Cool Japan Academy&ACE KIDS ACADEMY

主として、学習塾「岡村ゼミナール㈱」・日本語教師養成講座「CJA」に関することについて、気ままに書いています。

少子高齢化対策で「人種のるつぼ化」が進む地方の顕著な現実

2018年03月02日 | お知らせ
各位

いつもお世話になっております。

さて、日本も少子高齢化による人口減少を補うために、次第に、とりわけ地方から、「人種のるつぼ」へと変化しつつあります。

この情況が、当塾でも日本語学校を設立運営する準備を促進させる原動力となっています。

今後共、皆様のご理解とご支援を何卒宜しくお願い致します。

平成30年3月2日 金曜日                                                    岡村ゼミナール・営業本部長:岡村寛三郎


「人種のるつぼ」地方から 隣はみんな外国人

(ポスト平成の未来学)2018/3/1 6:30日本経済新聞 電子版

 平成が始まった1989年、日本に住む外国人は98万人。2017年6月末には247万へ2.5倍に増えた。

平成は日本人の人口が減少へ転換すると同時に、150万人もの外国人が比較的短い期間に流入した日本の歴史上、類を見ない時代だった。

親が外国人の児童は全体の45%に上る津市立敬和小学校。校舎入り口には各国語のあいさつが張り出されている=井上昭義撮影

 2月22日、僕(記者・38)は全校生徒250人の半数近くが外国人の親を持つという三重県の津市立敬和小学校を訪ねた。生徒数は一時、ピークの7分の1に減ったが、海外にルーツを持つ児童の流入で持ち直した。

 家庭で話す言語はフィリピンやブラジル、ペルー、タイ、インドネシアなど9カ国語に及ぶという。この地域では中京工業地帯で働く外国人が多く住むために、様々な国をルーツに持つ児童たちが小学校に集まってきた。

 6年1組の算数の授業をのぞくと日本人と外国人の生徒が混成チームを組み、星形の図形の先端の角度を求める設問について話し合う。

「線を引くと正五角形」「分度器使っちゃダメ?」。会話する日本語に違和感はない。

 同小は津市が広域で展開する日本語教室のほかに独自で日本語教育専門の教員2人を配置し、全く話せないで入学しても授業に追いつけるよう助けている。

6年生になるとほとんどの子どもが授業の日本語を理解できるようになるという。

 3年生でフィリピンから来日したサハヤン・ケビンくん(12)は「日本語が分かるようになって友達が増え、放課後にみんなでサッカーをするのが楽しい」と笑顔だ。

「動物園のカバの飼育員になりたい」と日本人の子どもと変わらぬ夢を語る。

 日本人との間に生まれた子も多く、見た目ではどの子が外国人なのか分からない。

見透かされたように「ナニジンに見える?」と子どもたちの質問攻めにあった。

答えあぐねていると円山愛さん(12)が「私はフィリピンと日本のハーフ、あの子は日本人」と教えてくれた。

「違いを感じる?」と聞くと「何にも」と屈託のない返事だった。

 この日、訪ねた6年生は日本語が流ちょうだったが、低学年だとこうはいかないらしい。

それを考えると、将来はタブレット端末を使い同時通訳の授業になっているか。

 いや、思い切って英語だけの授業になり、普通の地方の公立小学校がインターナショナルスクールになっているかもしれない。

その方が魅力が高まり地方に人口を呼び込めるのでは、などと考えながら帰路についた。

 「20歳と18歳の子どもたちと広々暮らせる家がほしい」。

2月の日曜日、ブラジルから来日して約20年を迎える、クレーン運転手のアフォンソ・サルソカルロスさん(43)は妻を連れて岐阜県可児市の住宅会社営業所を訪れた。

「ブラジルに帰っても賃金は月3万~4万円ほど。賃金も治安もいい日本にずっと暮らすつもり」とアフォンソさんは話す。

 この住宅会社、三承工業(岐阜市)が定住外国人向けに住宅を売り出したのは5年ほど前。県内の美濃加茂市にソニー子会社の工場があった関係で、南米出身の人たちが多いことに着目した。

店の玄関にはポルトガル語で「住宅でご相談があればどうぞ」。既に顧客の2割が外国人だ。

 同社と組み、用地探しをする不動産業の白木敏之さん(65)は「5年前には南米出身者が近くに住むのを嫌がる住民が多かった」と振り返る。

当初はごみ出しなどをめぐり、あつれきはあったが「丁寧に出し方を教えれば理解してくれた」。以前のような外国人の定住を拒む雰囲気はなくなったという。

 2月24日の土曜日。2年前にフィリピンから来日した常ゆかりさん(12)が宿題を持ち込んで勉強するのは、浜松市にあるフィリピン人のNPO団体だ。

もとはフィリピン人女性による仲間の生活や学習の支援を目的としていたが、徐々に日本人ボランティアが加わり日本語や子供に宿題を教え、生活相談にも乗る。

 「夫の駐在でドイツで暮らしていた時、自分も現地の人たちに助けてもらった」。

清水範子さん(58)は支援員として子供たちの宿題を手伝う。

常さんは「日本語は難しいし、学校の勉強についていくのは大変。でもここでは先生が丁寧に教えてくれて、友達もいる」と喜ぶ。

 隣に外国人がいること、人生のパートナーに選び家庭を築くことはもはや特別ではない。

その一方で、街頭やインターネットでは外国人に対するヘイトスピーチ(憎悪表現)が後を絶たない。

 目の前で進む外国人の流入は止められないし、少子化が進む現状では止めることによる社会の活力停滞の方が恐ろしい気がする。

 そうは思っていても、外国人が雇用される一方で、職を見つけられない日本人はどのような感情を抱くか。

外国人の上司、富裕層が目立つようになったとき、能力次第だからと素直に納得できるだろうか。

「心配しなくてもいいよ」。もやもやと気をもんでいると、友達と肩を抱き合う津市の小学生がそう話しかけてきたように感じた。

■充実した教育、居住地選びの誘因に

 政府は解決すべき最重要課題として人口の東京一極集中と地方の空洞化をかかげる。

ところが解決はほど遠いのが実情だ。

総務省の住民基本台帳人口移動報告によると2017年の1年間に進学や就職などで地方から東京圏へと流出した日本人は約12万人。

4年連続で10万人を超え、20年までにゼロをめざしてきた政府の地方創生は実現のめどが立たない。

 戦後、1950年に60万人だった外国人は平成の90年代以降、急速に増えた。

一方で日本人人口は2010年にピークを付け、その後は減少に向かっている。その中でも地方の人口減は深刻だ。

 日本人の少子高齢化に歯止めがかからない中、外国人が人口減を和らげた自治体もある。

三重県は17年、全国で初めて東京圏に奪われる日本人を外国人の増加で補った。

5907人の日本人が東京圏に転出したが、それを上回る外国人5999人が転入してきた。

岐阜県や滋賀県も失った日本人の7~8割を外国人で取り戻した。

 17年1月1日時点の外国人住民は全国で232万人と全人口の2%弱だが、市区町村別にみると31市区町村で5%以上に達している。

最も高いのが群馬県大泉町で17%。

東京都新宿区と北海道占冠村を合わせて3区町村が10%を超えている。

外国人住民が増えれば地元企業は人手不足を解消できるほか、財政悪化に悩む自治体も税収を確保できる。

 少子化が進む日本人には頼れないとばかり、外国人誘致に知恵を競う自治体もある。

過疎に悩む北海道東川町は15年、留学生が学ぶ町立の日本語学校を開いた。

自治体が運営するのは全国で初めての事例で、台湾などアジアから若者を招き、地域の活性化につなげるのが目的だ。

岡山県美作市はベトナム国立ダナン大学の分校誘致をめざしている。

 外国人が増える自治体にとって、公立学校での外国人向け教育の重要性が増している。

文部科学省によると、公立の小中高校で授業を理解するために日本語指導の必要な外国籍の生徒数は2016年度に初めて3万人を超えた。

 充実した子どもの教育は外国人の居住地選びで大きな誘因となっており、外国人転入の多い三重県は外国人生徒への手厚い教育で知られている。

同県国際交流財団が作成した教科書「みえこさんのにほんご」は授業によく出てくる日本語に特化したもので、評判なため全国の小中学校で使用されている。

 安倍晋三首相は2月、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた制度改正の方針を今夏までにまとめると表明した。

ただ、従来どおり移民政策はとらず、受け入れる外国人の在留期間に上限を設け、家族の帯同も認めない考えだ。

来日しようとする外国人に条件を付けられるほど、いつまで魅力的な国でいられるだろうか。
(桜井佑介)


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