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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「時の娘」... SF ではなくミステリのほうの

2011-09-17 08:06:14 | 読書
ジョセフィン・テイ, 小泉 喜美子 訳「時の娘 」ハヤカワ・ミステリ文庫 (1977/06)

1951年の名作と聴いていたが未読だったので,ブックなんとかで 105 円で購入.

リチャード三世は幼い王子ふたりを殺して王位に就いた大悪人とされている.入院してベッドに縛り付けられた警部が,見舞い客が持って来た絵のうちにあった そのリチャード三世の肖像画を見て,これは殺人者の顔ではないと直感し,推理を巡らすというストーリー.

巻頭に出ている王朝の系図に首っ引きで読んでも,何が何だか分からない.もともと海外ミステリでは登場人物の名前が 混乱するものだが,ここではさらに,エドワードだのエリザベスだの,同名異人がぞろぞろ登場するのだ.

でも,入院中の警部と,看護婦だの, 女優 刑事その他の見舞客だののやり取りがいかにも英国風でおもしろい.警部の臨時助手として文献を漁る若いアメリカ人もいい雰囲気.断続的に新幹線で最後まで読んでしまった.

昔々,シェークスピア原作・ローレンス・オリヴィエ主演の映画をみて,英国の歴史なんか全く知らないのにおもしろかった記憶がある.とくに討ち死にするシーンが凄かった.あのとき この本を読んだら良かったのに.

この小説がなかったら,「成吉思汗の秘密」とか「邪馬台国はどこですか」とかの,本邦の歴史ミステリも存在しなかったかもしれない のだそうだ.

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