Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

中島らも「今夜すべてのバーで」

2021-01-22 08:56:17 | 読書
講談社文庫 新装版(2020/12),旧・文庫は 1994/03,単行本は講談社 1991/3.

Amazon 引用の「BOOK」データベース*****
完全無欠のアル中患者として緊急入院するハメになった主人公の小島容。全身ボロボロの禁断症状の彼方にほの見える“健全な生活”。親友の妹さやかの往復パンチ的叱咤激励の闘病生活に次々に起こる珍妙な人間たちの珍事件…。面白くて、止まらない、そしてちょっとほろ苦い、話題沸騰、文壇騒然の長編小説。*****

解説・町田康が分析しているように4つの筋が織り合わさっている.
1) 主人公 (おれ) の入院記およびそれまでの経緯.
2) 車に引かれて死んだ悪友のはなし.
3) その悪友の妹のはなし.
4) 入院先の病院の患者たちと医師 ( + アル中に関する蘊蓄...町田の原文にはなく16トンが追加した).

読んでいる途中は,Wikipedia に見る著者の生きざま死にざまから,シュールな結末を予期したが,以外にもハッピーエンド.入院してから退院するまでで終わり.その後また入退院を繰り返したのかもしれないが,その気配はここにはない.主人公が健康を取り戻してフケが出たと言って喜び,病院を抜け出して酩酊して帰院したら,同室の少年が死んでいたというあたり,あまりに小説的でちょっと恥ずかしい.

読み応えがあるのは,なぜ酒がやめられないかという屁理屈群だった.
そのひとつに,アル中の要因はあり余る「時間」だ,というのがあった.コンピュータの導入,平均寿命の伸びなどが膨大な「空白の時間」を生む.「教養」のない人間には酒を飲むことくらいしかのこされていない.「教養」とは学歴のことではなく,「一人で時間をつぶせる技術」のことである....

ここまで引用して (コピーして) 痛感したのは,著者が「」を乱用することだ.

「Stay Home → 空白の時間 → 家飲み → アル中」への戒めとしての新装版だろうか.タイトルは意味不明.

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 3D ポケットねこ図 | トップ | かなの書 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事