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●阿部岳さん《望月衣塑子記者への攻撃が、新たな段階に入ったようだ。首相官邸だけでなく、他のメディアまで列に加わっている》

2020年04月06日 00時00分34秒 | Weblog

[※ 《望月衣塑子のジャーナリスト精神に迫る》…森達也監督『-新聞記者ドキュメント-』(https://i-shimbunkisha.jp/)↑]



阿部岳記者による、2月中旬の沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]望月記者に波状攻撃】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/535678)。

 《東京新聞の望月衣塑子記者への攻撃が、新たな段階に入ったようだ。首相官邸だけでなく、他のメディアまで列に加わっている…記者の唯一の「武器」である質問が危ない今、私は望月記者の側に立つし、全ての記者が違いを超えてそうしてほしいと願っている。(阿部岳)》。

   『●『記者会見ゲリラ戦記』読了
    「畠山理仁著。…《ようやくその第一歩、扉がわずかに開いた。
     記者クラブとフリー記者が対峙するなどナンセンス、なぜなら
     「本来、報道に携わる者が対峙すべきは権力者だからだ」。
     …記者会見のオープン化がなされた時、ようやく権力と報道の
     本当の戦いが始まる。…記者会見が真剣勝負の場になれば、
     政治家も記者も技量が磨かれる。ファインプレーも出るだろう。
     さあ、一刻も早く試合を始めよう。開かれた日本の民主主義のために》

   『●小林節氏…《職業としての権力監視機関として、報道が発達し、
              憲法の重要な柱のひとつとして確立され》た
    《新聞労連・南彰委員長…トランプ政権がCNN記者の記者証を
     取り上げた際、政権寄りのFOXも異議を唱えました
     新聞労連ではこのとき、ホワイトハウス記者協会と連帯する
     という声明を出し、〈ホワイトハウスでの出来事は、日本で働く
     私たちにとっても他人事ではありません〉と書いたんです。
     対岸の火事じゃない、いま官邸で起きていることも同じだ、と。
     NHKをはじめ、日本のメディアはトランプ政権のそうした問題を
     面白がって報じるけれど、そんな場合じゃないですよ、と。でも、
     そうした危機感も広がらず、ズルズルときてしまった。それが
     いまの現状であり、将来世代がまともに取材できる環境に変えて
     いくための最後のチャンスなんだと思っています》

   『●「紙面や番組ではっきりと「嘘つき」…
    「最悪の返答」と批判を浴びせ」る矜持もなく…民主主義の危機
    《対して米国のメディアはどうか。トランプ政権のホワイトハウス報道官
     だったショーン・スパイサー氏が政権に批判的なCNNや
     ニューヨーク・タイムズなどを会見から締め出した際には、AP通信や
     タイム誌はいっしょになって会見をボイコットホワイトハウス記者会も
     抗議声明を発表した。もちろん、スパイサー氏が菅官房長官と同様に
     まともに質問に答えず、批判的なメディアには強権的な姿勢を見せても、
     記者たちは食い下がって何度も質問を繰り返す。スパイサー氏が詭弁を
     振りかざした際には露骨にシラけた表情を向け、紙面や番組ではっきりと
     「嘘つき」「バカ」「大バカ」「最悪の返答」と批判を浴びせている。これこそが
     不誠実な政権担当者へのジャーナリズムの本来のあり方ではないのか》。

   『●三宅勝久さん《報道・言論の自由を標榜しながら
      じつのところ会見参加者を選別している…巧みな情報操作》
   『●《オーストラリア各紙は黒塗り紙面で「政府があなたから真実を
       遠ざけるとき、何を隠しているのか?」と読者に問い掛けた》
   『●新聞労連・南彰中央執行委員長による声明【オープンな
     首相記者会見を求める】…「質問をする機会はすべての取材者に…」

 《…攻撃が、新たな段階に入ったようだ。首相官邸だけでなく、他のメディアまで列に加わっている》。内閣記者会政治部記者は恥ずかしくないのかな?
 《官邸による「望月いじめ」を「黙殺」する形で「加担」》より、実際はもっともっとひどかった模様。Passiveに《「黙殺」する形で「加担」》どころか、ジャーナリズムの自死に積極的にactiveに《加担》。もう、そんな内閣記者会政治部記者達には《報道》を名乗らないでほしい。

   『●暴言連発「あなたに答える必要はありません」「ここは
      質問に答える場所ではない」「その発言だったら、指しません」
    「リテラの記事【「令和おじさん」の本当の顔が露わに! 菅官房長官が
     望月衣塑子記者への“質問妨害”を復活、国連報告でも問題に】…
     《5月29日の定例記者会見で、東京新聞・望月衣塑子記者の質問に対し、
     こう言い放ったからだ。「その発言だったら、指しません」 
     これまでも菅官房長官は会見の場で、望月記者の質問に
     「あなたに答える必要はありません
     「ここは質問に答える場所ではない」などと職責を放棄して暴言を
     吐いてきた》」

   『●『i -新聞記者ドキュメント-』…《「i」…一人ががんばれば
     みんなもがんばる――映画はそのことを教えてくれる》(木下昌明さん)
   『●阿部岳さん《菅氏の会見でも食い下がる記者…。問い続けることが、
         あらがうこと。…対話という血管が詰まれば、民主主義が死ぬ》
   『●《東京新聞の記者が質問をしようと挙手しても菅氏が
     指名しない》…なぜに《官邸報道室長が司会役を務めている》のか?
   『●あぁ、やっぱりねぇ…、イジメを見て見ぬふり。内閣記者会
      政治部記者達が作り出す〝居ないことにされてしまった記者〟
    「あ~ぁ、ちょっと酷すぎやしませんかね? 内閣記者会政治部記者達は、
     他社とはいへ、社会部記者を報道の同志とは思わないのかね? 
     イジメを見て見ぬふりとは、政治部記者を名乗るのはだな。」

   『●内閣記者会政治部記者の露骨な本音は? Passiveな《官邸による
             「望月いじめ」を「黙殺」する形で「加担」》かと思いきや…
    「最低の官房長官のバンキシャ殿は、質問を《6月とか国会が
     終わった後にやれば》?、だそうです。アホですか? さらに、
     《質問が下手すぎる。完全に喧嘩売っている。もう少しうまく
     やらないと引き出せない》…だそうですが、記者会見やぶら下がり、
     オフ懇、夜討ち・朝駆けで一体どんな素晴らしい《回答》を引き出した
     のでしょうかね?」

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/535678

[大弦小弦]望月記者に波状攻撃
2020年2月17日 08:00

 東京新聞の望月衣塑子(いそこ)記者への攻撃が、新たな段階に入ったようだ。首相官邸だけでなく、他のメディアまで列に加わっている

 ▼望月記者が菅義偉官房長官の記者会見に出始めて2年半。質問を畳みかける望月記者に対して官邸は質問数を制限し、質問中も「簡潔に」と口を挟んで妨害してきた。最近は菅氏による指名自体が減った

 ▼1月、望月記者は「不当な扱いだ」と菅氏に抗議した。すると毎日新聞と産経新聞の官邸記者クラブ所属記者が相次いで似た記事を書いた。望月記者のツイッター発信に誤認があると批判し、東京新聞に対応を迫り、質問制限の経緯には触れない

 ▼新聞労連が昨年、官邸クラブ所属記者に聞いた匿名のアンケートがある。クラブ所属でない望月記者について「突出しすぎ」などと流儀の違いに戸惑う声が多い

 ▼苦悩の告白もあった。「(菅)長官の夜回りでは最近、携帯電話やICレコーダーを事前に回収袋に入れて、(録音はしないと)忠誠を誓っている。非常に息苦しい」

 ▼力比べをしたら、記者より政府首脳の方が強いに決まっている。選別と分断を受け入れれば、こうやって屈服するほかない。だから束になってかかる記者の唯一の「武器」である質問が危ない今、私は望月記者の側に立つし、全ての記者が違いを超えてそうしてほしいと願っている。(阿部岳
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●醜悪な、《なぜ安倍首相に心酔する》ファナティックな女性記者(広報屋)や政治屋が…? 一方、〝忖度〟しない者には…

2019年08月22日 00時00分34秒 | Weblog

『「安倍晋三」大研究』望月衣塑子&特別取材班著)…《「なぜ安倍さんは〈噓〉をつくのか」という…疑問…》↑]



室井佑月さんによる、リテラの連載対談「アベを倒したい!」シリーズ、第14回。
【室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第14回ゲスト 望月衣塑子(前編)/室井佑月と東京新聞・望月衣塑子、闘う2人の女が語った安倍政権の圧力、ネトウヨの攻撃、忖度メディア】(https://lite-ra.com/2019/08/post-4889.html)。
【室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第14回ゲスト 望月衣塑子(後編)/室井佑月も恐怖 望月衣塑子記者が語った菅官房長官の裏の顔! 圧力を批判されても「俺はあいつが嫌いなんだ」】(https://lite-ra.com/2019/08/post-4890.html)。

 《今回のゲストは、安倍政権に飼いならされた新聞・テレビのなかで、孤軍奮闘を続ける東京新聞・望月衣塑子記者。…官邸から信じがたい圧力や嫌がらせが加えられ、ネトウヨたちも連日、口汚い言葉でバッシングを繰り広げている。…彼女の著書を原案とした映画『新聞記者』も公開され、異例の大ヒットに》。
 《菅官房長官の嫌がらせやメディア支配のやり口、オフレコ懇談会のシステム、マスコミのなかにもある男女差別の問題、そして忖度が生まれる構造の分析まで……。いまのメディアでジャーナリズムの責務を真っ当に果たそうとしている女性がどんな状況に置かれているのか…》。

 リテラの連載対談「アベを倒したい!」シリーズに、望月衣塑子さんが登場。

   『●「平成の治安維持法」で、室井佑月さんや
     斎藤貴男さん「なんて、最初から一般人扱いされないだろうしな」
   『●今が「辞任」させる秋であり…市民に「忖度」する
      政治家や政党はどちらか?、いま、理解するべき
    「連載対談記事の後編【室井佑月連載対談「アベを倒したい!」 
     第4回ゲスト 山本太郎(後編)/室井佑月が「太郎ちゃん、
     安倍さんを倒して」と陳情! 山本太郎が本気で語った安倍政治を
     乗り越える政策論とは?】」

   『●立憲主義も理解できず…「行政の長である総理大臣が
      具体的な改憲日程を口にするのは完全に憲法違反」
    「「裸の王様」の天敵・小池晃さんとの対談【室井佑月の連載対談
     「アベを倒したい!」第5回ゲスト 小池晃(前編)/安倍首相は
     どういうときにキレるのか? 室井佑月と共産党・小池晃が安倍の
     デタラメ国会答弁を徹底分析】」

   『●大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない
       《病的な嘘つき》アベ様…前川喜平氏の人間性と彼我の差

   『●大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない
      《病的な嘘つき》アベ様…全てのアベ様の「政」のデタラメさ
    《室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第7回ゲスト 前川喜平

   『●松尾貴史さん×室井佑月さん対談、「安倍首相は、
      嘘も権力の私物化も恥ずかしいとすら思っていない」
   『●室井佑月さん×金平茂紀さん対談: 《安倍政権の
     言論弾圧体質によって、どんどん悪化している報道の萎縮》①
   『●室井佑月さん×金平茂紀さん対談: 《安倍政権の
     言論弾圧体質によって、どんどん悪化している報道の萎縮》②

 アベ様の政で唯一〝上手く行っている〟メディアコントロールの下で…奮闘する数少ない記者。しかし、それにしても、アベ様や最低の官房長官らの《メディアコントロール》がさらに酷いことになっている。

   『●暴言連発「あなたに答える必要はありません」
     「ここは質問に答える場所ではない」「その発言だったら、指しません」
   『●現独裁政権批判な映画『新聞記者』…
     東京新聞【政権批判で? テレビ番組PRゼロ…「忖度」ニモマケズヒット!】

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https://lite-ra.com/2019/08/post-4889.html

室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第14回ゲスト 望月衣塑子(前編)
室井佑月と東京新聞・望月衣塑子、闘う2人の女が語った安倍政権の圧力、ネトウヨの攻撃、忖度メディア
2019.08.08 11:31

     (熱弁する望月衣塑子氏(左)と室井佑月氏(右)(編集部撮影))

 室井佑月連載対談「アベを倒したい!」、今回のゲストは、安倍政権に飼いならされた新聞・テレビのなかで、孤軍奮闘を続ける東京新聞・望月衣塑子記者。菅義偉官房長官の記者会見で厳しい質問を投げかけ続けることですっかり有名になった望月記者だが、官邸から信じがたい圧力や嫌がらせが加えられ、ネトウヨたちも連日、口汚い言葉でバッシングを繰り広げている。しかし一方で、その圧力に怯まない姿勢、権力のチェックを続ける記者魂に称賛と応援の声がどんどん大きくなり、6月には、彼女の著書を原案とした映画『新聞記者』も公開され、異例の大ヒットになっている。

 かたや、ワイドショーで空気を読まず政権批判を続けている室井佑月も『新聞記者』を観て大感動!「望月さんにエールを送りたい」と、今回の対談が実現した。

 権力と闘い続ける2人の女が、安倍政権からの圧力やネトウヨの攻撃、そしてメディアの実態を語り合い、意気投合した最強対談。まずは前編をお読みいただきたい。きっと勇気が湧いてくるはずだ。

(編集部)


●テレビも映画『新聞記者』プロモーション拒否の裏にある噂が

室井 初めまして! 早速だけど映画『新聞記者』観たよ! 森友・加計問題や、伊藤詩織さんの事件とか、安倍さんが政権を握ってからの数々の悪事がてんこ盛りになっていた。内閣情報調査室の内幕も描かれていて。すごい面白かった。

望月 ありがとうございます。公開から1カ月ほどですが、配給会社によると動員33万人で、興行通信社の週末観客動員ランキングも3週連続トップ10入りしたそうです。

室井 知り合いの映画関係者も言ってた。政権を批判した社会派作品がここまで健闘するのは異例だって。でも、テレビとかあんまり取り上げてくれなかったんでしょ。プロモーションを拒否されたってリテラでも書いてあった。公開直後には公式サイトがサーバー攻撃にあったり。やっぱり、真っ向から安倍政権批判をして、官邸から睨まれている望月さんの原作だから、テレビとか完全に腰が引けたんだろうね。

望月 今回の映画宣伝はテレビではすごく難しかったと宣伝部の人も言ってました。それに加えて、参院選前に私が選挙に出るという噂が出回って。

室井 あっ、やっぱり。私も聞いた。望月さんが選挙に出馬するんじゃないかって話。そんな噂を聞いたから最初に絶対確認しておこうと思ってたんだ。そういう話、あったの?

望月 あるわけないじゃないですか。でも、宣伝部は、テレビ局から「望月さんが選挙に出るかもしれないから、取り上げるのはちょっと……」と難色を示されたと聞きました。

室井 映画の宣伝で露出してないなって不思議に思ってたけど、そんな事情があったのか。でも、それって宣伝を断る口実でしょ。安倍政権を批判する作品だから忖度マスコミ、特にテレビは取り上げたくなかったんだね。ただ、出馬に関しては望月さんは知名度も高くて、菅さん(菅義偉官房長官)と闘う女っていうイメージだから、野党系から結構声がかかっても不思議じゃないとは思う。もし声がかかっても、いまの立場を変えずに記者としてガンガン記事を書いて、声をあげ続けて欲しい。私も誘われたことあるけど「私、不倫するのとかなんとも思ってないんで無理です」って言って断った。逆に「出馬なんてことより先生のガールフレンドのひとりにしてください」って(笑)。

望月 ……(爆笑)。


■安倍首相と会食を繰り返すマスコミ幹部の異常、菅官房長官とも

室井 でもさ、ちょっと有名になるとすぐに出馬の噂が出るのは心外だよね。私も仕事として表現者として、物を書くことを一生懸命やっているし、案外評価もされている。なのに、なぜ「議員になったらいいじゃん」とか言われなきゃいけないんだろうって。

望月 同感です。いまの立場から発信し、発言するそれが私たちの仕事ですからね。発信といえば室井さん、最近ツイッターをやり始めたんですよね。リアルタイムで安倍政権の批判もしていて、ツイート回数も多くてがんばっているなと思いながら見ています。でも私もそうですが、かなりネガティブな反応も多いでしょう

室井 すっごく多いです。最初はやり方から何から全然わからなくて「くだらないことを送ってこないで」っていちいち返事していたら、みんなに「ブロックとかミュートとかすればいいだけだ」って言われて。初心者なのでそんなことも知らなかった。それで炎上騒ぎもあって。あっ、望月さんは炎上の先輩だ!

望月 (笑)。私も一時期はあまりにひどいものはブロックしていたんですけど、そうするとまた炎上している感じになるから、いまはもう放置しています。

室井 でも、ツイッターにしても映画にしても、政治的なことがアウト、タブーになるなんて本当に恐ろしい世の中だよ。本当に怖い。そんななか、望月さん、そして東京新聞はうんとがんばってるよ。

望月 ありがとうございます。中日新聞が母体だから、社長と会長が名古屋市にいるというのにも助けられているかもしれません。安倍さんはあまり地方紙とは会食をしていないですからね。全国紙や大手マスコミは、軒並み安倍さんとの会食を繰り返していますが、こうしたトップ同士の関係は現場に必ず影響していると思います。東京新聞では、たしか長谷川幸洋さんがいた頃の2013年5月、彼が間に入って中日新聞の当時の社長が一度安倍首相と会食しているんです。でも、それ以降はしていないと思う。もし会食するような関係が続いていたら、現場としては、やりづらくなりますね

室井 そうだよね。首相とマスコミのトップがベタベタの付き合いなんて先進国では考えられないし、報道機関、ジャーナリストとしてのプライドがないんじゃないかと思っちゃう。トップがそうなら現場も萎縮する。もうマスコミはすっかり安倍さんにやられて、忖度、自粛のオンパレードだもの。

望月 今年6月に国連人権理事会でデービッド・ケイ特別報告者から日本の報道の自主性に対し危惧する報告書がまた出ました。そのなかには「日本政府当局者が彼らに批判的な質問をする記者に圧力を加えている」という文言もあって。

室井 それって望月さんのことだよね。デービットさんは2017年5月にも安倍政権による報道圧力とメディアの萎縮について是正を勧告していたけど、その後もメディア圧力は是正されないどころか、どんどんひどくなっているからね。

望月 政権幹部とマスコミ幹部との会食がこれほど繰り返されるという状況は異常です。それだけでなく「桜を見る会」には芸能人をどんどん呼んで、メディア幹部だけでなく情報番組司会者、コメンテーターなど影響力のある人たちにも手を伸ばしはじめています。安倍政権になってからメディアの取り込みが露骨になっています。ただ、こうした会食への批判が大きくなったことも影響してか、一部テレビ局のトップが安倍首相との会食は断っていると聞きました。でも、その代わり菅官房長官と会食をしているそうです(苦笑)。何を話しているのかと言えば、民放連(日本民間放送連盟)の人事の話とか。菅氏は他のメディア幹部と会ったときも、官僚の人事話をしていたと聞きます。“官僚や政治家、メディア含め、俺があらゆる人間の人事を握っている”ということを内外に示すことが、自分の権力の源泉になるという意識があるのでしょう。

室井 菅さんなら新聞の動静に出ないものね。


■ギャラクシー賞を受賞した『報ステ』元CPを報道から追放したテレビ朝日

室井 望月さんの菅さんとのやりとり見ていてもそうだし、望月さんの著書『新聞記者』(角川新書)を読んでも、映画を観てもそうだけど、望月さんって新聞記者であることへのプロ意識がすごく高いんだなと思いました。男の人って、“記者”としてではなく、会社の“役職”がつくことにこだわりがちだけど、望月さんはそうじゃない。私はジャーナリストでも新聞記者でもないから、そんなプロの記事を読んで「私はこの記事を読んでこう思った」ということを、賛否両論になってもいいから広げる。それが役目なのかなと思ってます。

望月 室井さん、新聞から雑誌から書籍まで、ものすごい量を読んでますものね。テレビでの発言や週刊誌コラムなどを拝読していますが、相当読み込んでやってるなって。

室井 私、オタクだから(笑)。

望月 熱量のすごさを感じます。特にテレビは権力批判もできなくなり、危ないと思っているけど、室井さんやジャーナリストの青木理さんが発言しているのを見ると、「でもまだ希望があるな」と思います。ただ、最近でもすごくひどい人事がテレビ朝日であった。それがジャーナリズムの要として『報道ステーション』のチーフ・プロデューサーなどをやっていた松原文枝前経済部長が、報道局から総合ビジネス局のイベント事業戦略担当部長に異動したことです。彼女は現役の記者のなかでも、ずっとブレずに仕事を続けて。それで安倍政権になってから嫌がらせが続いても「それでもやらなきゃいけない」と発信し続けてきた。昨年4月の財務省・福田淳一事務次官(当時)のテレビ朝日社員へのセクハラ問題のとき、告発した社員の上司でもありました。それを逆手に取られ、「飛ばされるのではないか」という空気がありましたが、当時は伊藤詩織さんの#MeTooの流れがあって、この問題を『報ステ』でも小川彩佳アナ(当時)が取り上げ、反響を呼んでいました。女性記者たちが集まってできた団体「メディアで働く女性ネットワーク」(WiMN)でも、「声をあげた人たちを守ろう」と掲げていたんです。そうしたまっとうな方だったからこそ、相当前から政権に目をつけられていた。しかもいま、テレ朝は早河洋会長の体制下で、安倍首相や菅さんの応援団を自認する、幻冬舎社長の見城徹さんが放送番組審議会の委員長に入っている。(松原さんが)番組を外れる可能性は高いんじゃないかと危惧していたのですが、現実になってしまって。

室井 彼女は古賀茂明さんが『報ステ』を降板させられたときも、最後までかばった人でもあるよね。

望月 そうです。予兆もありました。2016年6月、『報ステ』で松原さんが経済部長時代に手がけた特集「独ワイマール憲法の“教訓”」がギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞した。「ドイツの民主的なワイマール憲法下でなぜ独裁者ヒットラーが生まれたか」という日本の憲法改正の動きとの比較で深く考察されたものでした。そんな栄誉ある賞なのに、政権に批判的に取れる内容なのでテレ朝内では喜ぶどころか“なかったこと”のようだったと聞きます。しかも「贈賞式に出るな」「コメントするな」って松原さんに対して圧力もあったらしくて。異動との関連ははっきりしませんが、松原さんは、憲法改正の国民投票でのテレビのCM規制についての民放連の動きも問題視していました。これまで民放連は「CM規制をかけることも含めた議論をすべきだ」としていたのに、民放連会長や専務理事が日テレに変わった途端、「表現の自由がある」として、「CM規制をかけない」と一変させた。松原さんはそれに対し、過去の国会の議事録などを調べ上げて分析、民放連の会見でも追及していたと聞きます。誰も聞かないから聞きに行かなければという意識だったそうです。政治部デスクにことわって聞きに行っていたそうですが、これをテレ朝の幹部が、問題視していたと聞きました。


■権力の肩を持ち、望月記者の足を引っ張る記者クラブに、室井が激怒

室井 憲法改正をしたい安倍さんへの忖度と金儲けってやつか。テレ朝は小川アナを追い出したり、逆にネトウヨアナの小松靖を『ワイド!スクランブル』に起用したり。テレビも安倍さんへの忖度と、広告収入や視聴率が下がっていくなかで、どんどん変な方向へ行っている気がする。そんななかで、望月さんにして松原さんにしても、権力と対峙してる。官邸に立ち向かっている。誇りを持って仕事してるんだなってわかる。でも、いろいろ大変なんでしょ。菅さんにガンガン質問してる姿は私たちからしたら拍手喝采だけど、記者クラブで足を引っ張られてるって聞いてる。質問する望月さんの悪口言う記者までいるっていうじゃない。昨年も、辺野古の赤土について質問したら菅さんが逆上して、望月さんの質問を制限しようとしたんでしょ。しかも、そんなひどいことに対して、一部の記者が「望月さんが質問をすればするほどクラブの知る権利が阻害される」なんていうコメントを共同通信にしてさ。その上、菅さんの主張はフェイクだったじゃない。

望月 そうなんです。日本新聞労働組合連合(新聞労連)や日本ジャーナリスト会議から抗議声明も出て、東京新聞でも社説や特集記事を掲載し、官邸前でのデモなどもあったのですが、でも記者クラブに関しては室井さんの言う通りかもしれません。実際、ある大手紙記者が「なんだよあいつ、いつまで来させるんだよ」と私についてあからさまに批判していたとも聞きました。それと最近、新聞労連の新聞研究部が、ここ2年以内で官邸にいた記者を対象に官邸会見について匿名アンケートをとり、幹事業務を担う19社、33人が回答を寄せたようですが、そのなかに私の批判もあった(笑)。「パフォーマンス」「自己アピールだ」だとか「質問が長い」とか。同時に、なかには「内部で官邸と繫がっている社がある限り、記者クラブとして身動きが取れない。苦しい」というような生々しい声もありました。彼らはわかっているけど、ジレンマに陥っている。

室井 どこかの独裁国家のメディアとほとんど変わんないね。現場の人から実態を聞くと、どんどん怖くなってくる。

後編に続く

……
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https://lite-ra.com/2019/08/post-4890.html

室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第14回ゲスト 望月衣塑子(後編)
室井佑月も恐怖 望月衣塑子記者が語った菅官房長官の裏の顔! 圧力を批判されても「俺はあいつが嫌いなんだ」
2019.08.09 11:42

     (2人が語る”民主主義を守る覚悟”とは(左・望月氏 右・室井氏 撮影・編集部))

 室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」、今回のゲストは、菅義偉官房長官の会見で孤軍奮闘を続ける東京新聞・望月衣塑子記者。前編では、そのも望月記者から、メディアや記者クラブの予想以上の政権忖度の実態を聞いて、激怒した室井だったが、後半はさらに踏み込み、話はどんどん具体的になっていく。

 菅官房長官の嫌がらせやメディア支配のやり口、オフレコ懇談会のシステム、マスコミのなかにもある男女差別の問題、そして忖度が生まれる構造の分析まで……。いまのメディアでジャーナリズムの責務を真っ当に果たそうとしている女性がどんな状況に置かれているのか、最後まで読んで、その現実をぜひリアルに知ってほしい。(編集部)


前編はこちら

●望月衣塑子が菅官房長官の会見に出て、質問を続けている理由

室井
 望月さんの話を聞いてると、つくづく恐ろしくなるけど、でもそんな状況なのに記者クラブの人って、質問をしないでパソコンに向かってひたすらカタカタやっているんでしょ。質問しないのって記者としての誇り、能力がないじゃない。記者は質問して、納得できるまで食い下がるのが仕事でしょ。質問しないで菅さんの話を垂れ流すだけだったら子どもにでもできる。しかも同業なわけじゃん? 誇りがあるなら味方しろ! 記者クラブって本来、国民の知る権利を代弁する制度だし、もし同業他社でも権力から知る権利を奪われそうになったら、タッグ組んで「妨害はやめろ」「きちんと質問に答えろ」ってやるのが役目なんじゃないの? でも、日本はそうじゃない。逆にバッシングをするって本当におかしい。しかも、権力の批判や監視をするのが新聞やジャーナリズムの役割なんだから、権力者とお友だちになってどうする! 緊張関係が必要なのに、そうじゃない。いまの記者クラブはスクープがあったとき、1社に抜かれるのが怖いからというだけのために存在してるのかと思っちゃう。それに菅さんって、記者やテレビコメンテーター、芸能人なんかと、けっこう頻繁にご飯食べてるらしいし、人たらしなんでしょ。そんな菅さんに記者はひれ伏している。安倍政権がこんな長く続いているのも、逆に言えばそのキーパーソンは菅さんってことじゃないかと思うんです。

望月 そうですね。政権存続のため、裏で彼がメディアや官僚、政治家、企業の人たちと何をやっているのかを見ることは大切なことだと思います。一連の公文書改ざん問題や森友加計問題の発言のひとつひとつを見ていると、その背後に必ず菅さんの存在がある。今回の私に対する質問妨害もそう。最初は、内閣府の長谷川榮一氏(総理補佐官兼内閣広報官)から抗議文が来たけど、もちろん菅さんなんですよね。しかも、妨害行為が国会で問題視されて、周囲から「さすがにやめたほうがいい」と言っても、菅さんは「俺はあいつが嫌いなんだ!」って全然聞く耳を持たなかったと聞いています。そういう意味で、良くも悪くも裸の王様というか、自分の思ったことは何がなんでもやる。そうした菅さんら官邸の姿勢が公文書改ざんの問題の根底にある。その危うさを感じるからこそ、会見に出て質問しているのですが。

室井 さすが“影の総理大臣”と言われるだけある。でも、裏を返せば、そんな権力の中枢に望月さんは恐れられているってことでしょ。

望月 まあ、目障りなんでしょう(笑)。それまで菅さんは突っ込んだ質問をさせない土壌をつくり、記者もそれなりに従っているふうを装ってきた。そこに私が来て。


■菅官房長官がオフ懇の前に行う“儀式”を聞いて室井が「ひゃぁー怖っ」

望月 菅さんの会見では事前通告が現在、慣例化しているとも聞きます。匿名のアンケートにも「事前通告せずに質問したら官邸側から怒られた」とありました。菅さん側から「事前に質問は全部投げてほしい」と言われると、現在のパワーバランスのなかでは、記者もそれに従わざるを得ないのでしょう。先進国や外国人特派員協会のなかではあり得ない状況です。さらに会見が終わると、裏で番記者とオフレコ懇をやります。

室井 公の会見では記者は質問しない、菅さんは言いたいことだけ言う。なのにその裏でオフ懇をするってどういう了見なの。望月さんが菅会見に出るようになってから、オフ懇を拒否するようなこともあったんでしょ? やっても望月さんの悪口を吹き込むって聞いたことある。他の記者に望月さんを批判して、“おまえらどうにかしろ!”って。なんて姑息なんだ。自分たちに都合の悪い質問をする望月さんを排除するって。でも、それが安倍政権の本質でもあると思う。

望月 政府見解が必要なところは、それなりに毎回、記者は聞いています。でも、官邸がクラブに貼り出した私についての抗議文について質問した記者にある官邸の記者が、こう言ったそうです。「これは、国民の知る権利を守るのか、それとも我々記者クラブの知る権利を守るのか、この闘いだ。バランスもっと考えてね」って。

室井 それって菅さんからの“伝言警告”ってことでしょ。番記者はジャーナリストじゃなくて伝書鳩だったのか!

望月 オフ懇に関しては、新聞労連の新聞研究部がここ2年以内で官邸にいた記者を対象におこなった匿名アンケートでこんな指摘もありました。菅さんへのオフ懇や夜回りに来る記者が携帯電話やICレコーダーを事前に回収袋に入れると。これはオフ懇の内容が週刊誌で報じられたことがあって、菅さんが激怒したため、その予防策として、つまり記者が菅さんに忠誠を誓う“儀式”として行われていたということのようです。その後、雑誌やネットでこの事が公にされてから、その儀式は止めたようですが。

室井 ひゃぁー怖っ。菅さんも怖いけど、それに忠誠を誓う記者も恐ろしい。

望月 会見では質問以外にもいろいろなことがわかるんです。たとえば私の質問中、菅さんがある記者によく目配せしてるんです。その記者は野党時代から菅番をやっていて、安心できるから彼に毎度、相槌を求めているのでしょう。菅さんの会見での精神安定剤なんだなと。彼がいないと気持ちが安心できないのか、目が泳いでいるように見えます。そんな一面も垣間見れる。テレビ朝日の松原(文枝・前経済部長)さんに関しても(編集部註:詳しくは前編参照)『報ステ』で安倍政権批判をしていた時代、菅さんは「あいつ(松原さん)と食事できないかな」って周りに聞いていたらしい。でも、彼女の性格を知っている周りから、「食事しても変わらないですよ」と言われて止めたとか。そうやってまめな会食を重ね、常に現場の記者やメディア幹部を取り込んで来たのでしょう。親しくなり、自分を好いてくれれば、今後の報道も含めて、将来、心強いですからね。


■望月衣塑子や室井佑月に向けられる批判の裏に「女のくせに」という差別

室井 でも、話を聞いていて思ったのが、菅さんや同業の記者が望月さんを批判するのは、女性だからという面もあるんじゃない? やっぱ男社会だし、出る杭は打たれる国だから、女性で目立つと嫉妬やバッシングが起きやすいと思う。Twitterで、私や望月さんを攻撃している人がいっぱいいて、ちょっと興味があるから調べたら、他にもすごく女の人を狙って罵詈雑言を繰り返している人だったりする。「ババアが」とかね。仕事をしていると、「女が意見を言うな」って感じの悪口もすごく多いし、そういうのってすごく感じる。女性差別もあるんじゃないかって主張すると、今度は「おまえ、自分が女だと思ってたのか」なんてことまで言われたことも。望月さんを叩いている人たちって、「女のくせに」って意識があるのは否めなくない?

望月 そうですね。それは私だけではなく政治家にも当てはまるかもしれません。稲田朋美さん、辻元清美さん、そして蓮舫さんなんかもそうだけど、与野党や政治的信念に関係なく、女性の政治家へのバッシングは男性の政治家のそれとは明らかに違う。セクシュアリティへの言及、ツッコミをしますよね。マスコミでもやはり男尊女卑の風潮も感じます。女性記者は、政治家の会見に出ている記者がそもそも少ないし、あまり積極的に質問しているように見えない。とくに#MeToo、#WeToo運動があったとき、女性記者がもっともっと政府や麻生太郎財務大臣に突っ込んで聞いてもいいと思いました。がんばって聞いている女性記者もいましたが、全体としておとなしく見えました。アメリカだったら、麻生大臣は総攻撃にあうし、「はめられたんじゃないのか」と同じ発言をしていたら辞任に追い込まれていたのではとも思います。

室井 たとえば片山さつきさんを批判するとき、主張について意見を言うのは当然だけど、そこに「ブサイクが」とか「変な髪型しやがって」とかって言うのはおかしいよね。でも悲しいかな、権力を持っている男にひれ伏し出世しようとする女性がいることも確かなんだけどね。「恥知らず!」なんて恐ろしい言葉で安倍さんを擁護する三原じゅん子さんとか、大臣就任の挨拶で「私はみなさんの妹」ですと自己紹介しちゃう丸川珠代さんとかもいる。難しいね。女性は団結しないといけないと思うんだけど。


■三原じゅん子、NHK岩田明子はなぜ安倍首相に心酔するのか

室井 三原さんはすっかり安倍さんに洗脳されているけど、昔からずるい人じゃないのよ。タレントのときから。だってハッピハッピー(元アニマル梯団のコアラ)と離婚したとき、番組で一緒になって。わたしが「こんな男いいじゃん、いらないじゃん」って言ったら、すぐに泣いちゃって。だからいますごく信じているのが安倍さんってことなんじゃないかな。純粋だから。でもそれが一番怖いと思っちゃう。信じ込んじゃうことが。

望月 三原さんは、かつては石破茂議員支持だったと聞きますが、彼女も菅さんとの会食後、安倍さんに寝返ったとか。「菅氏に副大臣とか政務官のポストをぶら下げられたのではないか」と聞きました。NHKの岩田明子記者は、安倍さんに心底心酔しているとも聞きます。そうでもないと、あそこまであからさまに安倍さんを持ち上げられないかなとは思いますが。

室井 安倍さんがイランを訪問したときも、安倍さんの成果を盛んに強調していたけど、なんだかクラクラしたけど、最近は逆の意味で岩田解説が楽しみになって(笑)。でも岩田さんって、安倍さんと近しい関係ということでNHK内ですごい力を持っちゃって。こういうやり方見てると、やはり女性同士ってだけで団結って難しいのかなって思っちゃう。


■室井佑月が望月衣塑子の民主主義を守る覚悟に感動、共闘を宣言!

室井 もっと女同士が味方すればいいのに、なかなかそうはならない。新聞社とかテレビ局って大企業でもあるけど、男女差別はあるし、女性はそれを絶対、感じてたりするのに。そんななかで望月さんが問題意識を持ち続けられるのはなぜ? 原動力ってどんなこと?

望月 たとえば社会部の私が菅さんの会見に出ても、政治部から文句を言われることはないです。彼らには、菅さんの秘書官や他社の記者からはいろいろ言われて、迷惑をかけているはずなのに、本当に有り難いなと思っています。それに、会社にFAXや電話の投書で応援メッセージが来るんです。いまの政権はおかしいと思っている人たち、安倍さんのやり方に怒ったり疑問に思っている人がたくさんいる。そういう声を知れば、記者として疑問に思ったことを会見に出て質問するしかない。国民の知る権利に応えなくちゃならないと思うんです。そして社としてもバックアップしてくれる土壌がある。アベノミクスも公文書改ざんも、沖縄の問題も、いまの日本はおかしなことばかりです。そんななか、私たちメディアが声をあげ、報道ができなくなったら、情報がシャットアウトされて伝わらなくなる。そうなったときに何が起こるのか。民主主義は明らかに後退していく。そんな危機感があります。そして、東京新聞の読者の方々もその問題意識を共有してくれている。だから続けられるのかな。

室井 でも、本当は望月さんの言っていることって、そういう記者の当然の問題意識を安倍政権によって崩壊させられた。その罪は重いと思う。

望月 官邸クラブにいる記者はじめ、他のさまざまな現場にいる記者でも苦しんでいる人は多いと思います。そのなかでもそれぞれが、皆できる範囲のなかでがんばっている。権力に向かってものを言おうと、立ち上がろうとしてる人たちもいる。そんな同じ思いでやっている人がいて、読者が支えてくれる。それが原動力かな。

室井 立派だと思う。これからも応援する。すぐにバッシングされる同士、女性同士、今後も仲良く闘おうね!

(了)

前編はこちら

プロフィール
望月衣塑子 1975年生まれ、中日新聞入社後、東京本社に配属され千葉、埼玉など各県警担当、東京地検特捜部担当を歴任。2017年に森友学園、加計学園の取材チームに参加し、菅官房長官会見に出席、また前川喜平文部科学省前事務次官や女性ジャーナリスト伊藤詩織へのインタビューなどを手がける。『武器輸出と日本企業』『新聞記者』『権力と新聞の大問題』など著者多数。

室井佑月 作家、1970年生まれ。レースクイーン、銀座クラブホステスなどを経て1997年作家デビュー、その後テレビコメンテーターとしても活躍。「週刊朝日」「日刊ケンダイ」「女性自身」など連載コラムも多数持つ。また『ひるおび!』『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS)、『大竹まこと ゴールデンラジオ』(文化放送 金曜日)などに出演中。
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●南彰記者『報道事変』…《皆さんと一緒に考え、新しい時代のメディア、ジャーナリズムをつくっていきたい》

2019年07月12日 00時00分38秒 | Weblog

[●『新聞記者』(望月衣塑子著)…《ひとつずつ真実を認めさせて、さらに裏を取っていくこと―――》↑]



AERA dot.南彰記者の記事【東京新聞・望月記者を恐れる官邸 いま政治取材の現場で起きている「異常事態」とは】(https://dot.asahi.com/dot/2019070100074.html)。

 《松坂桃李シム・ウンギョンの主演で、官邸権力とメディアの攻防を通じ、「この国に新聞記者は必要なのかを問いかけている官邸による東京新聞・望月衣塑子記者の質問制限に異議を唱え、6月に新著『報道事変』(朝日新書)を出版した新聞労連委員長の南彰氏が、執筆の思いと危機にたつ政治報道の現実の一端を紹介》。

 最低の官房長官が、相も変わらず、望月衣塑子記者に暴言連発。あなたに答える必要はありません」「ここは質問に答える場所ではない」「その発言だったら、指しません」…。…周りの記者は何やってんだ? 何とも思わないのかね? 内心、最低の官房長官殿に喝采を叫んでいるのか? 《国連のデービッド・ケイ特別報告者》は《権力の監視者としての役割を果たすためには、報道機関は自らの取材や報道を自由に追求する必要がある》…こんな当たり前を指摘されるニッポンの《報道機関》って、一体? 
 数少ないながらも、幾人かの記者の皆さんが望月さんのサイドに立つ。そんなお一人が、南彰記者。《政治報道の現実の一端を紹介》して下さっている。新著『報道事変』(朝日新書)を早々購入した。読むのが楽しみ。

 映画『新聞記者』は《内閣情報調査室の暗躍》を描いたもの。前川喜平さんに関連して、内調は記者らに向けて、《ひとつは…マスコミへの警告、もうひとつは…当人への警告》と恫喝。恐ろしい社会に。

 2019年7月参院選。こんなサディスティックな独裁政権の下、委縮した社会のままでいいのですか? 「2/4」の眠り猫な皆さんの半分とは言いません(投票率25%アップ)が、1/4の方(投票率12.5%アップ)でもいいので、今度こそ、投票所へ足を運びませんか。もちろん投票先は野党へ…与党自公・癒着党お維なんて以ての外です。
 《結果的にメディアが官邸を守る役割を担っているのが現状》…アベ様の政で唯一〝上手く行っている〟メディアコントロール…それが諸悪の根源かも知れない。何か一つでも、市民のための「政」があっただろうか? 映画『新聞記者』…《官邸支配とメディアの萎縮》、《安倍政治の象徴》《内閣情報調査室の暗躍》を描きつつ、《現在進行形の政治事件をモデルにした作品の上映は異例だ。官邸が巧妙に仕掛ける同調圧力によって社会全体が萎縮》…そんな社会がこれからも続くと思うと、耐えられません。有権者の《責任》を果たしてほしい。

 映画『新聞記者』Motive Forceとならないものか? 来る2019年7月参院選で、「2/4」の眠り猫な皆さんを投票所へ〝駆動〟させる力に。

   『●『新聞記者』(望月衣塑子著)読了…《ひとつずつ真実を
              認めさせて、さらに裏を取っていくこと―――》
   『●《改ざんを命じられたときも相当抵抗…。
      やっているのは犯罪。自分の信念や理に反して悔しかっただろう》
   『●アベ様の政で唯一〝上手く行っている〟メディアコントロール…
                 「一人でも権力に立ち向かう」とはいうものの…
   『●【<金口木舌>権力はうそをつく】《イラク戦争…
       大量破壊兵器の保有は後に捏造だと明らかになった》
   『●《安倍派のライバル候補に対する選挙妨害を
       反社会勢力にも通じる人物に頼》む…なぜに報じられないの?
   『●《テンチョンニュース》で決して報じない
     《安倍さんが直接関わった疑惑。民主主義の根幹を壊す犯罪行為》
   『●暴言連発「あなたに答える必要はありません」
      「ここは質問に答える場所ではない」「その発言だったら、指しません」
   『●『官邸ポリス』と監視社会・警察国家と前川喜平さん…
        映画『新聞記者』と現独裁政権批判と望月衣塑子さん

   『●木下昌明さん《あの黒く目隠しされた羊…
     実は何も知らないで日々を送っているわたしたちのことではないのか?》
   『●映画『新聞記者』…《内閣情報調査室の暗躍》
       《ひとつは…マスコミへの警告、もうひとつは…当人への警告》
   『●映画『新聞記者』…《現在進行形の政治事件をモデル…。
        官邸が巧妙に仕掛ける同調圧力によって社会全体が萎縮》

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https://dot.asahi.com/dot/2019070100074.html

東京新聞・望月記者を恐れる官邸 いま政治取材の現場で起きている「異常事態」とは
南彰
2019.7.3 08:00 dot. #朝日新聞出版の本 #読書

     (菅義偉官房長官の記者会見で挙手をする
      東京新聞・望月衣塑子記者(左) (c)朝日新聞社)
    (『報道事変 なぜこの国では自由に質問できなくなったか』 (朝日新書)
      南彰  ISBN: 4022950250)

 現代日本で進行中の政治やメディアを取り巻く状況をサスペンス・エンタテインメントとして映像化した映画「新聞記者」の公開が全国約150館で始まった。松坂桃李シム・ウンギョンの主演で、官邸権力とメディアの攻防を通じ、「この国に新聞記者は必要なのかを問いかけている。官邸による東京新聞・望月衣塑子記者の質問制限に異議を唱え、6月に新著『報道事変』(朝日新書)を出版した新聞労連委員長の南彰氏が、執筆の思いと危機にたつ政治報道の現実の一端を紹介する。

*  *  *

 いま、新聞をはじめとする既存メディアには力がない。

 朝日新聞が掘り起こした森友学園問題公文書改ざんも、かつてなら政権運営の継続を困難にさせる話だっただろう。それにもかかわらず、首相は自民党総裁選で3選を果たし、担当の財務大臣すら責任を問われることなく続投している。スクープを連発した朝日新聞の取材班がまとめた森友・加計学園問題の本よりも、首相と親しい評論家が出版した『徹底検証「森友・加計事件」――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』の方が売れているような状況だ。既存メディアの力を見透かした権力はどんどんつけあがってきている

 それにもかかわらず既存メディアの人間は強がって、自分たちの周りで起きていることを率直に語らないから、国民・市民の共感も得られない。そうした悪循環を断ち切り、メディアで働く仲間をもっと国民・市民に必要だと感じてもらえる存在へと変えていきたい。そんな思いで執筆したのが、新書『報道事変 なぜこの国では自由に質問できなくなったか』(朝日新書)だ。

 自在に情報発信できる術を手にした権力側と、交渉力を失って選別・分断される既存メディアという構造的な変化を描きながら、権力側に都合のいいウソや強弁が横行し、真偽を見極めるための質問すらできない国に陥っている状況を突破する戦い方を探った。その考察の中心に据えたのは、菅義偉官房長官の記者会見において東京新聞社会部の望月衣塑子記者が2年近くにわたって受けている質問制限・妨害問題だ。

 時間の経緯のなかで忘れられがちだが、この問題の発端は、2017年5月17日に菅氏が記者会見でウソをついたことにある。

 安倍晋三首相の友人が理事長を務める加計学園の獣医学部新設をめぐり、文部科学省内に「総理のご意向」と書かれた文書があることを朝日新聞が報じた際、菅官房長官は怪文書のようなものだと存在を否定した。メディアの信用力の低下に乗じ、誤報扱いにすれば、逃げ切れると考えたのであろう。その後、約1カ月にわたり、政府をあげて国会や記者会見で偽りの答弁を続けたのである。

 その空気を打ち破ったのが、望月記者だった。

   「キチンとお答えをいただいていないと思うから、何度も聞いている

 官邸の記者会見場に乗り込み、菅官房長官に計23問の質問をぶつけた。その様子が夜のテレビでも報じられるなか、政府は文書の再調査に追い込まれ、なきものにしようとした文書を開示することになった。

 ここで手痛い敗北を喫した官邸が、記者クラブの一部も巻き込んで逆襲してきたのが質問制限・妨害だ。産経新聞が望月記者の質問を問題視するネット用記事を量産した後、官邸は「公務があるので次で最後の質問」というアナウンスをすれば、不都合な記者の質問を打ち切ることができる新たなルールをつくったのである。事実上の「望月封じ」のルールだ。望月記者はめげずに通い続けたが、望月記者に「問題記者」「事実誤認」のレッテルを貼り質問を妨害する官邸の行為はエスカレートし、「表現の自由の促進」に関する特別報告者のデービッド・ケイ氏が今年6月に国連に提出した報告書でも問題視された。

 望月記者が自らその問題を菅官房長官に問いただした6月27日午後の記者会見は象徴的だった。

 望月記者 「言論と表現の自由に関連してお聞きします。国連のデービッド・ケイ特別報告者がきのう、国連人権理事会に日本に関する報告書を出しました。その中で、記者の批判的な質問に当局者が記者クラブを通じ、公然と反論していることについて、圧力と指摘しています。また、辺野古の抗議活動でも当局の圧力は続いていると批判しています。受けとめをお聞かせください」

 菅官房長官 「私は全くないと思っています

 司会の官邸報道室長はすかさず、「この後の日程ありますので、次の質問最後でお願いします」と打ち切りを予告した。記者会見の開始から2分20秒しか経っていないにもかかわらずだ

 望月記者 「『全くない』というお話ですけれども、新聞労連が実施したアンケート調査には、内閣記者会の記者の声として、『長官の夜回りでは携帯やICレコーダーを回収袋に入れ、忠誠を誓う萎縮、自粛が進み、非常に息苦しい』。また、『事前通告のない質問をして文句を言われた』などの意見が出ております。実際は圧力と受けとめられるような動きがあるのではないかと思うが、ご見解を」

 菅官房長官 「全く当たらないと思います。現にあなたは全く何も(通告)なしで質問されているんじゃないですか。それが全てだと思いますよ」

 日本の「報道の自由」の危機を指摘する質問に対し、公然と質問制限を行った末、菅官房長官は満足そうな笑みを官邸クラブの番記者に投げかけて会見場を立ち去った。日本のメディアは政府当局者の圧力にさらされ、独立性に懸念が残るという、デービッド・ケイ氏の指摘をあざやかに証明するような記者会見になった。

 このような可視化が、一強化する権力に対抗するこれからのメディアの力である。記者会見やSNSでの発信、講演などを通じた市民との対話・連帯という新しい戦い方のモデルを提示しているから、官邸は望月記者を恐れ、「問題記者」といって排除しようと躍起になっているのである。

 望月記者をめぐって起きた問題は、現在の政治取材の問題と結びついている。だから、政治部の相当数は、自分たちのことが責められていると思い、触れたがらない。新書『報道事変』の出版を苦々しく思っている政治部幹部もいるだろう。でも、現実に目を背けていたら、真の改革は始まらない。あとから振り返ったときに、取り返しのつかない「事変」とならないように。新書を通じて、皆さんと一緒に考え、新しい時代のメディア、ジャーナリズムをつくっていきたいと考えている。(新聞労連委員長・南彰
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