Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

おせん - 東京朝日新聞夕刊連載版

2024-09-10 21:18:02 | 読書

邦枝完二,小村雪岱 画,真田幸治 編「おせん」幻戯書房 (2021/12).

1933 昭和8年,東京朝日新聞および大阪朝日新聞に59回にわたり連載された 邦枝完二 (1892─1956) による小説「おせん」の全挿画を文と共に掲載.有り体に言えば,咋今の小村雪岱 (1887─1940) 評価に便乗した,小村が主・邦枝が従の出版.ぼくも挿画目当てに購入.

画像中央がこの本の組み方の一例だが,この絵が右のように 2021 年に出版された本のカバーに使われている.
真田幸治の解説の言葉を借りれば,「雪岱調」の特徴は,省略されたシャープな線描,遠近法を無視したパース,大胆な余白,画面全体を引きしめる黒と白のコントラスト,一言で言えば静的ということになる.

邦枝・小村コンビはその後 1934-35 年に読売新聞に「お伝地獄」を連載する.ストーリーから察して,またネットに出ている画像などから,こちらの挿画にはダイナミックな場面が多そうだが,この「おせん」のような形での出版は無理 ?

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武藤徹先生のこと

2024-09-10 09:20:59 | エトセト等

武藤徹先生 1925-2024 が朝日新聞 9/10 地域総合ページ 惜別欄にご登場.7/7 老衰のため 99 歳でご逝去とのこと.もともとは 8/31 の記事だったようだ.

高校の授業で教わったことはなかったが,先生ご指導の数学サークルにちょっとお邪魔したことがあった.大学の数学の教科書の輪講 プラス 先生のお話という形式で,イヤではなかったが飽きて半年ほどでやめてしまった.

トップ右の 1956 年卒業アルバムからの画像は,同窓会・戸山高校新聞に連載された「先生列伝」復刻から.高校生による武藤先生の記事
「大学に9ヶ月ばかりアルバイトで女学校に行つてましたがね。えつ?いやあ私はそんなロマンチストぢやないですよ。よく若い先生の処には行李一杯手紙がくるなんていいますが、私なんか一通ももらつた覚えがないんですからね。推して知るべしですよ。私は唯物論者ですから、恋愛なんか一つの自然現象だと思つているんです」。
で始まる.

この高校新聞の記事にはペスタロッチ,フローベル,デューイなどの名が出てくる.しかし朝日新聞によれば,先生は高校では教科書は使わず,ガリ版の手書き教科書で独自の高度な学問体系に基づいていたという.「(大学に残って) 数学者になれば,定理の一つや二つは発見できるかもしれない.でも教師として1万人以上の生徒に接した方がいい」.

この高校では受験の神様と崇められた 佐藤忠先生も教鞭をとっておられた.
佐藤先生はさておき,生物の春田俊郎先生・倫理の中村義之先生の授業も,先生独自の体系があった.受験校とされてはいたが.教師にとっては,何を教えてもいい 良い学校だったかもしれない.現在はどうだろうか...

サークルでは武藤先生の助言で,武谷の物理学入門がテキストとされたこともあった.今 省みると,武藤先生の影響はそれなりに受けたと思う.

最近では「数学物理通信」で先生にお目にかかった.最後の論文は 10 巻6号 2020/9/3 の「モーリーの定理」であった.

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