厚生労働省は30日、中国で2009年ごろから発生が報告されているダニが媒介する新しいウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が国内で初めて確認されたと発表した。山口県の成人が感染し、死亡した。
厚労省によると、患者は昨秋、発熱、嘔吐、下痢などの症状を訴え、約1週間後に原因不明で死亡。その後、患者の血液からSFTSウイルスが検出された。
同ウイルスは日本を含むアジアやオセアニア諸国などの森林に広く生息するとみられ、マダニが媒介して人に感染する。ダニにかまれるだけでなく、患者の血液や体液からの感染例もある。治療は対症療法に限られ、中国では致死率約10%とされている。
09年以降、中国遼寧省や山東省などの農村地域で数百例が確認されているが、今回死亡した患者に海外渡航歴はなかった。中国で確認されているウイルスとは遺伝子の塩基配列が一部異なることから、日本にもともといたウイルスに感染したとみられる。
マダニは、春から秋にかけてが活動期。国立感染症研究所は、マダニが生息する草むらや藪などに入るときには、長袖の服などを着てダニにかまれないよう注意を呼びかけている。