「音律と音階の科学」の読者の方から,「弦楽合奏やアカペラでは3度や5度は臨機応変にゼロビートに奏 (唱) 者が調整している.同じことが電子楽器で出来ないのか?」という趣旨のご質問をメールでいただいた.Apple Logic Pro で出来ると以前聞いたことがあったので,ネットを漁った結果
www.hermode.com
にたどり着いた.
この調律では,3度・5度が出てきたらその都度 周波数比を最適化する.短7度を 7/4=1.75 (平均律では 1.781...) とすることもできる.ベースになる音律は,冒頭の動画ではキルンベルガーだが,もちろん平均律でもよい.
キーボードを弾いてから音が出たことを認識するまでに必要な計算をすることは可能であろうが,問題はどのように音高を決めるかだ.基本的には和音の重心がもともとの調律と一致するように構成音を上下させる.CEG という和音では,C には +4 セント,E には -10 セント,G には +6 セントの調整を加える.ただし履歴すなわちコード進行に応じて,平均値を上下させることもある.
弦楽合奏やアカペラで人間がやっていることを真似ているのだろうか?
発案者はドイツ人.冒頭の Youtube 動画もドイツ語だ.Apple Logic Pro だけでなく,Steinberg Cubase, Cakewalk z3ta+ などに製品化されている.上記ホームページには製品情報や理論とともに,演奏例も多数収録されている.
スタインウェイ音色の hermode も面白いが,やはりオルガンのように音が伸びる楽器の方が違いがわかる (ヒトの耳はオルガンには敏感なので,バロックオルガン用には特別なモードが設けられている).ビブラフォンも良さそう.ジャズにとっては 7/4 の短7度が魅力 ! 4 本マレットの電子ヴァイブでピアノレスのコンボ... 10 年前なら挑戦したかもしれない.
自分の周囲にはこれを使用しておられる方は見当たらない.どなたか体験をお聞かせいただけないだろうか.
電子楽器というだけで,クラシックの方からはそっぽを向かれるのかもしれない.
Hermode ならではという,魅力ある演奏が知れわたれば,普及するだろう.
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