─光る波の間─

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『ベジャール、バレエ、リュミエール』

2005-03-24 00:30:55 | 音楽・映像・アート
やっと観ました。

一つのバレエ作品を作り上げていく過程を追った
ドキュメンタリー映画。
まだ引退する前の小林十市の姿も見られる。
ベジャールはもう80になろうというのに他の誰よりパワフルだ。
ま、そうでなきゃダンサーは集まってこないけどね。

リュミエール=光
ダンサーたちは、円形の鏡を持って踊る。
ありゃ、まるで神社の御神体みたいだな‥と思ったら、
ほんとにそこからインスピレーションを得たらしく、
テキストが読まれた。
「日本の神道には偶像がなく、鏡が永遠と光を象徴する」

どの宗教でも、本来は偶像崇拝はない。
鏡は「鑑みる」から来ている。
己を映し、己を顧みて、己の中の神性を見るもの。それが鏡。

ジル・ロマン。
初めて彼を知ったのはテレビで、『アダージェット』を踊っていた。
たしか19才くらいで、私の方が年下だけど「なんて美しい少年!」と思った。
ナイーブで瑞々しく、年令に相応しい青春の苦悩とでもいうような踊りだった。
同じ演目を大スター、ジョルジュ・ドンが踊り、評価としてはやはり「役不足」と
言われていたと記憶する。
でも今はベジャールバレエに欠かせない存在になった。
少しでもその歴史を知ってるダンサーだと思うと、私自身も誇らしい気分だ(笑)

ただ振付だけを、ベジャールはやっているわけではない。
宣伝など、上演に附随する雑多な事柄もこなさなくてはならない。
「目的地に行きたいと思ったら多少の悪路でも行くしかない(笑)」
面白いなと思ったのは、正式な上演の前に観客を入れての“試演”。
公開リハーサルみたいなものだけど、途中で止めたりしないで、出来てるところまで
通して上演するものだった。

ドキュメンタリーなので、練習風景や打ち合わせの様子もある。
野外での公演は天候に左右され、リハーサルをしたくてもできなくなることがある。
印象的なのは、リハーサル中雷が鳴り出した中で踊るダンサー。
どんどん入り込んでいたけど、女性のパートが終わるころに雨が降り出した。
しかし彼女はそのままステージの椅子に腰掛けて演技を続け、
男性ダンサーも自分のパートを踊り出した。
「滑るぞ!」とベジャールが言っても続けようとして、何度も「ストップ!止めろ」
と言われていたシーン。
滑るステージはダンサーにはとても危険なのに、それでも止められなくなるとき。
そういうときは、いい表現ができるときでもある。

最近は体調が思わしくないこともあるようだけど、まだまだベジャールには
元気で素晴しい作品を生み出していってほしいと思った。






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