低の官房長官こそ《事実誤認》?
   『●事実誤認の常習犯…《聞きたくない質問、
      都合の悪い質問を遮るような、その先に国民がいることを無視…》

    「※ついにここまで来たよ。最低の官房長官は正気で言っているのか?
     …《あなたに答える必要はない》! 周りの社会部記者は一体どう反応…?
     【政府の質問妨害「言論統制」 メディア女性ネット 本紙記者巡る
     答弁書撤回要求】…によると、《…午後の会見では、
     「この会見は一体何のための場だと思っているのか」と質問すると、
     菅氏は「あなたに答える必要はない」と述べた》」

   『●《事実誤認》はどちらか? 《権力を監視し、
       政府が隠そうとする事実を明らかにするのは報道機関の使命
   『●《「この会見は一体何のための場だと思っているのか」と質問 
                  菅氏は「あなたに答える必要はない」》!!
   『●記者イジメ…最低の官房長官が《民主主義を守るために努力》
                 《国民へ情報を知らせる義務》を果たしてる?
   『●小林節氏…《職業としての権力監視機関として、
      報道が発達し、憲法の重要な柱のひとつとして確立され》た

 三宅勝久さんの指摘する《記者クラブと官房長官記者会見の関係…この「記者クラブ」が持つ問題の本質》にも目を向けなければ。
 《「官房長官記者会見」のような閉鎖式の会員制記者会見》なんて止めてしまうべき。やり方はいくらでもあるはずだ。《官房長官の記者会見があらゆる記者に広く開放されれば、まちがいなく安倍政権は倒れる》。(畠山理仁さん)《さあ、一刻も早く試合を始めよう》!

   『●『記者会見ゲリラ戦記』読了
    「畠山理仁著。扶桑社新書、2010年12月初版第一刷」
    《記者クラブとフリー記者が対峙するなどナンセンス、なぜなら
     「本来、報道に携わる者が対峙すべきは権力者だからだ」。
    《記者会見のオープン化がなされた時、ようやく権力と報道の
     本当の戦いが始まる。既に観客はガチンコ勝負を見るために、
     すこしずつスタンドに入り出した。記者会見が真剣勝負の
     場になれば、政治家も記者も技量が磨かれる。ファインプレーも
     出るだろう。さあ、一刻も早く試合を始めよう
     開かれた日本の民主主義のために》

==================================================================================
http://www.labornetjp.org/news/2019/0314mic

メディア攻撃をここで堰き止めよう!〜「知る権利を守る官邸前行動」熱く広がる



*官邸の質問妨害に負けない望月衣塑子記者
動画(10分)
[FIGHT FOR TRUTH!私たちの知る権利を守る3.14首相官邸前行動]
https://www.youtube.com/watch?v=UjfR6wGopVI&feature=youtu.be

 「記者の質問を妨害するな!」「知る権利を守ろう!」3月14日夜、約600人以上の人々が集まり菅長官や安倍首相のいる官邸に向かって声を上げた。「FIGHT FOR TRUTHー私たちの知る権利を守る3.14首相官邸前行動」は、MICや新聞労連などメディア関連労組が呼びかけたもの。予想をはるかに超える参加者、そして現役記者が多数集まるという画期的なアクションとなった。スピーチは熱かった。野党議員・弁護士・新聞記者など全ての人が危機感をもち、本当に怒っていた。

     (*主催者のMIC議長・新聞労連委員長の南彰氏)
     (*ドラムの音にあわせてコールした)

 最後に当事者の東京新聞・望月衣塑子記者がマイクを握った。「会見とは政府の主張を言い続ける場ではありません。政府の言う事実、それに対して私たちが疑問を問いかける場です。会見は政府のものでもメディアのものでもなく、国民の知る権利を実践する場なのです!」。大きな拍手が起きる。望月さんは透き通る声で続けた。「メディアが政府に厳しい質問をできなくなったとき民主主義は衰退します。おかしいことはおかしいと声を上げる勇気を私たち一人ひとりが持てば、みんなで連帯し抵抗を示すことができます」と。

 行動に参加した元NHKプロデューサーの永田浩三さん…は記者のインタビューにこう語ってくれた。「秘密法戦争法共謀罪と安倍政権のもとで国民の自由がどんどん奪われてきたその行き着く先は戦争だ戦争への道を止めるには、メディア攻撃をここで堰き止めないとだめだ」と。この日のアクションは、メディア労働者と市民が手をつないで安倍政権と対決するという意味でも画期的だった。(M)

…2019-03-15 09:13:12…
==================================================================================

==================================================================================
http://miyakekatuhisa.sakura.ne.jp/wp2/archives/3676

スギナミジャーナル
東京都杉並区限定(ときどき限定解除)の硬派ジャーナリズム 「からい、しつこい、おもしろい」 主宰・三宅勝久 土日休刊

東京新聞記者の官房長官記者会見「質問制限」問題を考える
2019年2月22日

 官房長官記者会見に出席した東京新聞(中日新聞)社員記者が、菅官房長官から質問を妨害されるという出来事が世間の注目を集めている。

 筆者もフリージャーナリストとして細々ながら報道に携わっているので、関心をもって注目している。現時点で気づいたことを書き留めておきたい。

 国家公務員の幹部中の幹部たる官房長官が、記者会見で記者の質問を妨げた。官房長官というのは国民や世の中に広く説明を行う立場にあるのだから、けしからんという世論が起きるのは当然だろう。しかし、そこで前提として理解しておかねばならないのが記者クラブと官房長官記者会見の関係である。残念ながらこの「記者クラブ」が持つ問題の本質に切り込んだ言論というのは比較的少ないようにみえる。

 記者クラブというのは特定の報道業者でつくる任意団体だ。そこと役所がカルテルを結んで開いているのが「官房長官記者会見」のような閉鎖式の会員制記者会見である。私のようなフリージャーナリストは「質問」どころか会見場に入ることすらできない。話題になっている東京新聞記者は、この「記者クラブ」専用会見の特権によって会見場に入り、質問できる立場を獲得している

 だれが(どの会社の従業員か)官房長官記者会見場に入ることができるか、だれは入ることができないかという判断は事実上役所が握っている。記者であるということ以上に様々な理不尽な制約を課している

 報道・言論の自由を標榜しながらじつのところ会見参加者を選別している。巧みな情報操作といえる会見場に入ることすらできない筆者の目からみれば、今回の東京新聞記者の問題は、選別がなされて会見参加の特権を得た記者のなかに役所の気に入らない人物がいたというに過ぎない

 腐敗にまみれた安倍政権が報道による批判を恐れているのは間違いない。あらゆるジャーナリストが会見場に入れるようになれば、とっくに政権は倒れているだろう。研究不正を叩かれた早稲田大学の研究者の例をみればよくわかる。早稲田大の問題の記者会見はだれでも入ることができた。

 「会見場に入る特権をはじめ便宜をはかる」者と「排除する」者に選別し、分断するというのはある意味賢い情報操作のやり方である。

 官庁の記者会見を取材しようとすると、記者クラブが主催する会見なのでフリーは質問するな」「主催者優先にしてほしい」「主催者以外は参加を認めないといった反応が記者クラブからある。自分たち(の会社)長年の取材努力によって記者会見取材という特権を得たかのような理解をしている記者が少なくないらしい。

 しかし、役所の首長や公務員が記者会見をする真の意味を考えれば「長年の取材努力によって記者会見取材という特権を得た」という考えはおかしい公金を預かる公務員が記者会見をする意義とは一にも二にも説明責任をはたすためである。その公に対する説明の場である公務員の記者会見を自分たちの既得権益だと考えてフリーを排除することに躊躇がない記者というのは、「公務員様のご機嫌を損ねれば、飯のタネである記者会見を取り上げられてしまうじゃないかという不安を恥ずかしげもなく表現しているといえる。報道の自由どころではない。  

 官房長官の記者会見があらゆる記者に広く開放されれば、まちがいなく安倍政権は倒れる。よって安倍政権は日本各地に広がる各種記者クラブ制度を徹底的に守ると思われる。記者クラブに言及しない新聞テレビ通信社というのは、本音のところで安倍政権に倒れてほしくないと考えているにちがいない。

 権力となれ合った報道産業の各企業のなかで、経営者の望むまま権力にゴマをする者もいれば、ジャーナリストとしての自由を獲得しようともがく者もいるだろう。それぞれの労働者としての覚悟と意識が問われている。

投稿者: miyakatu
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●田中稔さんへの原発スラップ: 原子力ムラの目的は達成されたのかもしれない

2013年10月30日 00時00分37秒 | Weblog


田中龍作さんの『田中龍作ジャーナル』に出ていた記事【フリー記者を恫喝訴訟・SLAPPから守れ】(http://tanakaryusaku.jp/2013/10/0008074)。

 田中稔さんに関する原発SLAPPSLAPP=Strategic Lawsuit Against Public Participation、スラップ)。

   『●原発スラップを許すな!
   『●原発SLAPP(スラップ)=原発恫喝訴訟による原発批判への委縮効果を狙って
   『●『週刊金曜日』(2012年10月26日、917号)についてのつぶやき
   『●「差別を考える」: 『週刊金曜日』(2012年11月16日、920号)についてのつぶやき
   『●「二〇年後の日本を考えよう」『週刊金曜日』(2012年12月14日、924号)についてのつぶやき
   『●原発SLAPP続報: 原子力ムラを書いたら訴えられた
   『●「アベノミクスに騙されないための政治経済学」『週刊金曜日』(2013年3月29日、937号)
   『●「安倍晋三首相の本音」『週刊金曜日』(2013年5月31日、945号)についてのつぶやき
   『●田中稔さんへの原発スラップ: 核のヒカリあっての「東電の影」がようやく表に
   『●「どうなるのニッポン」『週刊金曜日』(2013年7月26日、953号)についてのつぶやき
   『●「ネットとデマと大震災」『週刊金曜日』(2013年8月30日、957号)についてのつぶやき
   『●田中稔さん原発スラップの実質的勝利の影で・・・

 烏賀陽弘道さんの時と同じ、狙いは「「証言集めや裏づけ作業などに追われ心身ともに疲れ果てた」「仕事にも身が入らず職場の同僚に迷惑をかけた」「家族にも心配をかけた」と田中氏」が仰っている点。その意味では原子力ムラは目的を達成したのかもしれない。

    『●『「朝日」ともあろうものが。』読了 (1/2)
     「烏賀陽さんのブログがあるのに気づいた。
       8月6日の記事(http://ugayaclipping.blog.so-net.ne.jp/2009-08-06)は
      感動的。8月11日の記事から(http://ugayaclipping.blog.so-net.ne.jp/2009-08-11)、
      33ヶ月にわたる苦痛の日々、SLAPPのあまりの影響の大きさが理解される。

       また、東京高裁への上申書
      (http://ugaya.com/column/090816kaisetsu7_SLAPPhigai.htmlの後半)
を読んで、
      正直、涙が出た。

================================================================================
http://tanakaryusaku.jp/2013/10/0008074

フリー記者を恫喝訴訟・SLAPPから守れ
2013年10月20日 21:47

  (SLAPP裁判の事実上の勝訴を祝う会が17日、開かれた。右が田中稔氏。
   隣は妻の惠子さん。=千代田区 写真:筆者=)

 大企業や政府などが資力に飽かせて個人を狙い撃つ恫喝訴訟(SLAPP)。日々の生活に汲々としているフリージャーナリストを黙らせるにはもってこいだ

 組織に所属していても記者個人に絞ってSLAPPを掛けてくるケースもある。田中稔氏がそうだった。田中氏は『社会新報』の記者だが、一個人として週刊金曜日に寄稿した記事をめぐり名誉棄損で訴えられ、6,700万円もの損害賠償を請求されたのである。一介のサラリーマン記者が背負える金額ではない。

 田中氏がSLAPPを掛けられた記事とは―
 週刊金曜日(2011年12月16日発売)に掲載された『最後の大物フィクサー』と題する記事で、警備会社社長を中心にした原発の利権構図をリポートした。警備会社社長側は「フィクサー」などとする表現が名誉棄損にあたるとして田中氏だけを告訴した。週刊金曜日を対象にはしなかった。

 かつての名誉棄損は媒体とライターの両方を訴えるのが普通だった。経済力のないライターだけを狙い撃ちするのがSLAPPの特徴だ。一個人として執筆したため、田中氏が所属する『社会新報』はバックアップしてくれなかった。

 訴えられた田中氏の苦闘が始まった。6,700万円という途轍もない金額が肩に重くのしかかった。法廷闘争に注がなければならない労力も生活を圧迫した。

 土地・建物・法人登記や企業調査資料など証拠提出書類は144点。準備書面など裁判所に提出した書類は1,200ページ以上にのぼった。

 「証言集めや裏づけ作業などに追われ心身ともに疲れ果てた」「仕事にも身が入らず職場の同僚に迷惑をかけた」「家族にも心配をかけた」と田中氏。

 記事中の「塀の上を歩き続けた」との表現は、名誉棄損の裁判上きわめて厳しいと弁護士に指摘された。「数百万円を払うことも覚悟した」。田中氏は苦悶の表情を浮かべながら話した。

 だが背水の陣でのぞんだ田中氏の地道な努力は報われる。フィクサーとされる警備会社社長側が裁判を取り下げたのである。8月半ばに予定されていた本人尋問の直前だった。原告の社長と被告の田中氏が初めて法廷に立つ。決定的な事実が飛び出すかもしれない、裁判のクライマックスだった。

 原告は知られたくないことがあったのか。今となっては知る由もないが、本人が法廷に立ち証言することもなく、裁判を取り下げたのである。

   (昨年8月、開かれた田中稔氏を励ます会。「国境なき記者団」東京代表の
    瀬川牧子氏(右)は原発SLAPPを国際世論に訴えた。=阿佐ヶ谷 写真:筆者=)


~仕掛けた方が恥をかく/法整備も必要~

 フリージャーナリストの烏賀陽弘道(うがや・ひろみち)氏は2006年、ジャニーズのヒットチャートについて雑誌に載せられたコメントをめぐって音楽情報会社からSLAPPをかけられた。音楽情報会社は5,000万円の損害賠償を烏賀陽氏にだけ求めた。

 裁判は2審で和解したが、1審は敗訴。東京地裁は烏賀陽氏に「音楽情報会社に100万円を支払うよう命じた」のである。

 烏賀陽氏は33か月に及ぶ裁判で約1,000万円を損失した、という。弁護士費用と失った仕事を合わせた金額だ。田中氏同様、訴訟に多大な労力を費やした

 田中氏の事実上の勝訴について烏賀陽氏は「7年間でこれほど状況が変わるものか」と喜んだ。米国のSLAPP事情に詳しい烏賀陽氏によれば、カリフォルニア州にはSLAPPを禁じる法律があり、米国の80%の州ではSLAPPと断定された場合、弁護士費用は原告(SLAPPを起こした側)が負担しなければならない

 消費税やTPPに関する報道が象徴しているように、マスメディアは政・財・官におもねりがちだフリーランスが権力の監視役を果たそうにもSLAPPによる口封じがある

 「日本でもSLAPPを抑止する、SLAPP被害を防止する法律が必要」と烏賀陽氏は指摘する。日本で法整備を期待することは難しいが、田中氏や烏賀陽氏の裁判例が示すようにSLAPPは掛けた方が社会的なイメージを損ねる。

 とは言えSLAPPの前にフリー記者は無防備だ。彼らを守る枠組みはないものか。
================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする