[ニューヨーク 22日 ロイター] - 北半球の広い範囲に、ようやく遅い冬がやってきた。12月は観測史上最も暖かく、需要の大幅な低下で暖房用燃料の在庫は膨れあがり、1バレル30ドル以下へと急落する原油価格に、さらなる下降圧力がかかった。
1月に気温が低下したとはいえ、暖房用石油の供給業者や、原油価格上昇に賭けている手負いの投資家にとっては、期待していたほどの救いにはならないかもしれない。
「天候が暖かく価格がもっと低かった頃に、皆、燃料を満タンにしてしまった」と、ニューヨークのブルックリンで小規模な暖房用石油販売会社アドミラル・エナジーを経営するフランク・ラトフィ氏は先週語っている。
タンクローリー3台を抱えるラトフィ氏の会社では、1月初めの売上が前年同期の50%にも満たなかった。
需要の指標を見る限り、気温は12月に比べて30%以上も下がっていたにもかかわらずだ。
米東海岸地域を今週末襲った今季初の本格的な大雪によって、需要が伸び、この時期の東海岸としては2007年以来最大となった供給過剰分が多少なりとも削られる可能性はある。
ディーゼル燃料及び暖房用石油の生産に用いられる蒸留油の東海岸地域の在庫は、10年間の平均を25%上回っている。
ト ムソン・ロイターがまとめたデータによれば、やはり冬季に暖房用燃料を大量に消費するドイツでは、今月の平均気温が0度をわずかに上回り、1月19日まで の1カ月の平年水準である0.6度よりもやや寒くなった。
データでは、12月の気温は平均7.5度と平年水準の2度よりもはるかに高かった。
需要変動の激しい韓国と日本では、気象データによればマイナス数度と平年よりも寒い時期を迎えており、今月末まで続くものと予想されている。
暖 房用石油需要の従来の季節変動をもとに考えると、冬らしい気候になったことで今月の燃料用石油のグローバル需要は、最大で1日あたり100万バレル増加す る可能性がある。グローバル規模での供給過剰は2015年の大半の時期に比べて2倍の水準で推移しているが、これによって一時的に抑えられるだろう。
ニューヨーク商品取引所における暖房用石油先物は1月もしくは2月にピークを迎える傾向にあるが、12月初め以来31%下落し、21日には1ガロン約90セントで取引された。
<暖冬で需要は下振れ>
冬の寒気到来に驚きを示す気象予報士もいる。ここ数十年で最も大規模なエルニーニョ現象による暖冬効果が2016年に入ってもしばらく続くと予想していたからだ。
石油市場関係者の多くは、11月初旬以降、原油価格が45%近くも急落したことには気象要因も作用していると考えている。
「1月も同じように暖かければ、確実に弱気市場が続いただろう」と話すのは、スタンダード・チャータードでコモディティ分野のリサーチを率いるポール・ホースネル氏だ。
また、調査会社エナジー・アスペクツの 原油担当の首席アナリスト、アムリタ・セン氏は、11月から12月にかけて原油市場で1日当たり80万─100万バレルの需要が失われたと試算している。 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアナリストたちは、米国と欧州では40万バレル/日の需要が失われたと見ている。
暖かかった12月の影響を相殺するには、もっと長期にわたって、さらにずっと寒くなる必要があるだろう。
米国では、燃料用石油の需要は北東部に集中しているが、12月の暖房度日数、つまり日平均気温が18度をどれだけ下回るかを示す数は、平年よりも30%少なかった。
1月に入ると、18日までの米国における暖房度日は530となり、これは平年より3%少ないだけである。
平年であれば、1月中に家計が消費する家庭暖房用ディーゼル油は50万─75万バレル/日である。
日本では、日本石油連盟のデータに基づいてロイターが計算したところ、1月16日までの1週間における灯油の推定販売量が56万バレル/日に達した。真夏の10万バレル/日以下を大きく上回るのはもちろん、12月よりも約20万バレル/日多い。
韓国気象協会によれば、韓国の1月の気温は全般的に昨年並みである。データによれば、昨年1月の灯油消費量は約8万バレル/日で12月のピーク時に達した。これに対し、夏の数ヶ月間の消費量はわずか1万5000バレル/日である。
ドイツのデータによれば、昨年のドイツの暖房用燃料消費のピークは1月で、約46万2000バレル/日だった。
最も少ない5月は約30万バレル/日である。
<変動幅は縮小>
冬 季の燃料消費量の変動は、かつてとは異なっている。米国の住宅用蒸留燃料の利用は、天然ガスへの切り替えが進んだことにより、過去30年間で半減した。米 EIA(エネルギー情報局)のデータによれば2014年には厳寒のために増大し、25万バレル/日と5年間で最も高い水準となった。
ドイツでは、暖房用燃料の消費量はこの10年間で3分の1以上減少しており、東西統一後に旧東独地域に石油ボイラーが普及したことで増大したトレンドが逆転している。
タンク洗浄施設が並ぶブルックリン通りに戻ってみれば、12月に比べれば動きは活発になっているが、好景気とは程遠い。
「大騒ぎというほどではない、いつもと変わらない」とCAMフューエルのドライバー、トニー・マゾーニー氏は語る。
以上、ロイター記事
確かに石油の需要を増やすためには、寒波が効果があるだろう。
気象兵器は偏西風のコントロールができるため、北から南への偏西風を吹かせたら、寒気が南下してきて北国様相になってしまう。
今回、日本では九州沖縄まで雪を降らせた。私も九州でこんな氷点下状態が連続する経験は半世紀以上生きていて経験がない。 九州の水道管は破裂するし、幹線道路が止まる状況になり、強力な武器だと本当に思います。
ただ、原油安の勢いは、この寒波くらいのものでは止められません。やはり、中国経済衰退、シェール増産による供給過多が大きい。