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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

電車の運転

2009-03-21 07:22:19 | 読書
数十年前は,「運転手は君だ...」という歌の通り,電車ごっこは学齢前の男児の遊びの主流であった.こういう子供のなれのはてには嬉しい本.

宇田 賢吉 「電車の運転―運転士が語る鉄道のしくみ」中公新書 (2008/05)

*****出版社 / 著者からの内容紹介*****
時速一〇〇キロ以上の速さで数百トンの列車を率いて走行し、時刻通りにホームの定位置にピタリと停める……。このような職人技をもつ運転士は、何を考え、どのように電車を運転しているのだろう。また、それを支える鉄道の仕組みとはどのようなものだろう。JRの運転士として特急電車から貨物列車まで運転した著者が、電車を動かす複雑精緻なシステムと運転士という仕事をわかりやすく紹介する。
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記述は工学系向け.もくじだけ見ると,大きな章立てはともかく,細部は教科書みたいである.文科系の方にはお薦めできないかもしれない.
電車は惰性で走り,停まるのは大変.前が見えなくても運転する.電車は電気で走る,レールを走るので一台止まると全部止まらざるを得ない等等.クルマとの対比がおもしろい.

駅から駅まで,運転席からどう見えるかが紙芝居ふうに出てくるぺーじでは,運転手のナレーションが臨場感を増す.著者は山陽本線に長く勤務されたようで,この沿線が実例や写真に出てくるのも一興.
広島ではまだ市電が走っているので,運転席がよく見える.この本の記述は主としてJRの電車だが,市電との違いを感じるのもまた一興.

各章のはじめに和歌・俳句があって情緒的.
ときどきJRのお偉方が運転するそばで勤務評定するらしいが,このお偉方が運転のことを分かっちゃいないという不満表明が2ヶ所ほど.まずこの本を読むべきはJRのお偉方か.

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