─光る波の間─

現在ほぼツイッターまとめ投稿。アート(名和晃平、奈良美智他)映画・音楽・食べ物(日々のご飯)・雑貨etc...

ときさんの千円札

2007-06-17 21:28:46 | つれづれ
「これ、あんたにやるから。
 ときちゃんがね、どうしても私にくれるって言うの。
 自分のほうが年上だからって、思うんだろうね」

母が私に、四つに畳まれた千円札をよこした。
ときさん というのは、母のいとこ。
私が会うのは初めてのことだった。

「・・・ どちらさん?」
「娘。私の娘よ、ときちゃん」
「ああ・・ むすめさんなの」

母に聞いた話では、ときさんは早くに親を亡くして孤児になり、
おばあちゃんを慕ってよく遊びに来ていたんだそうだ。
そのおばあちゃんの13回忌に、どうしてもどうしても出たいと言うので、
老人ホームまで叔父さんが迎えに行って、連れてきていたのだった。
頼りにしていたお兄さんが亡くなり、お兄さんの奥さんが世話をしていて、
その後さらにその娘さんが面倒をみていた。
脳卒中のために体が不自由で、呂律もまわらないけれど、記憶はしっかりしていて、
背中がすっかり丸くって、車椅子にちょこんと座った、小さなおばあさんという感じで、そして、
私がいうのもおかしいかもしれないけれど、“かわいらしい人”だった。

ときさんはたくさんたくさんお喋りをした。
一生懸命、まわらない舌で、
相手がたぶん、言ってることを半分も解ってくれてないかもしれないと
きっと知っていただろうけれど。

法事のあと、みんなで食事をした。
となりに叔母さんが座って世話をしていたけど、ときさんはだいたい自力で食べていた。
ゆっくり自分のペースで、煮魚でも刺身でも、焼いたホタテでも、なんでもよく食べた。
私ももりもり食べていて、ときさんと目が合ったときに“にかっ”と笑いかけると、
ときさんも顔をくしゃっとさせて、笑顔を返してくれた。

笑うと子どものよう。 大きな大きな笑顔。
“美味しいですね♪” “美味しいねぇ” と、会話していたような気がするよ。

いとこのお嫁さんが、6ヶ月の末の子をときさんに見せたら、
ときさんは、嬉しそうに「だかせて ちょうだい」と手を伸ばす。
お嫁さんが、「ありがとうございます」とときさんに子どもを渡したら、
赤ちゃんはにこにこと笑って、ときさんもくしゃくしゃに笑って、

「2人ともおんなじ顔してるわ」 と、母も笑った。

食事が終わると、叔父さんの車に乗ってときさんは帰っていった。
戻ってきた叔父さんが、車中でのときさんの様子を話してくれた。
「しばらくは黙って乗ってたんだけども、ぽつっぽつっと、
 “きょうは よかった” ってよ。
 “あったこと ないひとにあった きょうは よかった”
 って、何回何回も言ってたよ。」



そんな ときさんの千円札。

きっと大事に握り締めていた。
きっと大事にポケットに入れていた。
とてつもなく、いろんな思いが詰まっているような
そんな気配のする千円札。
なんとなく私は、部屋の小さな神棚に
この千円札をあげた。

“ときさんがずっと、あの笑顔でいられますように”

そう祈らずにはいられない気持ちだったから。


*



叔父さんち

2007-06-17 11:32:12 | つれづれ
昨日はおばあちゃんの13回忌で、八戸に行ってました。
新幹線が開通してから初めて。え~…っと、何年ぶりだ??^^;
いとこが… 昔ワタシの膝から転げ落ちて、でこ打って大泣きしてた赤ちゃんが、
今やすっかりとーちゃんやってる!!(゜_゜;
話は聞いてても生で見るとびっくりするんだよなぁ。。。
10年以上前に一度会った埼玉のいとこも、タバコ吸ってサングラスして車運転してる~~!;゜□゜)
歳を考えたら当たり前なんだけど・・・ 実際驚くってば。

てことで、叔父さんちのペットたちもお初。
楽しみにしてたでっかいでっかいオールドイングリッシュはつい最近
癌で死んでしまったそうで、お目にかかれなかった。ノ_・、)
が!とってもラブリーなにゃんこがいました!



この子はメイちゃん。

アニメ『銀河鉄道の夜』のカンパネルラを彷彿とさせる
賢い美猫ちゃんです♪
青く怜悧な眼が美しゅうございます。


こちらはブイちゃん。

だいぶお年寄りで、片目は白内障で白く濁ってる。
でも毛並みはまだまだ艶々です。

不器用で、‘ゴロゴロ’と喉を鳴らすのも下手w
‘ググ..ゴォー’と呼吸困難?!みたいな音になる。^^;


こっちは野良ちゃんです。
叔母さんは“ボロすけ”って呼んでる。w

ほんとにボロボロなんだ。
オスだからケンカ傷だらけで、前脚も曲がってて。
でもなんだか存在感たっぷり。
「おれ、生きてるゼ!」 ってね。


-----
おばあちゃんも野良猫に餌をあげてたんだけど、
「好きだから」じゃなかったんだよね。
あまり得意じゃなかったけど、ただ、頼ってくる命を見過ごせなかっただけ。
それで、以前の家の中は猫が闊歩するようになって、でも好きなようにさせていて、
区画整理で引っ越しても一緒に引っ越してきて…。

そして、おばあちゃんが死んじゃったら、彼らはみんなどこかへ行ってしまった。
むしろ、叔父さん叔母さんの方が動物が好きだったし、かまってたと思うんだけどね。
そういう環境のおかげだったのかもな。
いとこが獣医師になったのは。^^

*