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─光る波の間─

現在ほぼツイッターまとめ投稿。アート(名和晃平、奈良美智他)映画・音楽・食べ物(日々のご飯)・雑貨etc...

『永平寺(坊さん観察記)-2-』

2005-06-22 16:54:50 | 旅記
夕食は5時半から。
お迎えがきまして、別部屋で他の部屋の人も一緒に食べます。
もっちろん精進料理なんで肉魚卵は一切ありません!
食べる前に箸袋に書いてある言葉を読みまして、「いただきます」なんですが、
ちょっと“ひえぇ”と思ったのは下座の真ん中に雲水がずーっと座ってるんですわ。
私の目の前になるんですわ(^△^;きき、緊張するっつーの。。。
だまーって座っていて、ふいに「ご飯と味噌汁はお代わりができますので、どうぞ」
とのたまう。できるかっつーの。

<夕食のメニュー>
 ごはん、筍と人参と椎茸と蕗とがんもの煮物、ししとうのてんぷら、胡麻豆腐、
 茄子の揚げ物、黒豆、蒟蒻のくるみ和え、しめじと毬麩の吸い物、なめこの味噌汁、
 レンコンの酢の物、昆布の飾り揚げ、キンピラ、香の物、おやきとオレンジ。

器には全て永平寺の紋が入ってまして、それを隠さないようにきれいに盛り付けられてます。
味はすごくおいしかったです!ホントに坊さんが作ってるんでしょーか?と思いたくなる。
しかし、「おいしー!」とか「これは何?」とか言えないっていうのはちょっとさびしいです。
黙って、私の口に入るまで関わった人々への感謝と、生命を与えてくれる食べ物に
感謝を捧げるのであります・・・。

ただこれ、ちょっとずつのようですがけっこうボリュームがありまして、
“たしか出されたものは残しちゃいけないはず・・”と思っていたので、かなり苦しい状態に(××)
ゆっくり食べれば大丈夫だったけど、食べ終わってる人を待たせるのも・・と思い、
「..あの、残してもいいでしょうか」と聞いたらあっさり「あ、いいですよ」ヨカッタ..
持っていけるものは部屋に持って行ってもいいと兄が言うので、おやきを「部屋で食べよ♪」
と持って帰った。
あとで兄が言うには、「接茶寮の雲水が辛いのはなー、客が食べる料理と自分たちが食べるものが
全然違うのを見ることなんだよな。ただ一ついいことは、客が残した菓子は食ってもいいって
ことになってることだな」だって。
じゃぁあそこで座ってたた雲水が一番辛かったんだ~・・ってか、おやき!
先に言ってくれてたら置いてきたのに!
あの雲水は心の中で「置いてけー置いてけー」と唱えていたのかもしれない・・。
まっ、これも修行と思って耐えてくれ。(笑)
で、部屋でお茶を煎れてそのおやきを齧っていたらまた、
「係りの者ですが、お茶をお持ちしました」と。(!)あたた、タイミング悪いな~。
「あら~また勝手に煎れてしまいました~」「あ、かまいませんよ」
も、とにかく彼らはお茶を煎れるのが仕事で、こっちがどうでようと黙々と自分の仕事を
こなすのである。
名札を見る・・「隆正」。仏教では音読みに変わるんで「りゅうしょう」君。
がんばれりゅーしょー君!ヾ(^▽^)ツ
(りゅうせい、かもしれないけど)



さて、夜の法話などの行事には参加しないことにしていたので、おそろしく暇になる。
消灯は9時だけどね、まだ7時にもなってないのヨ。外明るいのヨ!
甥の一人は持参した本を読み、私は音楽を聴きながらその日のことを記録。
兄はふらりとどっかに行ったと思ったら「ほい、般若湯(はんにゃとう)」と、
ビールを出した(爆)
布団や毛布が押入れにあるのを確認していたので、「敷いちゃっておこう」と
わさわさやっていたら、「係りの者ですが、布団を敷きに参りました」(((爆)))
「もう敷いてました~」「あ..違う布団ですので...」アチャ..(^△^;「す-み-ま-せ~ん」
ホントに!うちったらフライングばっかしなんだから!
二度手間三度手間をかけ通し。ほんま、ごめんなさいですわ~。(汗)
しかも思いっきり“般若湯”の缶がテーブルにあって、私ら“鬼”ですな。ハハハ

布団を敷くときにも順序作法があるらしく、シーツのかけ方とか一人が教えながら
手際よく敷いていく。
「明朝4時半に係りの者が起こしに参ります。
 その後、5時から朝課となりますのでよろしくお願いします」
と言って去っていった。海行ってたころはよく起きてた時間だけどな~(苦笑)
それでも、供養の当日が日曜なのでいつもより1時間遅いそうです。
・・・なんで曜日が関係あるんだろ?日曜なんて仏教に関係ないんじゃないだろうか、うーむ。謎。
もっとも、修行僧たちは日曜関係なく3時半起床らしいですが。

それにしても、9時になんて寝れないって!と思っていたうちらだが、
ニンゲンすることがないと寝るしかなくなるようでなんだかんだ言って、
なんと9時前には電気を消してしまいました!(^□^;
障子を隔ててすぐ廊下で、物音が聞こえるので熟睡とは行かなかったけど。
消灯しても12時ころまでは雲水の働いてる気配がありました。
ちょっと笑い声も聞こえたんだけど、即「笑ってるな!」という叱咤の声。
あー古参に怒られた~。油断するなかれ~、立派な住職になれよ~。。。ZZzz...




洗面台。
部屋など、掃除は完璧です。そのへんさすがです。







『永平寺(坊さん観察記)-1-』

2005-06-22 16:46:36 | 旅記
<ぷろろーぐ>
昨年末、父が他界し先週納骨も終えました。
葬儀費用は兄がしていた葬儀屋の積立と香典で十分賄えた、どころかお釣が来るほど。
そこで“このお金を父親のために使うには”と考えた結果、曹洞宗大本山永平寺に
納骨をして永代供養をしてもらおう!という企画が持ち上がったのである。

もともと今年のお盆はどこにも行けないわけだし、家族旅行も兼ねて、
母、兄、兄嫁、甥兄弟、そして私の6人でお山へと向かった。
永平寺は、私は3度目になる。しかし、観光で行くのとは違うのよね。
宿坊。お寺の中に泊まる。プチ修行である。あぁ!なんて非日常的!ワクワクする~

『ファンシィダンス』という、お寺ライフを描いたマンガがある。80年代だけど。
大袈裟に描いてるぶんもあろうかと思いますが、面白くて、坊さんに親しみが湧く。
岡野玲子さんの作品で映画にもなりました。(この映画は私的に面白くなかったけど)

そんなわけなので、そりゃ~ワクワクもするってもんさ!

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6月18日、8時半に家を出る。青森空港10時15分発。頼むよ!JAL。
セントレア経由かと思ったら、関空着。湖西線に乗って福井に向かう。
特急雷鳥で琵琶湖の横を通り、棚田を見ながらお昼の駅弁を食べる。
福井に着いたのは15時ころ。気温29度だって。あづいです!
駅でレンタカーを借りてお山へ向かいます。

以前は永平寺の麓まで電車が通っていたんですが、
事故があって以来閉鎖されたそうで、今は駅舎が残るばかり。
交通の便は前より悪くなったのね。そのため修行僧も脱走し辛くなったようで、
お山的にはありがたいのかも?(笑)
永平寺の門前町には土産物屋や旅館が並んでますが、この中の『かいど』は
以前泊まったことがあり、今回はレンタカーを置かせてもらいます。
これも兄のコネで。というのは、
実は兄は昔添乗員をしてまして、それも檀家の宿坊ツアーが主な仕事だったのです。
つまり兄は永平寺のエキスパートなんだよね。
後ろついて歩いてればOKってわけ。

荷物を持ってお寺の受付へ向かう。
さっそく二人の雲水が近づいてきて、「荷物をお持ちします」と。
えっ?!持ってくれるの?と、ちょっと戸惑った。
なんでかというと、宿坊に泊まるってことはうちらも基本は修行なわけで、
“自分のことは自分でする”んだと思っていたから。
そして兄と母が受付している間、担当の雲水は叉手(しゃしゅ:左手を親指を中に入れて握り、
その上に右手を重ね鳩尾のあたりに置く)をした姿勢でじっと立ってます。
二人のうち背の低い方が先輩のようで、背の高い方に時々小声で何か教えてます。
彼らは古参らしき雲水が通るたびに手を合掌に変え、深々と腰を折る。
おぉ!体育会系!オトコの世界。基本的には“雲水”自体に位の上下はないらしいですが、
新参と古参の差はおおいにアリのようです。(あぁマンガと同じ。笑いそう)
サンダルのようなものを履いてますが、白いのが下っぱで黒いのが先輩のようです。
で、そのサンダルにはみんな自分の名前を書いてありまして、なんか小学生みたいで
カワイイな~なんて思っちゃいました。
 


さて、部屋です。
けっこう広い二間続きで、広い窓から山が見え、
小川のせせらぎが聞こえてくる。
もぉ~とぉ~っても静かです。時々、時刻や行事を知らせる
鳴り物の音がする。
で、もちろん当然のことながら、テレビなんてものはありません。
人数分のタオルなんてものもありません。
ハブラシやクシなんてものもありません。
当然です!ここは修行寺なんですもの!




部屋から右の景色。


部屋から左の景色。本堂です。
窓を開けていると山の涼しい風が入ってきて気持ちいい。

とりあえず、奥の戸棚にお茶道具を発見したので一服してたところ、
「係りの者ですが、お茶をお持ちしました」の声。
へっっ?お茶煎れてくれるんですか?禅寺で?
「あらすみませ~ん、勝手に使ってしまって・・・」と兄嫁、
「いえ、けっこうですよ」と雲水。お煎餅とお茶を配ってからスケジュールの確認と、
永平寺内での最低限の作法を教えられる。
・食事、浴場、東司(とうす:トイレのこと)では口をきいてはいけない。
・合掌、叉手などの手の組み方 等
ひじょーに淡々とした口調で、表情を出しません。
彼らはサービス業をしてるんじゃなく、修行としてやっているんですね。
でどうやら私らが泊まった部屋はちょっとお値段が高いので、
“お客人”として扱われてるらしいのです。
本来は大部屋で、トイレも洗面所も共同で、お茶なんて煎れてくれるわけないじゃん!
の世界だそうです。