goo blog サービス終了のお知らせ 

Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

就職相談員蛇足軒の生活と意見

2014-11-17 08:09:01 | 読書
松崎 有理,角川書店(2014/05).

連作短編だが,最後に全体がまるく収まるという構成.近頃こういうのが多いのは,長い小説を読み 通す暇も力もない輩が増えたせいであろうか.かくいう私もその一人だが.

少しだけネタをばらすと,不死身の男が就職相談に来た,切ってもすぐ傷口がなくなるので,がまの油売り屋に斡旋した...というような内容...と言うと落語みたいだが,そこに尾ひれをつけて「ほんわか心が温まるSF風就活小説」に仕立てている.第1話でやめようかと思ったが,我慢したら後半で面白くなった.
「蛇足軒」というヒトの生活と意見はメインではなく, 27 歳の女性就職浪人博士シーノの生活とぽやきがメイン.ただしシーノさんはお色気ゼロ.設定は近未来らしい.舞台は北の都会とあるが,仙台を思わせる.
このシーノへの著者の思い入れは半端でない.著者は東北大学理学部卒のリケジョとのことだが,もしかしたら就職浪人を体験したのかも.

図書館のヤングアダルト用の棚から借用.ダサい装丁と思ったが,若い子たち向けなんだろうか.
読者世代に就職浪人博士の苦渋が伝わるんだろうか.大学院なんかに行くものじゃないとは,思われるかもしれないけれど.

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg