Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

8冊目 : ブックカバーチャレンジへの追加

2020-05-21 09:25:54 | 読書

二見書房 (1971).

怒涛の7冊一挙公開と慌てたために,この本を忘れていた.

かってブログに書いたことだけれど, 初出は『霧の山稜』特製本(951部) 昭和16年9月10日 朋文堂発行 定価5円 A5判変型 五号活字 29字x15行 310頁 角背紙装上製本 貼函 自装 扉絵:石井鶴三 とのこと.この二見書房版は著者の お姉さんの希望で,口絵が著者自身の版画に変わった以外は,1 の特製本に極力近い形にされていると言う.朋文堂は16とんの学生時代にはまだ,「山渓」と並ぶ山岳書出版社だったが,いつの間にかなくなってしまった.

こうした重厚な本は今造れるだろうか?  著者はお金持ちのお坊ちゃんだったかもしれない (そうでなかったかもしれない) が,自分の山体験を絵と文にし,それをどんな本にするかとをイメージする力は,ネットに明け暮れる現代の若者に望めないだろう.それに応じた活字の並べ方から始まる行き届いたブックデザインには,戦前の出版文化の底力が感じられる.そればかりか,現代の本が忘れている大らかさがある.

内容は山の画文 + アルファで,ピークハント登山とは一線を画しているところは,辻まことの一連本の先祖みたいなもの.

この本の出版3ヶ月後には太平洋戦争が始まり,著者も徴兵され南方で戦死してしまった...

かろうじて戦時体制を思わせるのは「コーヒー匂い入り芋大豆コーヒー」かな.そう言えば,タンポポの根を煎じるとコーヒーらしくなると聞いて試したことがあるが,受け付けられなかった.このとき年長者曰く「西洋タンポポだからダメなんだ」 ???

 

函はヤッケ,裏側はだるまストーブ.表紙はアザラシのシール.このシールには思わず,触ってみたくなる.わが学生時代にもこうした山道具をまだ使っていた.竹のストックも懐かしい.

 


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