goo blog サービス終了のお知らせ 

Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ガラス絵に魅せられて

2020-08-30 08:25:11 | 読書
児玉房子「ガラス絵に魅せられて - 42歳・女の旅立ち」新日本出版社 (1993/8).
古書店で百円で購入.奥付には記載がなくカバーに2300円とあるが,いつの定価だろうか.

AMAZON 引用の「BOOK」データベースより*****
「絵かきになりたい」「自分の思うように生きてみたい」。自立への思いたちがたく単身家を出た42歳の再出発。激変に揺れるルーマニア、情熱のスペイン―。ガラス絵の源流をたずねたひとり旅。人生の節目、節目に選びとり、押し進んできたひたむきな生き方と様々な出会いを絵と文でつづる。
*****

著者は16とんと同年齢だが,2017年にご逝去.晩年は宮沢賢治の作品をテーマにしておられたようだ.

新日本出版社は日共系.著者のデビューは赤旗の新聞小説の挿画であった.思い出したのは民青だった同級生.教条主義的で求道的...こういう党員・シンパが今でも存在するのだろうか.おまけに著者・児玉さんは猪突猛進型.友人としてはごめん被りたいが,本としてはおもしろかった.

目次*****
- 私はあなたたちを描いている
1 ヨーロッパひとり旅(ルーマニア・1989 / スペイン・バレンシア / 再び ルーマニア / ユーゴスラビア / オーストリア・1992 / チェコ・1993)
2 四十二歳の再出発(私のこと,スペインへの出発)
- ガラス絵について
- あとがき
- 「民美」の畑のひと粒の種 藤野まゆみ
*****

まえがき (私はあなたたちを...) では百号超の大作制作のばかばかしさが語られる.美術館に展示されたとしても,それきりで,自分の母親や大好きな友人たちに見てもらうことはできない.そこ ここの庶民の居間にかけられなくて,どこにかけられたいというのか...
安い値で庶民が買え,売ることで画家が飢えから救われ,狭い部屋でも描けて,何百枚でも保存できて,搬出入が自分の手でできて宅急便に頼める,著者にとってのガラス絵はこうした問題を一挙に解決するものであった.

ヨーロッパガラス絵博物館巡りを中心とする第1章が,タイトルの「ガラス絵に魅せられて」に対応するのかな,歴史を探らないとガラス絵が描けないというものでもないと思うが... 第2章が「42歳・女の旅立ち」に対応することになる.こちらは著者の生い立ちから始まる.百万円をぽんと貸してくれた友人がいて,スペインに旅立つ.言葉もわからないままの無手勝流 旧共産圏や欧州の貧乏暮らしがスリリング.
「ガラス絵について」はおもしろくなかった.


reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg