goo blog サービス終了のお知らせ 

Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

空にみずうみ

2017-10-11 08:50:48 | 読書
佐伯 一麦,中央公論新社 (2015/9).
これまた装丁 (鈴木久美,装画 樋口たつの) に惹かれ,図書館で借りた.右上の蛇には「にょろQ」という名前がある.

Amazon の商品の説明*****

内容紹介
東日本大震災を描いた話題作『還れぬ家』から3年。仙台に住む作家の早瀬と妻の染色作家・柚子のその後を、現実と同時進行で綴る。

内容(「BOOK」データベースより)
「あの日」から四年、積み重なった歳月を、みつめていた。東北地方に住む作家の早瀬と染色家の柚子の、ある一年。*****

「私小説」というものらしい.
2014/6-2015/5 読売新聞に連載されたそうだ.連載1回ぶんずつぶつぶつ切れている.休み休み読んだら2週間もかかった.この小説を新聞に連載していること自体が小説の中で語られる.

東北南部が舞台だが,登場人物は標準語をしゃべる.主人公夫妻は年寄くさく,後期高齢者かなと思って読み進んだが,著者は1959 年生まれと意外に若く,主人公もその想定らしい.夫妻の仲が良すぎる.内容は身辺雑記.精神衛生にはよろしい.
読者はこうした設定をとうに承知しているという前提で書かれている.こちらは承知せずに読んだが,別に支障はなかった.

東日本大震災が暗示されるが,広島在住の身にはピンとこない.全国紙の読者に同じ感度を求めるのは不可能だろう.

☆☆☆☆

没後 25 年 いま,ピアソラを問う

2017-10-10 09:24:33 | 新音律
アンサンブル・アッカの定期公演への招待券をいただいた.このグループについては「芸術性とエンターテイメント性を兼ね備えた現代の音楽の紹介を主な活動としています」という CM?  以上には解っていない.

はじめに,徳永崇 久留智之 徳武正和の3氏によるトークセッション.徳永さんの進行でピアソラの生涯を 30 分でなぞった.
プログラムも徳永さんの進行で,最初のリベルタンゴ以外は,作曲順.ふたりから5人まで,いろいろな編成で演奏された.ただし最後の「現実への3分間」とアンコール「ブエノスアイレスの冬」は全員.

グループのメンバーはバイオリンひとり,ピアノ3,ギター1,打楽器1,ソプラノ1,管楽器5 (オーボエ,クラリネット,サックス,トランペット,ユーフォニウム) + 徳永さん.徳永さんと久留さんの編曲は,このメンバーのため であろう.徳武さんによれば「原曲より良い」そうだ.「バンドネオン不在ですが」ということばを再三聞いたが,そこにこだわる人がいるだろうか.

今回は途中で何度も赤ちゃんが泣いた.ジャズだったら,管楽器がここぞとばかり泣き真似したりするんだけれど,演奏家も聴衆も聞こえないふり.

ピアソラについてはほとんど知らないが,そのくせ学生さんのジャズバンドでリベルタンゴは演奏したことはある.また挑戦したい.Fuga 9 なんかおもしろいかも...  アッカの演奏では奏者がひとりひとり登場した.ピアノがかっこよかった.
しかし,下の Youtube 動画はアッカとは関係ありません.


今年の酒蔵ジャズ

2017-10-09 10:32:46 | ジャズ
古い蔵を改造した会場で,2日で大学ジャズ研が 40 分ずつ 8 回演奏した.
合間に漫才「にほんしゅ」のトークがあったが,宣伝不足.看板が出ていたジャズがおわると,大半の人が出ていってしまったりで,「にほんしゅ」さんにはお気の毒だった.内容は日本酒に関する豆知識集.

われわれ,隔週で遊んでいるグループ (キーボード,ウッドベース,エレキベース,フルート,ビブラフォン) も,ドラマーに加わってもらい,学生さんたちに紛れて演奏した.社会人・学生・年金生活者の混成グループである.セットリストは,

 St.Thomas
 September in the rain
 Recorda me
 Coming' home baby
 There will never be another you

最後の another you には華やかにトランペットも加わった.トップ右の写真は Ozk 氏撮影.

お寺の境内のジャズ研ピアノトリオを見たり.夜は夫婦で OB 君のアパートへご招待にあずかり,若い人たちと呑んだり食べたり喋ったりすることができた.

