最近、百貨店業界の経営統合が話題に載る事が多くなりました。業界4位の三越と5位の伊勢丹も統合する方向のようです。統合が実現すれば売上高は1兆5000億円を超え、現在業界首位の高島屋を上回り、大丸と松坂屋ホールディングスの経営統合で今年9月に発足するJ・フロントリテイリングも抜いて、国内最大規模の百貨店グループになると言われております。
この2店はお互い富裕層の顧客を抱える三越百貨店と、新宿本店を中心に女性客に強い伊勢丹は、統合によってお互いの強みを生かせるいいくみあわせだと思います・・・
百貨店の老舗・三越の売上高は8041億円で、日本橋本店、名古屋店など全国に15の店舗網を持っています。一方の伊勢丹の売上高は7817億円で新宿本店や浦和店など首都圏を中心に直営の7店舗のほかグループで6店舗を展開しております。このように両社は店舗の重複が少なく、商圏を補い合える関係にある点も魅力だと思います。
この百貨店業界は、人口の減少や専門店などとの競争激化を背景に再編の動きが相次いでまさに戦国時代の形相を呈しております。
今年9月には統合予定の大丸と松坂屋のほか、10月には阪急百貨店と阪神百貨店も持ち株会社「エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング」を設立して経営統合するそうで、三越と伊勢丹が統合に乗り出したことで、今後は高島屋など大手百貨店の動向が多いにも注目されると思います。
三越は04年に日本橋店の新館をオープンさせるなど積極的な売り場の増床を進めたが、07年2月期の連結決算は6期連続の減収となったようです。そのため石塚邦雄社長は4月の記者会見で「業界再編の波に乗れるか、取り残されるか大きな分岐点だ」と、危機感をにじませているようです。
一方、伊勢丹は新宿本店の大幅改装などの効果が出て、07年3月期連結決算の経常利益が3期連続で過去最高を記録するなど好調な業績が続いているようです。
しかし・・最近の消費者は買い物を必ずしも百貨店でするのではなく、新規の高層ビル内に出来ている専門店を利用する人も多いようです。大型ビル内は消費者の心を引き付ける付加価値があるように思います。
(2007年7月25日15時28分 読売新聞)