カリプソ

2017-10-08 08:29:19 | ジャズ
ロリンズの St. Thomas が好きだが,カリプソって何? と言われるとよくわからない.カットは
 由比邦子「ポピュラー・リズムのすべて」勁草書房 (1996)
によるカリプソのリズム.
でもどこか呑気で活発なメロディにも特徴があると思う.

他にジャズでよく演奏されるのはブルー・ミッチェルの Fungi Mama くらいで,みんな難しいことは考えずに曲想に合わせて自由に,悪く言えば適当に,やっているというところだろう.

この本によれば,もともとは社会や個人に対する批判・風刺を目的とした聴くための音楽だったらしい.ハリー・ベラフォンテの「バナナ・ボート」も一種の労働歌だそうだ.換骨奪胎された浜村美智子版は,アイドル・ソングのはしり? でも今のかわい子チャン歌手に比べるとずっとシャープだ.


風の歌を聴け

2017-10-07 09:15:33 | 読書
村上春樹 講談社文庫 (2004/9).単行本は 1979/7.

病院の待ち時間で読了できそうな本を,病院の売店で物色していて,帯の背中の「オリジナルカバー版」の文字にアピールされた.展覧会「佐々木マキ見本帖」の影響である.

Amazon の内容紹介 *****1970年の夏、海辺の街に帰省した<僕>は、友人の<鼠>とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。2人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、<僕>の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。群像新人賞受賞。*****

この本が出た頃は原子力ムラに勤めていた.重苦しい雰囲気の職場で,かなり年下の著者が,さらに昔を回顧するという,この小説の「軽さ」にやられたと思う.読んだ後には何も残らなかったらしく,再読も新鮮だった.
当時の著者に聞いたら,ノーベル賞って何? ということだろう.

今朝の朝日川柳の,岡山県・行本章允さんの一句.

 ハルキ棚一夜明ければカズオ棚

自分のブログを検索したら「クラシック小説集に非ず」と称してカズオ・イシグロの短編集「夜想曲集」について,2009/6 に書いていた.この小説のバックに流れるのは古き良き時代のジャズ・ポピュラーで,春樹文学と重なる部分がありそうだ.
しかしこの本が書棚に見つからない.

☆☆☆

ジャズによる ブラジル風バッハ No.5

2017-10-06 08:46:26 | ジャズ

この曲を初めて聴いたのは MJQ のアルバム The Sheriff でだった.ジャケ買いだったが,表題作以下 気の利いた小品集という感じ.MJQ のアランフェスとかバッハ同様,この作品もジャズとしての面白さはないものの,隙がなく楽しい演奏.オーネット・コールマンのロンリーウーマン MJQ 版も同じアプローチと思う.

ヴィラ・ロボスのブラジル風バッハ Bachianas Brasileiras は第9番まであるが,ジャズでよく聞くのは第5番第1楽章.アランフェスも第2楽章しか演奏されないのと似ている.
原曲はソプラノと8台のチェロのために書かれていて,意外なところでは,ジョン・バエズが歌った Youtube 動画もある.
個人的には,あまりバッハは感じない.パイプオルガンで聴いたらどうだろう.

動画のウェイン・ショーター版でも原曲に準って複数台のチェロが使われている.メンバーはWayne Shorter(sax), Charles Curtis, David Garrett, Barry Gold, Gloria Lum, Daniel Rothmuller, Brent Samuel, Cecilia Tsan(cello), John Patitucci(bass), Alex Acuña(percussion).アルバム Alegría(2003) から.パーカッションの効果が大きい.

いつか演奏してみたい曲


ひどい感じ

2017-10-05 08:32:58 | 読書

井上荒野「ひどい感じ――父・井上光晴」講談社 (2002/8).

古書で購入した本と図書館で借りた本に,気にいる本が多い.年金生活者になってから購入するの新本は文庫が多く,古書と図書館本はハードカバーがほとんどという事情も理由かも.ひとつにはハードカバーの方が,良さそうな本との波長が会いやすい.さらに,ハードカバーの方が「あぁ本を読んだ !」という満足感も得られるようだ.

この本は月曜日に訪れた 古本と珈琲「楢」で購入.2005年10月 に文庫化されているが,そちらには父娘の写真をあしらった単行本のブックデザインのあじわいはない.

Amazon で紹介された内容は*****「BOOK」データベースより
没後十数年たっても愛され続ける作家・井上光晴。その生涯は多くの謎に包まれていた。旅順生まれ、炭鉱での労働経験、それらはすべて嘘だった。何事もドラマチックに仕立てなければならない、「全身小説家」井上光晴の素顔とは? そして、ガン闘病の真実。小説家・井上荒野が父の魅力のすべてを書きあげる。*****

父の小説は何冊か読んだが,井上荒野の本は初体験.プロローグを除き書き下ろし.なぜか 目次がない.
娘から見た父の一生を縦に,父 (嘘つきみっちゃん) の嘘つきぶりや,非常識な一家の生活が鮮やかに描かれているが,本はどこまでが本当なんだろう.蛙の子は蛙というから...

☆☆☆★

また,加速器による癌治療

2017-10-04 09:00:57 | 科学
1日1回,15 回に分けて月曜日に終了.放射線照射の都度はんこをいただく.最後の日のシールが修了証.夏休みラジオ体操出席表同様,叱咤激励以外の意味はないらしい,

教科書には,全身被爆では 「4 グレイ (Gy) の被爆で半数が 60 日以内に死亡する」などと書いてあるが,このたびは 6MeV の X 線を 45Gy を照射した.グレイという単位が誤解をまねくのだ.放射線の癌治療とは,お線香で癌にお灸をすえるようなものである.

前回のターゲットは臓器だったが,こんどは骨だったせいか,ずっと楽だった.ブニュブニュした臓器にあてるのは技術的にも難しいらしい.
看護師さんは,背中が多少乾いているという,触ってみると確かにカサカサしている.パスには肺も食道もあるのだが,自覚できる放射線障害はその程度で済んだようだ.
癌に対する効果は...いつわかるんだろう.

前回 (昨年) は広島がん高精度放射線治療センター (HIPRAC) の加速器だったが,今回は広島大学病院の地下にある,Varian の trueBEAM という線形加速器.毎回 CT で患部を同定するのだが,それが動画では赤いビーム.治療は緑のビーム.患部でビームのパスが交わるように,加速器が生きているみたいに回転して,いろいろな方向から照射する.


個展と古本と珈琲

2017-10-03 08:31:06 | お絵かき

広島市横川の 古本と珈琲「楢」で,北原順子さんの「葉書サイズの仕事」展.ハガキサイズの作品多数.
土曜の晩には,弾き語りに合わせてのライブペインティングも試みられたそうで,そのときの作品も並べられていた.見慣れた北原さんの油彩は丁寧な具象画だが,一気に水彩で描いた抽象画が多く,「楢」の Facebook には制作の過程やこのときの作品がアップされている.ご本人にも新鮮な体験だったようだ.

「葉書サイズ...」展 9/30-10/2 はもう終わった.

T シャツをゲット.



「楢」は,ちょっと個人住宅みたいな入り口.趣味の良い古書がそろっている.
店の奥にカウンターとテーブル (椅子2脚) 小さな喫茶スペースで,コーヒーはプレスで抽出.

ビブラフォンのマレットを捲く

2017-10-02 08:40:07 | ジャズ


ビブラフォンにもっと柔らかい音が欲しい...というわけで,左のマレットの上から毛糸を巻き足した.結果が右で,すこし巻きすぎたかなとも思うが,ほどくのはもったいない.
もう1本捲いたが,巻き数を数えたにもかかわらず,2本は微妙に不揃い.



頭頂のつむじ.右は以前購入した大井貴司モデルで,解け防止に黒いハチマキがある.この度はハチマキ代わりに,頭頂から放射状に針で縫うという工法を採用した.https://youtu.be/nmwFg8cs8MM を参考にした.
まず針に毛糸を通すのに苦労した,毛糸の先がメドを通っても,ひっぱると後続の毛糸がほつれてメドをとおる手前で団子になってしまうのだ.打開策は,毛糸をセロテープで挟んで固め,ハサミで断面を針穴大に整形してから通すこと.

余談だが右のモデルは,恐れ多くもプロのヴァイブ・プレイヤー大井さんがご自身で巻いてくださったものだそうだ.

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg